ウクライナ軍 ロシア軍残留の戦車など獲得し戦闘に活用か

反転攻勢を強めるウクライナ軍は、ロシアから領土の奪還を続けていて、イギリス国防省は、ウクライナ軍がロシア軍が残した戦車など多くの装備品を獲得し、戦闘に活用しているという分析を示しました。一方、ロシアのラブロフ外相は、アメリカなどの軍事支援が緊張を高めているとして、欧米側を強くけん制しました。

ウクライナ軍は、ロシアが支配しているウクライナ東部や南部で反転攻勢を続けていて、ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、新たな動画を公開し「今月以降、南部ヘルソン州だけで500平方キロメートル以上の領土と数十の集落を奪還した」と述べ、戦果を強調しました。

イギリス国防省は7日「軍事侵攻以来、ウクライナ軍は少なくとも440両の戦車とおよそ640両の装甲車両を獲得し、ウクライナ軍の現在の戦車部隊の半分以上がロシア軍から獲得した車両である可能性がある」と指摘し、ウクライナ軍がロシア軍が戦場に残した、多くの装備品を活用しているという分析を示しました。

そのうえで、撤退したロシア軍が自分たちの装備品を破壊せずに残したことは、ロシア兵の訓練のレベルが低いことを示していて、兵士の士気がさらに低下しているため、ロシア軍は今後も重火器を失い続ける可能性が高いと分析しています。

一方、ロシアのラブロフ外相は7日、動画でのメッセージで「ウクライナのゼレンスキー大統領が欧米の指導者に対して、ロシアへの予防的な核攻撃を仕掛けるように呼びかけた」などと、一方的に主張したうえで「アメリカや同盟国が、ウクライナへの兵器の供与を続けている。これ以上、アメリカが関与することに対して警告する」と述べ、欧米の軍事支援を強くけん制しました。

また、ロシア大統領府は7日、プーチン大統領の出身地である第2の都市サンクトペテルブルクで、旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の非公式の首脳会議を開くと発表しました。

7日は、プーチン大統領が70歳の誕生日をむかえ、ロシア大統領府は、プーチン大統領が同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領など、首脳たちと会談する見通しで、プーチン氏の誕生日を祝福するという期待感も示しました。

これとは別にトルコのエルドアン大統領とも7日、電話で会談したということです。

ウクライナに侵攻し、一方的な領土併合に踏み切ったプーチン大統領に対して、カザフスタンなど中央アジア諸国からは一線を画す姿勢がみられ、プーチン大統領は勢力圏とみなす、旧ソビエト諸国や友好関係にあるトルコ首脳との会談を通じて孤立化を防ぐとともに、引き締めを図りたい思惑もあるとみられます。