国際

クリミアとロシア結ぶ橋で火災 ロシア“爆発 近くで3人死亡”

ロシアが8年前一方的に併合したウクライナ南部のクリミアとロシア南部を結び、ロシアが戦略的に重要とする橋で大きな火災が起き、橋の一部が崩落しました。

ロシア側は爆発があったと主張し、プーチン大統領が原因の究明に向けて指示を出すなど警戒を強めています。
ロシアが8年前一方的に併合したウクライナ南部のクリミアと、ロシア南部を結ぶ「クリミア大橋」で8日早朝、大きな火災が起きました。

現地からの映像や写真では、橋の付近から炎や黒い煙が上がっている様子がわかります。

ロシアの治安機関などでつくる「国家反テロ委員会」は「橋の自動車道路でトラックが爆発し、近くを走行していたクリミアに向かう列車の燃料タンクの貨車に引火した」としたうえで、橋が損傷し、一部が崩落したと発表しました。

また、ロシアで重大事件を扱う連邦捜査委員会は現場近くで3人の死亡が確認されたとしています。

事態を受けてプーチン大統領はミシュスチン首相に対し、政府委員会を設置して原因究明を急ぐよう指示を出しました。

「クリミア大橋」は4年前に完成し、クリミアを一方的に併合したロシアにとって、戦略的にもっとも重要なインフラのひとつとされ、橋の通行が難しくなれば、クリミアに駐留するロシア軍の補給などに影響が出るとみられます。

橋に設置の監視カメラ 爆発の直前に1台のトラック

ロイター通信は橋に設置された監視カメラの映像を8日、配信しました。

映像では、爆発の直前に1台のトラックが現場付近を通過しています。そして、爆発と同時に、周囲が明るくなり、炎や火の粉とともに煙が広がりました。

橋桁の一部が崩落している様子も確認できます。

また、最初の爆発からおよそ20秒後、自動車専用道路に並行する鉄道からも大きな炎が広がり、列車に積まれていた燃料に火が燃え移ったとみられます。

ロイター通信は、橋や道路の構造が衛星写真と一致したため、クリミア大橋で撮影されたことが確認できたとする一方、撮影日時は特定できないとしています。

「クリミア大橋」ロシアによるクリミア支配の象徴

「クリミア大橋」は2014年、ロシアが一方的に併合したクリミア半島と、ロシア南部のクラスノダール地方を結ぶ全長19キロの橋で、ロシアによるクリミア支配の象徴とされてきました。

黒海とアゾフ海をつなぐケルチ海峡に架かることから、「ケルチ橋」とも呼ばれています。橋は自動車専用道路に並行する形で鉄道も敷設され、2018年、自動車専用道路が完成した際にはロシアのプーチン大統領がみずからダンプカーを運転して橋を渡りました。

この時、プーチン大統領は「すばらしい成果だ。クリミアはより力強くなり、われわれの結束は一段と強まる」と演説し、ロシアによるクリミア支配を内外にアピールしています。

ことし2月、軍事侵攻が始まってからは、ロシア軍はこの橋をウクライナの南部や東部の支配地域に物資を運び込む補給路として使い、軍事侵攻を進めるうえで、戦略的に極めて重要なインフラとなってきました。

一方、ウクライナ側は「違法な建造物だ」として橋の建設そのものを非難してきました。また、ウクライナ大統領府の顧問を務めるアレストビッチ氏はことし7月、クリミア大橋について「技術的に可能となれば攻撃対象となる」と発言し、ロシア側をけん制していました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、東部や南部でロシアに占領された領土とともに、将来はクリミアも奪還する考えを示しています。

ウクライナ側は、ことし8月にはクリミアに駐留するロシア軍の基地で爆発を起こし、軍用機などに被害を与えました。

一方、ロシア側は10月、クリミアで「破壊工作やテロ行為の脅威が高まっている」と主張し警戒を強めていました。

ウクライナ高官「これが始まりだ」

火災が起きた「クリミア大橋」についてウクライナのポドリャク大統領府顧問は「これが始まりだ。違法なものはすべて破壊されなければならない」とツイッターに投稿しています。

ロシア報道官「テロリストの本質示す」

一方、ロシア外務省のザハロワ報道官はSNSに「ウクライナ政府の反応は、テロリストの本質を示している」と投稿し、ウクライナへの敵意をあらわにしました。

ウクライナ国防省「ロシアのシンボルが沈んだ」

火災が起きた「クリミア大橋」は「ケルチ橋」とも呼ばれています。ウクライナ国防省はツイッターに「ウクライナのクリミアにおけるミサイル巡洋艦モスクワとケルチ橋という2つの悪名高いロシアのシンボルが沈んだ」と投稿しました。

巡洋艦モスクワは、ロシアの黒海艦隊の旗艦でしたがことし4月、沈没し、ウクライナ側は対艦ミサイルで攻撃したと主張しています。

また今回、火災が起きた「クリミア大橋」は、ロシア側からクリミア半島への重要な補給路となってきました。

ウクライナ国防省は火災の原因について直接の言及はしていませんが、ロシアが一方的に併合したクリミア半島への補給に大きな影響を与えるだけに、双方の対応に注目が集まっています。

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