北朝鮮 弾道ミサイル2発 EEZ外の日本海落下か SLBMの可能性も

防衛省によりますと、9日午前1時47分ごろと1時53分ごろ、北朝鮮東岸付近から合わせて2発の弾道ミサイルが東の方向に発射されました。

2発はいずれも最高高度が100キロ程度、飛行距離がおよそ350キロで、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したとみられるということです。

この発射による船舶や航空機などへの被害の情報は入っていないということです。

防衛省によりますと、2発は発射された場所などからSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの可能性もあるということです。

北朝鮮がSLBMを発射したとすればことし5月7日以来で、防衛省のまとめでは7回目の発射となります。

ことし5月7日の発射では朝鮮半島東岸付近から1発が発射され、最高高度はおよそ50キロ、飛んだ距離はおよそ600キロと推定されています。

また、この時のミサイルについて、防衛省は去年10月に発射された新型のSLBMと同型で、変則軌道で飛んだと分析しています。

米空母の日本海展開に反発 10日に党創立記念日

北朝鮮はアメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」が先月下旬以降、日本海に展開したことなどに対して強く反発していて、先月25日から今月6日にかけて弾道ミサイルを合わせて6回発射し、このうち今月4日には日本の上空を通過させる形で発射しています。

こうした中、アメリカ軍と韓国軍は8日までの2日間、共同の機動訓練を行ったほか、防衛省は8日、海上自衛隊がロナルド・レーガンなどアメリカ海軍の複数の艦艇と日本海を含む日本の周辺海域で戦術訓練を行っていると発表しました。
北朝鮮は6日、アメリカの原子力空母が日本海に再び展開したことなどを非難し、同じ日、北朝鮮軍の戦闘機と爆撃機合わせて12機が編隊を組んで飛行して地上に向けて射撃訓練を行ったとみられます。

そして8日、北朝鮮国防省は米韓両軍が日本海で行った原子力空母が参加した機動訓練を非難する談話を発表し「非常に憂慮すべき今の事態を厳重に注視している」と警告していました。

北朝鮮は10日が朝鮮労働党の創立記念日で、これを前に米韓両国への対決姿勢を一段と強めています。

韓国軍の分析は

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が9日午前1時48分ごろから58分ごろにかけて東部のカンウォン(江原)道ムンチョン(文川)付近から、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表しました。

いずれも飛行距離はおよそ350キロ、高度はおよそ90キロで音速の5倍にあたるマッハ5の速度で飛行したということです。

また韓国の通信社 連合ニュースは、飛行距離や高度などが、北朝鮮が「超大型ロケット砲」と呼ぶ短距離弾道ミサイルの特徴と似ていて、軍当局はSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの可能性は高くはないとみているもようだとも伝えています。

“深夜の発射 いつ どこからでも発射可能と示した”見方も

ことしに入ってからの弾道ミサイルなどの発射はこれで25回となり、北朝鮮は異例の高い頻度で発射を繰り返しています。

今回弾道ミサイルが発射されたムンチョン付近からは、おととし4月にも日本海に向けて巡航ミサイルとみられるミサイルが発射されていました。

連合ニュースは、ムンチョンには海軍基地があると伝えていて、専門家の話として深夜の発射を通じて北朝鮮がいつ、どこからでも発射できる能力を示したものとみられるという見方を報じています。

岸田首相「引き続き挑発行動を注視」

北朝鮮が9日未明、弾道ミサイルを発射したことについて、岸田総理大臣は午後、訪問先の三重県鈴鹿市で記者団に対し、「9月末からの短期間だけ考えても今回で7回目だ。引き続き、北朝鮮の挑発行動については注視していかなければならない。情報収集、警戒監視はもちろんだが、合わせてアメリカや韓国など関係国とも連携を密にしていかなければならない」と強調しました。

一方、今回の発射が、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルだった可能性を問われたのに対し、「ミサイルの種類についてはまだ確認中だと報告を受けている」と述べるにとどめました。

井野防衛副大臣「断じて容認できない」

井野防衛副大臣は9日午前3時すぎ、防衛省で記者団に対し、「9月末からの短期間でも今回で7回目と、挑発を執よう、かつ一方的にエスカレートさせている。一連の北朝鮮の行動はわが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり断じて容認できない」として、北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したことを明らかにしました。

専門家「いつでも発射できることを示すねらいか」

北朝鮮情勢に詳しい南山大学の平岩俊司教授は、北朝鮮が弾道ミサイルを未明に発射したことについて、「異例のことだ。北朝鮮はこれまでさまざまな場所からミサイル発射実験を行い、どこからでも発射できるとアピールしてきたが、今回はそれに加え、いつでも発射できると示すねらいがあるのではないか」と述べました。

また、弾道ミサイルの発射が先月末から異例の高い頻度で繰り返されていることについては、「米韓合同軍事演習などに反発し、自分たちは核ミサイルを放棄するつもりはないとする覚悟を示すためではないか。特に韓国で5年ぶりの保守政権であるユン・ソンニョル(尹錫悦)政権のもと、日米韓の結束を固めようという流れがあり、こうした動きに反発している可能性がある」という見方を示しました。

そのうえで、今後の北朝鮮の出方について平岩教授は、「中国では習近平国家主席が3期目を目指す共産党大会を控えていて、中国への配慮から核実験に踏み切るのが難しい状態が続いている。ただ、核ミサイルの攻撃能力を上げたいというのが北朝鮮の考えだと思うので、中国の党大会が終わったあと、いつ、7回目の核実験に踏み切るのかが注目される」と指摘しています。

北朝鮮 ミサイル発射はことし25回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って25回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月に1回、8月に1回、先月に3回、今月に3回それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

特に、先月下旬から今月上旬にかけては合わせて6回と、これまでにない頻度で相次いで発射しています。

これまでの24回のうち、21回は弾道ミサイルと推定されもう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。残りの2回は長距離巡航ミサイルなどと推定されています。

アメリカ軍「同盟国と緊密に協議」

アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し「われわれは2発の弾道ミサイルの発射を認識しており、同盟国などと緊密に協議している。今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国に差し迫った脅威を与えるものではないと判断している」としています。

そのうえで、ミサイルの発射は北朝鮮による大量破壊兵器と弾道ミサイルの違法な計画が地域を不安定化させることを浮き彫りにしていると指摘し、日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎないと強調しました。

また、アメリカ国務省の報道担当者は「今回のミサイルの発射は今月行われたほかの発射とともに、国連安全保障理事会の複数の決議に違反しており、近隣諸国や国際社会に対する脅威になっている」と非難しました。

そのうえで「われわれは北朝鮮に対する外交的な取り組みに引き続き力を尽くす。北朝鮮には対話に応じるよう求める」と強調しました。