【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 ノーベル平和賞には触れず

ロシアの第2の都市サンクトペテルブルクでは7日、旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の非公式の首脳会議が開かれ、ロシアの国営テレビがその様子を一部、公開しました。

この中で、プーチン大統領は「ウクライナで悲劇的なことが起きている。ほかのCISの国でも紛争が起きている。それらを解決する必要がある」と述べました。

一方で、プーチン大統領は、ノーベル平和賞にロシアの人権団体「メモリアル」が選ばれたことについては触れませんでした。

レズ二コフ国防相 即時停戦を呼びかける動画投稿

ウクライナのレズ二コフ国防相は、ロシア軍の兵士に対しロシア語で即時停戦を呼びかける動画を動画投稿サイト、ユーチューブに投稿しました。

この中で、レズニコフ国防相は「あなた方は、だまされたうえに裏切られた。散歩に行くと約束され、わなにはめられた。誰かの空想や偽りの目的のために血を流すことになった」と指摘しています。

また「ウクライナで誰も解放していないと知っているはずだ。あなた方は、つい最近までよき隣人と見なし、ロシア語を話してきた人たちが住む都市全体を破壊し 将来の世代にまでつながる敵意の種をまいた」と訴えました。

さらに「今後、何千人ものロシアの男性が死ぬだろう。多くの人が、腕や足を失ったままにされるだろう。そして、あなた方は罪を犯し、再び裏切られるだろう」と指摘しました。

そのうえで、レズニコフ国防相は「覚えていてほしいのは、ウクライナには十分な土地があり、ロシアの土地を奪うつもりはないということだ。ただ、奪われた土地はすべて取り戻すつもりだ。われわれは、戦うことを直ちに拒否するすべての人の命と安全、正義を保証する」と述べ、すべてのロシア軍の兵士に投降を呼びかけました。

ゼレンスキー大統領 500平方キロメートル以上の領土など奪還

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、新たな動画を公開し、「10月以降、南部ヘルソン州だけで500平方キロメートル以上の領土と数十の集落を奪還した」と述べ、戦果を強調しました。

ザポリージャ原子力発電所の現状は

ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所について、ウクライナの原子力規制当局の元高官は首都キーウで開かれた10月4日の記者会見で「原子炉すべてが核燃料を安定して管理できる状態だ」と明らかにしました。

ザポリージャ原発を巡っては9月、砲撃による火災の影響で一時的に外部電源が失われ、安全性が懸念される事態となったことから、ウクライナ側は唯一稼働していた6号機を停止し冷温停止の状態にしようと作業していました。

IAEA=国際原子力機関などによりますとザポリージャ原発には、6基の原子炉があり、出力は600万キロワットと、ヨーロッパでも最大規模で、ウクライナ国内の電力のおよそ2割を賄うことができるということです。

木原官房副長官「核兵器が使用される可能性を深刻に懸念」

木原官房副長官は午後の記者会見で「ロシアによるウクライナ侵略の中で核兵器が使用される可能性を深刻に懸念している。岸田総理大臣がNPT=核拡散防止条約の再検討会議や国連総会の場でるる訴えてきた通り、唯一の戦争被爆国として、核兵器による威嚇もましてや使用もあってはならないということを引き続きさまざまな国際場裏で粘り強く訴えていきたい」と述べました。

親ロシア派勢力の幹部 ロシア国防相を批判する動画投稿

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部ヘルソン州の親ロシア派勢力の幹部であるストレモウソフ氏は6日、ロシアの国防相を批判する内容の動画をSNSに投稿しました。

このなかで、ストレモウソフ氏はロシアの劣勢が続いている事について、ジョイグ国防相に対して「自分が国防相だったら自殺していると思うと言っている人が多い」と述べ、責任を追及しました。

ロシアではプーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近で、チェチェンの戦闘員を率いるカディロフ氏が1日、軍部を痛烈に非難したばかりです。

「私は無実」反戦訴え指名手配のロシア国営TV元職員 動画公開

ことし3月、ロシア国営テレビのニュース番組の放送中にスタジオで反戦を訴え、その後ロシア内務省により指名手配されていた元職員のマリーナ・オフシャンニコワさんが、5日SNSに動画を公開し「私は完全に無実だ。国家が法律に従うことを拒んでいるため、私も自身に科された拘束の措置に従うことを拒否する」と主張しました。

そして足に装着させられた電子タグを見せながら「プーチンは、ウクライナ人の大量虐殺を行い、大勢のロシア人を死亡させた。私ではなく、プーチンが社会から引き離され裁かれるべきだ」と訴えました。

