【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを詳しくお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

クリミア大橋に設置の監視カメラの映像は

ロイター通信は橋に設置された監視カメラの映像を8日、配信しました。

映像では、爆発の直前に1台のトラックが現場付近を通過しています。そして、爆発と同時に、周囲が明るくなり、炎や火の粉とともに煙が広がりました。橋桁の一部が崩落している様子も確認できます。

また、最初の爆発からおよそ20秒後、自動車専用道路に並行する鉄道からも大きな炎が広がり、列車に積まれていた燃料に火が燃え移ったとみられます。

ロイター通信は、橋や道路の構造が衛星写真と一致したため、クリミア大橋で撮影されたことが確認できたとする一方、撮影日時は特定できないとしています。

ロシア 連邦捜査委員会 “現場近くで3人の死亡確認”

ウクライナ南部のクリミアと、ロシア南部を結ぶ「クリミア大橋」で8日に起きた大きな火災をめぐり、ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は現場近くで3人の死亡が確認されたとしています。

クリミア大橋で大きな火災 ロシア“トラックが爆発”

8年前ロシアが一方的に併合したウクライナ南部のクリミアと、ロシア南部を結ぶ「クリミア大橋」で8日、大きな火災が起きました。現地からの映像や写真では、橋から大きな炎があがっている様子がわかります。

ロシアの治安機関などでつくる「国家反テロ委員会」は「橋の自動車道路でトラックが爆発し、近くを走行していたクリミアに向かう列車の、燃料タンクの貨車に引火した」としたうえで、橋が損傷し、一部が崩落したと発表しました。

事態を受けてプーチン大統領はミシュスチン首相に対し、政府委員会を設置して原因究明を急ぐよう指示を出しました。

「クリミア大橋」は2018年に完成し、クリミアを一方的に併合したロシアにとって、戦略的にもっとも重要なインフラのひとつとされ、橋の通行が難しくなればクリミアに駐留するロシア軍の補給などに影響が出るとみられます。

ウクライナ大統領顧問「違法なものは破壊されなければ」

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は8日、ツイッターに「違法なものはすべて破壊されなければならない。盗まれたものはすべてウクライナに返還されなければならない」と投稿しました。
その一方で、火災にウクライナ側が直接、関与したかどうかは明らかにしていません。

ロシア外務省「テロリストの本質示している」

一方、ロシア外務省のザハロワ報道官はSNSに「ウクライナ政府の反応は、テロリストの本質を示している」と投稿し、ウクライナへの敵意をあらわにしました。

国連 ロシアの人権状況を調査へ

国連人権理事会は7日、ロシアの人権状況を調査する特別報告者を新たに任命するための決議を採択しました。

決議は、ロシアでは人権団体や独立系メディアなどへの取締りによって表現の自由が著しく制限されているとして、深刻な懸念を示しており、今後選ばれる特別報告者が1年にわたってロシア内外で調査を進め、報告書をまとめる見通しです。

イギリス国防省「ウクライナ軍戦車の半数以上ロシアから獲得か」

イギリス国防省は「ウクライナ軍の現在の戦車部隊のうち半数以上が、ロシア軍から獲得した車両の可能性がある」と指摘し、ロシア軍が残した装備品をウクライナ軍が活用していると分析しています。

ゼレンスキー大統領「東部の776平方キロメートルの領土を解放」

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、新たな動画を公開し「今週だけで東部の776平方キロメートルの領土を解放し、ルハンシク州の6つの集落を含む29の集落を奪還した。ロシアの攻撃が始まって以降、これまでに合わせて2434平方キロメートルの領土と、96の集落がすでに解放されている。占領されている領土も必ず手に入れることができるはずだ」と述べ、反転攻勢を強めていく姿勢を強調しました。

ドネツク州知事 “奪還したリマンで2つの集団墓地”

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事はSNSで、今月奪還したリマンで、多くの人が殺害され埋められたとみられる2つの集団墓地が見つかったと発表しました。

このうち、1つの集団墓地にはおよそ200基の墓があり、もう1か所の集団墓地にある墓の数は調査中だということです。

投稿された写真には、木のようなもので作られた数多くの十字架などが並べて立てられている様子が映されています。

ウクライナ議会が決議採択 “北方領土は日本の領土と確認”

ウクライナ議会は7日、北方領土は、ロシアによって占領された日本の領土であると確認する決議を採択しました。

決議では「日本の北方領土に対する立場を支持する。国際社会は、北方領土が日本に帰属するという法的地位を定めるため、すべての可能な手段を講じるべきだ」としています。

そのうえで、国連やヨーロッパ議会などの国際機関も北方領土が日本の領土であると定めるための一貫した支援と行動をとるよう訴えています。

ウクライナとしては、南部クリミアを含めて領土の一部をロシアに一方的に併合された立場から、日本とも連携してロシアへの圧力を強めたいねらいがあるとみられます。

ゼレンスキー大統領は、7日に公開した動画の中で「ロシアの占領下にある北方領土について、日本の主権と領土の完全性を尊重することを確認し、関連する法令に署名した。ロシアは、これらの領土に対して何の権利もなく、世界中の誰もがそのことをよく理解している」と述べました。

IAEA事務局長 来週前半にロシアを訪れ協議へ

ウクライナを訪れていたIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は7日、声明を発表し、ザポリージャ原子力発電所の周辺を安全な区域に設定するため、来週前半にロシアを訪れて協議を行う予定だと明らかにしました。

また、声明の中で、ザポリージャ原発の敷地外に6日、砲撃があり、冷温停止状態にある6基の原子炉のうち1基に電力を供給する送電線が損傷したことも明らかにしました。

これによって、原子炉が代替の電力供給を受けられるまでの1時間半ほど非常用の発電機を動かして冷却機能を維持したということです。

この原子炉は、先月21日にも砲撃によって電力を供給するケーブルが損傷し非常用の発電機を一時的に動かす事態が起きていて、グロッシ事務局長は「原発とその職員にとってもっと安定した環境を作り出すことが急務だ」として、原発の安全の確保に向けてロシアとの協議を前進させたいと強調しました。

プーチン大統領 旧ソビエトの国々の首脳集めた会議で結束強調

ロシアのプーチン大統領は7日、旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の非公式の首脳会議を第2の都市サンクトペテルブルクで開きました。

冒頭、プーチン大統領は、出席した首脳たちについて「最も親しい友人で同盟国であり、真の戦略的なパートナーシップの関係がある国々の指導者」と表現し、結束を強調しました。

プーチン大統領にとって7日は70歳の誕生日で、会議に出席したベラルーシのルカシェンコ大統領が農業用のトラクターをプレゼントしたほか、ロシア大統領府によりますと、トルコや南アフリカなど友好国の首脳から祝意が寄せられたということです。

プーチン大統領は来週も、旧ソビエト諸国の首脳たちと再び会議を行う予定です。

カザフスタンなど中央アジア各国からは、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと一線を画す姿勢もみられ、プーチン大統領としては欧米との対立も深まる中、勢力圏とみなす旧ソビエト諸国の引き締めを図るねらいがあるとみられます。