ロシア思想家の娘死亡“ウクライナ政府の一部が関与か”米報道

プーチン大統領の「頭脳」とも呼ばれるロシアの著名な思想家の娘が、ことし8月に車の爆発で死亡した事件で、アメリカのメディアは、ウクライナ政府の一部が事件に関与していたとアメリカの情報機関がみていると伝えました。

ことし8月、ロシアの首都モスクワ郊外で走行中の乗用車が爆発し、プーチン大統領の外交政策に影響を与えてきたとされる思想家、アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘でジャーナリストのダリア氏が死亡しました。

アメリカの有力紙のニューヨーク・タイムズは5日、この事件について、複数の当局者の話として、アメリカの情報機関はウクライナ政府の一部が爆発物による暗殺計画を許可したとみていると伝えました。

そのうえで複数の当局者はアメリカは事前に暗殺計画を把握しておらず、支援もしていないとしていて、事件のあとにはアメリカがウクライナ側に対し忠告をしたとも話しているということです。

また、当局者は暗殺計画の標的が実際はドゥーギン氏だった可能性があると話しているということです。

そして、伝統的に他国の秘密工作は明らかにされないとしたうえで、当局者はウクライナによる危うい行動を抑えなければならないと考えていると伝えています。

この事件をめぐっては、ロシア側が犯行はウクライナの情報機関によるものだと発表したのに対し、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は関与を否定していました。

ロシア「米が責任を逃れようとしないこと願う」

これについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は6日、「アメリカの情報機関が認めたのであれば、もちろん前向きなことだ」と述べ、犯行はウクライナの情報機関によるものだという立場を改めて示しました。

その一方で「ウクライナ政府が将来もテロ攻撃を準備している場合、その情報を持っているアメリカが責任を逃れようとしないことを願っている」と述べ、アメリカを批判しました。