台湾 蔡総統 中国の圧力に屈しない姿勢強調 「双十節」で演説

台湾が「建国記念日」と位置づける「双十節」を祝う式典で、蔡英文総統は「主権と民主的で自由な生活を守ることに妥協の余地はない」と述べて、中国の圧力に屈しない姿勢を強調するとともに、交流や対話による緊張の緩和を中国に呼びかけました。

「双十節」の式典は10日、台北の総統府前で行われました。

蔡総統は演説で、「遺憾なことに近年、北京当局は軍事的な威嚇や台湾の主権を消滅させようとする行いを日増しにエスカレートさせ、台湾海峡および地域の平和で安定した現状に脅威を与えている」と述べ、中国を非難しました。

そして「台湾の人民と与野党の最大の共通認識は主権と民主的で自由な生活を守ることであり、この点でわれわれに妥協の余地はない」と述べ、中国の圧力に屈しない姿勢を強調しました。

そのうえで「台湾海峡の間で武力衝突は絶対に選択肢にはならない」とし「理性をもって、対等に、互いを尊重しながら、台湾海峡の平和と安定を維持するため、双方にとって受け入れ可能な方法を探ることを北京当局に呼びかけたい。これはわれわれの共通の責任だ」と述べ、交流や対話による緊張の緩和を中国に呼びかけました。

中国は強く反発

台湾の「双十節」を祝う式典で蔡英文総統が行った演説について、中国外務省の毛寧報道官は10日の記者会見で「台湾海峡の情勢が緊張している根本的な原因は、民進党当局が台湾独立の立場をかたくなに守り、外部勢力と結託して独立をはかろうという挑発を繰り返し、両岸関係の平和的な発展という重要な基礎を著しく損なったことにある」と強く反発しました。

京都の高校の吹奏楽部も参加

台湾の「双十節」の式典には京都橘高校の吹奏楽部が招待されました。

マーチングバンドの強豪として知られる京都橘高校の吹奏楽部は、身にまとう衣装の色にちなんで「オレンジの悪魔」という愛称で呼ばれ、エネルギッシュなパフォーマンスが海外でも評価されています。

およそ90人のメンバーの参加はことしの式典のハイライトの1つという扱いで、蔡英文総統も席から立ち上がって手拍子を打ったり、拍手を送ったりしていました。

また、日本と台湾の交流を進める超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の訪問団も、自民党の古屋・元国家公安委員長を先頭に行進しました。