バイデン大統領 ロシアの核危機を「ハルマゲドン」

アメリカのバイデン大統領はロシアのプーチン大統領がウクライナ情勢をめぐって核戦力の使用も辞さない構えを示していることについて、「ハルマゲドン=最終戦争」という言葉を使って東西冷戦時代に核兵器使用の懸念が現実味を帯びたいわゆる「キューバ危機」以来の核の脅威に直面しているとの認識を示しました。

アメリカのバイデン大統領は6日、ニューヨークで開かれた民主党の会合で演説し、ロシアのプーチン大統領がウクライナ情勢をめぐって核戦力の使用も辞さない構えを見せていることについて「彼が戦術核兵器や生物・化学兵器の使用に言及する時は、冗談で言っているのではない」と述べました。

そのうえで「キューバ危機以来、私たちはハルマゲドン=最終戦争の可能性に直面してこなかった」と述べ、東西冷戦中の1962年、旧ソビエトとアメリカが一触即発のにらみ合いとなり、核兵器使用の懸念が現実味を帯びた、いわゆる「キューバ危機」以来の核の脅威に直面しているとの認識を示しました。

一方、アメリカ国防総省のライダー報道官は6日、記者会見で、「現時点でプーチン大統領が核兵器を使用する決定を下したとは分析していない。今後も監視を続ける」と述べ、現時点でロシアが核兵器を使用する兆候は見られないとの認識を示しました。

木原官房副長官「蛮行を即座に停止するよう求める」

木原官房副長官は、閣議のあとの記者会見で「ロシアによる原発の占拠を含め、一連の行為は決して許されない暴挙だ。福島第一原子力発電所事故を経験したわが国として、強く非難する。ロシアに対して、このような蛮行を即座に停止するよう求めていく」と述べました。

IAEA事務局長 ザポリージャ原発は「ウクライナの施設」

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、首都キーウを訪問したIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長と会談しました。

この中で、ゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領がウクライナのザポリージャ原子力発電所をロシア政府の管理下に置くと発表したことについて、「これは国際社会への襲撃に等しい」と述べ、ロシアを強く非難しました。また、ゼレンスキー大統領は、今も原発敷地内に500人ほどのロシア兵が駐留しているとして、原発の非武装化の必要性を強調しました。

一方、グロッシ事務局長は会談後に会見し、ザポリージャ原発について「もちろんIAEAの立場はウクライナの施設だというものだ」と述べ、ロシアの主張は認められないとして近くロシアを訪れ、協議する考えを示しました。

IAEAは6日の声明で、原発の職員がロシア国営の原子力企業ロスアトムとの契約書に署名を求められていると明らかにし、こうした状況についてグロッシ事務局長は「職員たちは耐え難い状況で働いている」と述べ、懸念を示しました。

EUの枠超えて40超の国が参加「ヨーロッパ政治共同体」の初会合

ロシアによるウクライナへの侵攻が続くなか、EU=ヨーロッパ連合の枠を超えて40を超える国の首脳が参加し、共通の政治課題について話し合うことで、各国の連携を深めようと「ヨーロッパ政治共同体」の初めての会合が開かれました。

「ヨーロッパ政治共同体」はことし5月、フランスのマクロン大統領が提唱したものです。

ロシアによるウクライナへの侵攻が続くなか、基本的な価値観を共有するヨーロッパの各国が共通の政治課題を話し合うことで、連携を深めることがねらいです。

EUの議長国、チェコで6日行われた初会合には、EU加盟国のほか、EUを離脱したイギリスや、加盟を目指すウクライナやモルドバ、バルカン半島の国々など、合わせて40を超える国の首脳が参加しました。

このうちウクライナのゼレンスキー大統領はオンラインで参加しロシアを非難したうえで、「この政治共同体は平和のための共同体になりうるものだ」と訴えました。

初会合では、安全保障やエネルギー問題などについて意見を交わしたということで、次回は、モルドバで開催されることが決まりました。

国連 ウクライナの農産物輸出合意の延長に期待

ウクライナからの小麦などの輸出が安全に行われるよう監視にあたる共同調整センターの国連のトップがNHKの取材に応じ、両国の緊張が高まる中でも、輸出は進んできたとして、来月下旬に迎える合意の期限が延長されることに期待を示しました。

