岸田内閣発足1年 下落に転じた支持回復に向け経済対策に全力

岸田内閣の発足から4日で1年です。夏まで安定していた内閣支持率は、安倍元総理大臣の「国葬」をめぐる対応や、旧統一教会の問題を背景に下落していて、物価高を受けた経済対策に全力をあげることなどで支持の回復につなげたい考えです。

岸田内閣は、去年10月4日の発足から、4日で1年となります。

新型コロナ対策を最優先に掲げ、厳格な水際対策や医療提供体制の確保により、感染拡大防止と社会経済活動との両立を図ってきました。

また、ロシアのウクライナ侵攻を受け、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し、対ロ制裁やウクライナ支援を続けてきました。

そして、発足直後の去年10月の衆議院選挙と、ことし7月の参議院選挙で与党を勝利に導きました。

しかし、銃撃事件で亡くなった安倍元総理大臣の「国葬」の実施をめぐり、世論の賛否が分かれたほか、旧統一教会と自民党議員らの関係が相次いで明らかになりました。

こうしたことを背景に、おおむね50%台で推移してきた内閣支持率は、8月に下落に転じ、先月は40%と、発足以来、最低となりました。

岸田総理大臣は、3日召集された臨時国会の所信表明演説で「国民の厳しい声にも、真摯(しんし)に、謙虚に、丁寧に向き合っていくことを誓う」と強調しました。

岸田総理大臣としては「国葬」をめぐる対応や旧統一教会の問題で説明を尽くすとともに、物価高や円安を受けた経済対策に全力をあげることなどで、支持の回復につなげたい考えです。

岸田首相「これからも全身全霊 務めを果たすべく努力続けたい」

岸田内閣の発足から4日で1年となったことを受けて、岸田総理大臣が夜、記者団の取材に応じ、新型コロナ対応やロシアによるウクライナ侵攻など数十年に一度の事態に向かい合ったと振り返ったうえで、引き続き全身全霊で務めを果たす考えを強調しました。

この中で岸田総理大臣は、「北朝鮮のミサイル発射のみならず、新型コロナ対応、ロシアのウクライナ侵略、エネルギーと食料の危機、それに伴う物価高騰、安倍元総理への銃撃など、まさに数十年に1度といっていい大きな事態が次々と起こり、向き合ってきた1年だった」と述べました。

そのうえで、「日本も世界も歴史の大きな転換点にあるのだと思う。国民の『信頼と共感』を頂きながら、こうした、次々と起こる事態に対して国民の信頼と共感をいただきながら立ち向かい、未来を切り開いていくのが総理大臣の役目であると感じている。これからも全身全霊、務めを果たすべく努力を続けたい」と述べました。

茂木幹事長「国民からの厳しい目を直視」

自民党の茂木幹事長は、記者会見で「政権発足後すぐに行われた衆議院の解散・総選挙で大きな勝利を飾り、参議院選挙でも自民党として改選議席の過半数を確保することができ、政治の安定という力を国民から与えていただいた」と振り返りました。

そのうえで、「『信頼と共感の政治』を進め、さまざまな対策に取り組んできた一方で、コロナによって痛んだ経済の立て直しは道半ばであり、ウクライナ情勢で原油価格の値上がりなど新しい危機が生まれている。国難と言えるような難しい状況に直面する中で、国民からも厳しい目が向けられていることを直視し、一つ一つの課題をしっかりと解決することによって国民からの期待に応えていきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「ここからは『語る力』も重視を」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「『聞く力』を中心に国民の声をしっかり聞いて政策に取り組んできたが、ここからは少し『語る力』も重視してほしい。1年目はいろいろあった中でよくここまでやってきたと思うが、習熟した政権として2年目の安定を期待をしたい」と述べました。

公明 山口代表「政権発足当初の基本姿勢 いま一度確認を」

公明党の山口代表は、政府与党連絡会議で「岸田内閣は国難とも言うべき多くの課題に直面している。いま一度、政権発足当初に合意した、国民の声を聞き謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めるという基本姿勢を確認すべきだ。政府与党が結束して難局を乗り越え、国民本位の政策を前に進めていきたい」と述べました。

立民 岡田幹事長「『聞く力』聞いているだけ」

立憲民主党の岡田幹事長は、記者会見で「『聞く力』で聞くのはいいが、聞いているだけではないか。『国葬』の問題でも、丁寧に説明すると言って、同じことを繰り返した印象で、突っ込んだ質問をしても、同じ答えが返ってくる。これでは聞いていることにならないので、改めてもらいたい」と述べました。

そのうえで「私は日本の民主主義が相当危険な状況にあるという問題意識を持っており、岸田総理大臣には、そういう認識で過去10年間と違うやり方を心がけてもらいたい。総理大臣が代わることで期待していたが、今までのところ、やっていることは同じだ」と述べました。

国民 玉木代表「受け身的な1年間で『安全運転』だった」

国民民主党の玉木代表は記者会見で、「ウクライナ危機や新型コロナなど、起こったことに対応するのが中心だった受け身的な1年間で『安全運転』だったとも言える。国内外の課題が山積している中、2つの国政選挙を乗り越えたので、積極的に課題に取り組み、本物のリーダーシップを発揮してもらいたい」と述べました。

専門家「聞く力を合意形成力にバージョンアップすべき」

歴代の政権に詳しい一橋大学の中北浩爾教授は「岸田政権の看板の『聞く力』は、国民や野党の批判に耳を傾け、場合によっては、それに従って政策の内容を変えていくということで参議院選挙までは意味があったと思う」と述べました。

そのうえで「これからは、岸田政権として進めたい政策を実行していく局面に入っていくので、国民の後押しを受けながら、野党とも話し合って合意を形成し、それによって政策を推進していくことが必要だ。『聞く力』を『合意形成力』にバージョンアップすべきだ」と指摘しました。

また、物価高騰対策については「物価は、欧米諸国などに比べれば、まだまだ低い。この問題で肝になるのは、物価が上がったけれども給料が上がっていないという点にある。賃上げの取り組みを今後、積極的に講じていくことが求められる」と述べました。