【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月5日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナの日本大使館 業務再開で7か月ぶりに国旗掲揚

日本政府はロシアの軍事侵攻を受けて、ことし3月に一時的に閉鎖したウクライナの日本大使館の業務を5日、再開しました。

ウクライナの首都キーウにある日本大使館は、軍事侵攻によってことし3月に一時的に閉鎖し、職員は隣国ポーランドに退避したうえで、在留邦人の安全確保や国外に避難するウクライナの人たちへの支援などにあたってきました。

日本政府は現地の情勢を慎重に検討してきましたが、その結果、安全が確認されたとして、5日、大使館業務を再開させました。

業務再開にあわせて、日本大使館の松田邦紀 大使は午前9時半、大使公邸前に7か月ぶりに日本の国旗を掲げました。

松田大使は「改めて大使館業務の責任の重さを痛感し、身が引き締まる思いだ。ウクライナ政府や国際機関の関係者と対面で、ひざを交えた議論ができることが極めて重要だ」と述べました。

キーウの日本大使館では、ウクライナ政府や各国大使館と緊密に連携をはかり、厳しい冬を前に国内で避難している人への支援などに力を入れていくことにしています。

一方、ビザの発給などの領事業務は当面、ポーランドにある臨時の連絡事務所で続けるとしています。

ハルキウ州で指揮のロシア軍司令官が交代 事実上の更迭

ロシアのメディアは、東部ハルキウ州の軍事侵攻を指揮していたロシア軍の司令官が交代したと伝えていて、9月、ウクライナ軍の反撃によってハルキウ州の大部分を失ったことから、事実上の更迭と受け止められ、ロシアでは軍部批判も表面化しています。

英国防省「ウクライナ軍 東部や南部で反転攻勢続く」

プーチン政権が、4つの州の一方的な併合を正式に決めたことに対して、ウクライナ側は領土を奪還する構えを強調し、東部ドネツク州の要衝リマンの奪還に続き、東部のほかの地域や南部ヘルソン州などで反転攻勢を続けています。

イギリス国防省は5日、ウクライナ情勢の分析を更新しました。

それによりますとウクライナ軍は、ロシアが全域掌握を宣言した東部ルハンシク州で、ロシアが補給の拠点としている街に向けて前進し、補給能力にさらに圧力をかけていると指摘しています。

そして、「ルハンシク州はプーチン政権が併合を宣言したばかりで、ウクライナ軍の部隊が迫っていることに対し、ロシアの指導部は懸念を強めているとみられる」と分析しています。

「プーチン大統領が核実験を計画」英紙伝える

イギリスの新聞「タイムズ」は3日、ロシアのプーチン大統領が、ウクライナとの国境付近で核実験を計画し、NATO=北大西洋条約機構が加盟国に警告した可能性があると伝えました。

「タイムズ」によりますと、核兵器を管理する秘密の部隊の列車が、ウクライナに向かったという見方があるとしています。

これについて、アメリカ国防総省のクーパー国防次官補代理は4日、記者会見で「報道は見たことがあるが裏付けるものはない」と述べました。
そして、ロシアが核兵器の使用を検討していることを示す兆候が見られるか問われたのに対し、「われわれは、確かにプーチン大統領が威嚇しているのを耳にしているが、核に関して、われわれの態勢を変えなければならないような兆候は見られない」と指摘しました。

日本被団協 侵攻の一刻も早い終結求めるアピール文 採択

日本被団協は、ロシアによる核兵器の使用を許さず、ウクライナ侵攻の一刻も早い終結などを求めるアピール文を採択しました。

5日、都内で開かれた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の代表者会議には、広島や長崎などからおよそ50人が出席し、日本政府に核兵器禁止条約の署名や批准を求めるアピール文と、核兵器と戦争の危機から人類を救うために、ロシアによる核兵器の使用を許さず、ウクライナ侵攻の一刻も早い終結を求めるアピール文がそれぞれ採択しました。

プーチン大統領 “4州併合” 文書に署名

ロシア政府は、プーチン大統領が、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、南東部ザポリージャ州、南部ヘルソン州の合わせて4つの州を併合すると一方的に定めた文書に4日、署名したと発表しました。

プーチン政権としては、議会での可決など法的な手続きを強行し、これらの4つの州の一方的な併合を正式に決めたものですが、国際社会は強く非難し、ウクライナ側は、領土の奪還に向けて反転攻勢をいっそう強める構えです。

ゼレンスキー大統領「4州で数十の集落を解放」

ウクライナ国防省は4日、SNSに南部ヘルソン州の村にウクライナの国旗を掲げる動画を投稿するなど、ロシアが一方的に併合しようとしている東部や南部で反転攻勢を強めています。

ゼレンスキー大統領は4日に公開した動画で、「ウクライナ軍は防衛作戦として、南部を中心に迅速かつ強力な進撃を続けている。今週だけでも、すでにヘルソン州やハルキウ州など、合わせて4つの州で数十の集落が解放された」と発表しました。

そのうえで、「すべての領土から占領者を追い出すのは時間の問題だ」と述べ、領土奪還に向けて今後も進撃が続くと強調しました。

ウクライナの日本大使館 キーウで業務再開 外務省が発表

外務省は、隣国のポーランドに退避させていたウクライナ大使と職員数人を首都キーウに戻し、5日から大使館業務を再開したと発表しました。

外務省は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて首都キーウの大使館の職員を隣国のポーランドに退避させて、現地に滞在する日本人への情報提供などの業務を継続してきましたが、日本を除くG7各国がキーウでの大使館業務を再開していることや、現地の治安状況などを総合的に検討した結果、松田邦紀ウクライナ大使と職員数人をキーウに戻し、5日から大使館業務を再開したと発表しました。

