ロシア「実質的にNATOとの戦い」欧米側の軍事支援を非難

ウクライナ軍は、ロシアからの領土奪還を目指して東部や南部で反転攻勢を強め、部隊が前進しているもようです。これに対し、ロシアのプーチン大統領の側近は「実質的に、NATO=北大西洋条約機構との戦いになっている」と述べ、欧米との対決姿勢を前面に打ち出しました。

ウクライナ軍は、ロシアからの領土の奪還を目指して反転攻勢を続け、東部ルハンシク州のハイダイ知事が5日、「州の解放が正式に始まった」と述べたほか、ゼレンスキー大統領も、南部ヘルソン州で集落を奪還したと発表しました。

イギリス国防省は6日、「ウクライナ軍は今月2日、ヘルソン州で新たな反撃の局面に入った。ウクライナ軍の部隊は南方へ20キロ前進した」と指摘しました。

また、ロシア軍は部隊を撤退させたいものの、政治的な命令によってとどまらざるをえず、ジレンマに立たされていると分析したうえで、ロシア軍は、ヘルソン州に精鋭の空てい部隊の大部分をすでに派遣していて、前線を安定させたくても追加で投入できる精鋭部隊はほとんど残されていないと指摘しています。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は5日、「ウクライナ軍の反撃は東部ハルキウ州で終わらず、ルハンシク州西部でも前進している」として、ウクライナ軍がヘルソン州とルハンシク州でそれぞれ優位に立っているという見方を示しています。
これに対し、ロシアのプーチン大統領の最側近の1人で、安全保障会議書記のパトルシェフ氏は5日、ロシアが支配する地域で「破壊工作やテロ行為の脅威が高まっている」と主張しました。

そのうえで、「実質的に、NATOとの戦いになっている。欧米側は、敵対行為をロシア領土でも行おうとしている」と述べ、欧米側のウクライナに対する軍事支援を非難しました。
プーチン政権は、一方的に併合したウクライナの4つの州をロシアの「領土」だと主張し、侵攻の名目に「領土防衛」を掲げ、欧米との対決姿勢を前面に打ち出しています。