参院本会議 旧統一教会や岸田首相の任命責任などめぐり論戦

国会では参議院本会議で2日目の代表質問が行われました。旧統一教会をめぐる問題や岸田総理大臣の任命責任などをめぐって論戦が交わされました。

公明 山口代表“通園バスの事件 対策の強化急ぐべき”

公明党の山口代表は、静岡県で3歳の女の子が通園バスの車内に取り残され、熱中症で死亡した事件をめぐり「あまりに痛ましい事件が起こり、胸が締めつけられる思いだ。悲劇を二度と繰り返さないように、対策の強化を急ぐべきで、大切なのはソフトとハードの両面から対策を見直すことだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「先行事例を参考にしながら、都道府県に対し、指導監督における留意事項などを示したいと考えている。また、安全装置の義務化と、装備のための支援措置を含むハード・ソフト両面の緊急対策を取りまとめ、速やかに実行していく」と述べました。

維新 浅田参院会長「市場介入の効果は一時的」

日本維新の会の浅田参議院会長は、政府・日銀が市場介入に踏み切ったことについて「効果は一時的であり、目くらましにすぎない。岸田総理大臣は現在の円安についてどう評価しているのか。介入を行った理由をおたずねする」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「円安は経済に対してプラス面・マイナス面、双方のさまざまな影響を与えるが、最近見られたような急速で一方的な円安の進行は望ましくない。投機による過度な変動が繰り返されることは決して見逃すことができず、介入を実施した。足元の円安に対しては、インバウンド観光の復活など、メリットを最大限に引き出すとともに、企業投資の国内回帰や農林水産物の輸出拡大などを進めていく」と述べました。

国民 舟山参院議員会長「『子育て予算倍増』の工程と財源は」

国民民主党の舟山参議院議員会長は、子育て政策について「地元を歩く中で多く聞いたのが『少子化こそ国難』との声だ。『子育て予算倍増』の決意に変わりはないか。具体的な工程と財源を示すべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「子育てや教育にかかる費用負担の重さや、仕事と子育ての両立の難しさが大きな課題だ。社会全体での費用負担の在り方を検討することと合わせて、こども政策の充実に取り組んでいく。来年度の『骨太の方針』で将来的に、予算倍増を目指すうえでの当面の方針を明確にしていく」と述べました。

共産 小池書記局長「旧統一教会めぐり被害広げてきた責任は」

共産党の小池書記局長は、旧統一教会をめぐって「集会やイベントで政治家があいさつし、祝電を送ったことなどが多くの被害者を生み出す結果となった。自民党の多数の政治家が『広告塔』となり被害を広げてきた責任をどう認識しているか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「多くの自民党国会議員が旧統一協会と接点を持っていたことにより、結果として当該団体の信頼を高めることがあったという指摘を重く受け止めている。そのうえで、各閣僚などが過去の関係を調査、説明し、今後は関係を持たないことなどを徹底する。自民党においても、方針順守を徹底し、これを担保するためのチェック体制を構築していく」と述べました。

立憲 石垣氏「山際経済再生相と寺田総務相の任命責任は」

立憲民主党の石垣のりこ氏は「山際経済再生担当大臣は、旧統一教会との不適切な関係だけでなく、保有株式に関する申告を怠っていたほか、寺田総務大臣は不透明な資金の流れがあるのではないかと報道された。岸田総理大臣の認識と任命責任を問う」と迫りました。

これに対し、岸田総理大臣は「政治家にとって国民の信頼は不可欠であり、国民から疑念を持たれないよう、常に襟を正していかなければならない。それぞれの事案はそれぞれの大臣がみずからの政治家としての責任で、理解が得られるよう説明を尽くし、信を得ていかなければならない。国民の厳しいまなざしが注がれていることを常に意識し、内閣として一層の緊張感を持って政権運営にあたっていく」と述べました。

自民 牧野幹事長代理「防衛予算を確保していくのか」

自民党の牧野幹事長代理は「東アジアの安全保障環境は緊張感を増している。いわゆる『反撃能力』を含め、あらゆる事態にしっかりと対処していく体制を整えることに加え、自衛官の勤務環境や生活環境への配慮も含め、どう防衛予算を確保していくのか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「安全保障環境は急速に厳しさを増しており、抑止力、対処力の強化が最優先の使命だ。防衛力の中心的な構成要素である人的基盤の強化は重要であり、隊員がみずからの能力を十分に発揮できる環境整備に取り組んでいく。こうした点も含め、防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保、これらを一体的かつ強力に進めていく」と述べました。

このほか岸田総理大臣は、政務担当の秘書官への長男の翔太郎氏の起用について「休日、深夜を問わず発生する危機管理への迅速かつきめ細かい報告体制や、党との緊密な連携、ネット情報やSNS発信への対応などを勘案して、秘書官チームの即応力の観点から総合的に判断した。給与については公設第一秘書を務めていた前職と、同水準になると報告を受けている」と述べました。

また、山際経済再生担当大臣は、先の参議院選挙の際、街頭演説で「われわれ政府は野党からくる話は何一つ聞かない」と発言したことについて「撤回し、改めておわびする」と述べました。

そのうえで、旧統一教会との関係をめぐり「説明責任を十分に果たせなかったことは深く反省している。私としては総合経済対策の取りまとめなどにしっかり取り組む」と述べ、引き続き閣僚の職責を果たしたいという意向を示しました。