共同調整センターはことし7月、ロシアによる軍事侵攻で、ウクライナから小麦などの輸出が滞ったことを受けて、両国と仲介役のトルコと国連が結んだ合意に基づいて設置され、ウクライナからの貨物船が安全に航行できるよう4者で監視にあたっています。
共同調整センターの置かれるトルコのイスタンブールで6日、国連側のトップを務める、アブドラ調整官がNHKの取材に応じました。

アブドラ調整官は、5日時点で、およそ270隻の船が合わせて600万トン以上の農産物をウクライナから輸出したことに触れ「ウクライナの農家は再び作付けできるようになり、世界の食料価格も下がった」と述べ、大きな成果を上げていると強調しました。

そのうえで「双方の間の緊張は明らかに高まっているが、センターでは、船を動かし、輸出を止めないことに集中している。この取り組みを続けることは紛争を終えるための一歩になりうるかもしれない」と述べ、来月下旬に迎える合意の期限が延長されることに期待を示しました。

一方、アブドラ調整官は食料価格の安定などのため、ロシアから肥料の原料となるアンモニアの輸出に向けて関係者と議論を続けていることも明らかにしました。

ノルドストリームのガス漏れ「爆発が原因」スウェーデン当局

バルト海を経由してロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」では先月下旬、2本のパイプラインの合わせて4か所でガス漏れが確認されました。

このうち自国の排他的経済水域で2か所のガス漏れが確認され、捜査に当たっているスウェーデンの治安当局は6日「2本のパイプラインの近くで引き起こされた爆発によってパイプラインが大きく損傷した」と断定しました。

そのうえで、現場から複数の物質が回収されたことを明らかにし、これらの物質を分析するなど容疑者の特定に向けた捜査を続けるとしています。

「ノルドストリーム」のガス漏れをめぐっては、デンマーク政府も残る2か所についての捜査を続け、ヨーロッパでは何者かによる破壊工作が原因だという見方が強まっています。

一方、ロシアのプーチン大統領は欧米による破壊工作だと一方的に非難しています。

ゼレンスキー大統領「ロシア 原発占拠で脅迫」

ロシアのプーチン大統領は5日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所をロシア政府の管理下に置くと一方的に発表し、これに対しウクライナ側はロシア国営の原子力企業への制裁を呼びかけるなど、反発を強めています。

こうした中、ゼレンスキー大統領は6日、オーストラリアのシンクタンクが開いた講演会にオンラインで出席し「ロシアは原発を占拠することで、ヨーロッパやウクライナに圧力をかけ脅迫に使っている。原発は発電できず、人々は暖房を使えない」と述べ、電力需要が高まる冬を前に、ロシアが原発を利用して国際社会に圧力をかけようとしていると非難しました。

また、プーチン大統領がウクライナの4つの州を併合すると一方的に定めた文書に署名したことについては「ロシアの指導者はウクライナで実施したうその『住民投票』に対して世界がどう反応するか注視している。その反応が弱ければ、ロシアはより激しい行動をとるだろう」と述べ、ロシアを抑止するためにもウクライナへのさらなる支援を呼びかけました。

ロシア 国防委員長 国防省を批判「うそをつくのをやめるべき」

ロシア議会下院のカルタポロフ国防委員長は5日、国営テレビの番組で、ロシア国防省が発表する戦況の報告について、「うそをつくのをやめるべきだ」と述べ、国防省は正確な戦況を伝えておらず、軍の信頼の失墜につながると批判しました。

また、プーチン政権が発表した予備役の動員をめぐり、ロシア国内で混乱が広がっていることについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は5日、「プーチン大統領は、ロシア国防省、特にショイグ国防相を身代わりとするようにしたようだ」として、ショイグ国防相に責任を負わせようとしているとの見方を示しています。

ロシアでは、プーチン大統領に忠誠を示す、武闘派の側近もウクライナ軍の反撃によってロシア軍が東部の要衝から撤退した直後、軍の対応を痛烈に批判するなど国防省など軍部への批判や不満の声が相次ぐ事態となっています。

ザポリージャ州でロシア軍のミサイル攻撃 3人死亡 地元メディア

ロシアのプーチン政権は、ウクライナの4つの州の一方的な併合に踏み切るとともにロシア軍が各地でミサイル攻撃を続けていて南東部ザポリージャ州の知事は6日、ザポリージャ市の中心部にある集合住宅が攻撃を受けたと明らかにしました。

地元メディアによりますとこれまでに3人が死亡し、12人がけがをしたということです。

これに対してウクライナ軍は、東部ルハンシク州や南部ヘルソン州などで支配された地域の領土の奪還に向け反転攻勢を強めています。