プーチン大統領 “原発 政府管理下に” 支配の既成事実化 加速

ロシアのプーチン大統領はウクライナの4つの州を一方的に併合する手続きを完了させるとともに、ウクライナの原子力発電所をロシア政府の管理下に置く大統領令に署名するなど支配の既成事実化を加速させています。これに対しウクライナ政府は領土の併合は無効だと強く非難し、反転攻勢を強めています。

ロシア大統領府は5日、プーチン大統領が、▼ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、▼南東部ザポリージャ州、▼南部ヘルソン州の合わせて4つの州を併合すると一方的に定めた文書に署名したと発表しました。

さらにウクライナにあるザポリージャ原子力発電所をロシア政府の管理下に置くことを命じる大統領令にも署名しました。

大統領令では、原発の施設などはロシア政府が所有し、安全管理や運営を担うために新たに国営企業を設立するとしています。

プーチン政権は今後、一方的に併合した地域の「領土防衛」を名目に侵攻を継続していく方針です。

プーチン大統領は5日、教育関係者とのオンラインでの会合でロシア側が行った住民投票だとする活動について、「納得のいくものであり、透明性もあり、疑問の余地がない」と正当性を改めて主張しました。

そして、一方的に併合したウクライナの地域の学校にロシア語やロシアの歴史教育などを導入すると強調し、支配の既成事実化を加速させています。

これに対しウクライナ政府はロシアによる一方的な領土の併合は無効だと強く非難するとともに、反転攻勢を強めています。

ことし7月にロシアが全域掌握を宣言したルハンシク州のハイダイ知事は5日、SNSに投稿した動画の中で「いくつかの集落はすでにロシア軍から解放されていて、そこではウクライナ軍が国旗を掲げている」と述べました。

ウクライナ軍は東部ドネツク州の要衝リマンの奪還に続き、東部のほかの地域や南部ヘルソン州などで反撃し、ロシアからの領土の奪還を進めていると見られます。