ロシア 原発を政府管理下 ウクライナ反発 IAEAが双方と協議へ

ロシアのプーチン大統領がウクライナの原子力発電所をロシア政府の管理下に置くと発表したのに対し、ウクライナ政府は強く反発しています。IAEA=国際原子力機関は近くロシアとウクライナの双方と協議する予定だと明らかにし、原発の安全性を維持できるかが焦点となります。

ロシア大統領府は5日、プーチン大統領がウクライナの4つの州を併合すると一方的に定めた文書に署名したと発表しました。

さらにウクライナにあるザポリージャ原子力発電所を、ロシア政府の管理下に置くことを命じる大統領令にも署名したと発表し、原発の施設などはロシア政府が所有し、安全管理や運営を担うために新たに国営企業を設立するとしています。

これに対しウクライナ側は強く反発していて、ポドリャク大統領府顧問は5日、SNS上で直ちに対応が必要だと述べ、ロシア国営の原子力企業ロスアトムへの制裁や、原子力産業でロシアとの提携を拒否することなどを国際社会に訴えました。
こうした中、IAEAは声明を発表し、グロッシ事務局長が近くウクライナとロシアを訪問し、ロシアが原発を管理下に置こうとしていることや、原発周辺に安全な区域を設定することなどについて、双方の関係当局と協議する予定だとしています。

ロシアが占拠するザポリージャ原発は、先月には周辺での相次ぐ砲撃で一時的に外部電源を失う事態にもなっていて、協議を通じて安全性を維持できるかが焦点となります。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、5日に公開した動画で、南部ヘルソン州で3つの集落を奪還したと明らかにし「平穏で安定した暮らしが再びできるようになる」と述べ、今後もロシアからの領土の奪還を進めていく考えを示しました。