当面は、最小限の職員で情報収集やウクライナをはじめとした各国との連絡・調整などに限って業務を行い、滞在者の保護などの領事業務は、引き続きポーランドの首都 ワルシャワにある日本大使館などで対応するとしています。

国連総会の緊急特別会合 開催へ

ロシアが、ウクライナの東部や南部の4つの州を一方的に併合しようとしていることをめぐり、国連総会の緊急特別会合が来週、開かれることが決まりました。

国連の安全保障理事会では9月30日、親ロシア派の勢力がウクライナの東部や南部の4つの州で行った「住民投票」だとする活動について、違法行為だと非難しました。

そのうえで、ロシアによる領土の変更の根拠にすることはできないなどとした決議案の採決が行われましたが、ロシアが拒否権を行使して、決議案は否決されました。

これを受けてウクライナとアルバニアが、国連総会の緊急特別会合の開催を要請し、10月10日から開かれることが決まりました。

会合には、すべての国連加盟国が参加でき、各国の代表による演説が数日間行われ、ウクライナの4つの州を一方的に併合しようとしているロシアの行為は認められないなどと非難する決議案の採決が行われる見通しです。

欧米各国としては、国連総会で決議案を採択し、ロシアへの圧力を強めたい考えで、今回の会合で決議案にどの程度の支持が集まるのかが焦点です。

ゼレンスキー大統領 “一方的な併合は無効”大統領令に署名

ウクライナの大統領府は4日、ゼレンスキー大統領がロシアによるウクライナの領土の一方的な併合は無効だとする大統領令に署名したと発表しました。

この中でゼレンスキー大統領は、ウクライナの主権と領土の保全は、国際的に認められた国境線に基づき、不可分かつ不可侵であると指摘しています。

そのうえで、ウクライナの主権はその領土全域に及んでいるとして、ロシアによる一方的な併合は無効だとし、改めてロシア側を強くけん制しました。

イタリア議会 第1党の党首「ロシアの併合宣言は価値ない」

先月のイタリア議会選挙の結果、上下両院で第1党となった右派政党「イタリアの同胞」のメローニ党首が4日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談しました。

イタリア側によりますと、メローニ党首は、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナ国民の自由のために全面的な支援を惜しまないとしたうえで「ロシアがウクライナの4つの州を併合したとする宣言は、法的にも政治的にも価値はない」と述べました。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、メローニ党首が率いる右派政党「イタリアの同胞」が躍進したことに祝意を示すとともに、メローニ党首による首都キーウへの早期訪問に期待を示しました。

バイデン大統領 6億ドル超の軍事支援を表明

アメリカのバイデン大統領は4日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談し、6億2500万ドル、日本円にしておよそ900億円の軍事支援を新たに行うと明らかにしました。

ホワイトハウスの声明によりますと、バイデン大統領は会談でロシアによるウクライナの領土の一方的な併合を決して認めないことを強調したうえで「ロシアの軍事侵攻に対する自衛のため、ウクライナを必要なかぎり支援し続けることを約束した」としています。

新たな軍事支援には高機動ロケット砲システム=ハイマース4基や装甲車両200台、砲撃システム、それに弾薬などが含まれるということです。

そのうえで「ロシアが主張する併合を支援するいかなる個人、団体、国に対しても、厳しい代償を払わせる用意があることを確認した」としています。

ロシア 予備役の動員めぐり混乱「約半数が兵役基準を満たさず」

ロシアのプーチン政権が進める予備役の動員をめぐり、ロシア極東ハバロフスク地方のデクチャリョフ知事は多くの誤りがあったとして、招集にあたる地元の責任者を解任したと発表しました。

デクチャリョフ知事は3日に開かれた会議で「過去10日間で招集された数千人のうち、およそ半数が兵役に就く基準を満たさなかったので帰宅させた。障害がある娘を1人で育てている男性は戦地の最前線に行く以上に家で必要とされている。過剰な動員は止めなければならない」と強調しました。

プーチン政権は招集の責任を地方のトップに負わせていますが、高齢者や持病がある人など対象ではない人まで次々と動員されるずさんな実態が明らかになり、首都モスクワの市長でプーチン大統領の側近の1人、ソビャーニン氏も先月28日、一部の人に対する招集の撤回を余儀なくされるなど混乱が広がっています。

ロシア国防相 “20万人以上が招集され 軍の部隊に”

ロシアのショイグ国防相は、プーチン大統領が踏み切った予備役の部分的な動員について、これまでに20万人以上が招集されて軍の部隊に入ったと発表しました。

ショイグ国防相は4日、国防省の幹部を集めた会議で「新兵をできるだけ早く戦闘地域の環境に適応させるため」として、招集した兵士らを将校のもとで訓練させたうえで、ウクライナ侵攻を続ける軍の部隊に加える考えを示しました。

動員をめぐっては、プーチン大統領が先月21日に予備役の動員を表明した際、ショイグ国防相はその規模が30万人だと説明しましたが、独立系のメディアは、100万人の動員を可能とする条項が大統領令の中に非公開で含まれていると伝えています。

ロシア国内では動員に抗議する活動が各地で起きたり、大勢の人たちが招集をおそれて周辺国へ逃れたりして反発や混乱が広がり、プーチン大統領が、優先的な対象ではない人も招集されているとして動員の過程で誤りがあったと認める事態になっています。