“ウクライナで深刻な環境汚染” UNEP事務局長が懸念示す

UNEP=国連環境計画のインガー・アンダーセン事務局長がNHKの単独インタビューに応じ、ロシア軍の激しい爆撃などによりウクライナ国内で水質や土壌など、深刻な環境汚染が広がっているとし、重大な懸念を示しました。

来日したアンダーセン事務局長が都内でNHKの取材に応じました。

この中で、アンダーセン事務局長は、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナ国内の環境汚染について、「工場や発電所などへの激しい爆撃により有害な物質が流れ出して周辺の土壌、地下水、大気を汚染している」とし、「長期間にわたり人への健康を含めて深刻な影響をもたらすだろう」と重大な懸念を示しました。

そのうえで、「環境分野で日本には高い技術力があり復旧や復興のためウクライナの人たちに大きな貢献ができる」と期待を述べました。

一方で、ロシアからヨーロッパへの天然ガスの供給が減り、冬を前にエネルギー不足が懸念される中、各国で古い石炭火力発電所を再稼働させる動きが広がっていることについても懸念を示し、「逆戻りしてはいけない。各国は気候変動対策として再生可能エネルギーへの投資を加速させなければならない」と訴えました。

そして、アンダーセン事務局長は、「戦争による環境汚染の影響を除去するためには、何十年もかかることが過去の戦争からも明らかだ。ウクライナでの戦闘を1日も早く終結させなければならない」と述べました。