ウクライナの軍事専門家“リマン奪還 ロシアに相当な打撃”

ウクライナ軍が東部ドネツク州の要衝リマンをロシア軍から奪還したことについて、ウクライナの軍事専門家は3日、NHKのインタビューに対し「ロシア軍は重要な補給拠点を失った。さらにロシアの政治的・軍事的な指導力のイメージに相当な打撃を与えた」と分析しています。

インタビューに応じたのは、ウクライナ軍に長年在籍し、現在は軍事専門家として活動するセルヒー・ズフーレツ氏です。

ズフーレツ氏は、ロシア軍にとってリマンは「装備や兵器、それに燃料を補給し、けがをした兵士を一時的に受け入れるための重要な拠点となっていた」と指摘しました。

そのうえで、ウクライナ軍が奪還したことについて「極めて重要だ。ドネツク州のウクライナ軍兵士を南北から包囲しようとするロシア軍の計画は頓挫した」と強調しました。

一方で、ロシア側にとっては「政治的・軍事的な指導力のイメージに深刻な打撃を与えた」と分析しています。

そして、今後のウクライナ軍の動きについては「奪還したリマンから隣のルハンシク州の町へ、また、ハルキウ州からもルハンシク州の町に向かうだろう」と述べ、ウクライナ軍の攻勢が続くという見方を示しました。

また「冬になると、補給や兵器の移動が難しくなる。ウクライナ軍は秋のうちに可能なかぎりの前進を目指すだろう」と述べました。

一方、ロシアのプーチン大統領が先月30日の演説でウクライナ側に対して交渉に応じるよう呼びかけたことについては「戦闘を冬まで長引かせることで、欧米の足並みが乱れることを期待しているのだろう。しかし、期待どおりにはなっておらず、時間稼ぎには意味がない」と指摘しました。