「自宅」で亡くなる人の割合増加 長引くコロナ禍影響か

国内で亡くなった人の死亡場所などをまとめた国の統計で、去年までの2年間に自宅で亡くなった人の割合が増加したことが分かりました。厚生労働省は、長引くコロナ禍の影響で、人生の最終段階を自宅で過ごす人が増えているとしていて、専門家は在宅で医療や介護を受けられる体制の整備が必要だと指摘しています。

厚生労働省が9月、公表した「人口動態統計」によりますと、去年1年間に死亡した人の数は143万9856人で、亡くなった場所の割合で最も多いのは
▼「病院」で65.9%、続いて
▼「自宅」が17.2%、
▼「老人ホーム」が10%などとなっています。

このうち「自宅」で亡くなった人の割合は2000年代以降、一貫して13%前後で推移し、
▼2019年は13.6%でしたが、
▼2020年は15.7%、
▼2021年は17.2%と去年までの2年間で3.6ポイント増加しました。

一方、最も割合が多い「病院」は▽2019年の71.3%から▽2021年には65.9%と、5.4ポイント減少しました。

これについて厚生労働省は、長引くコロナ禍で病院や高齢者施設での面会制限が続く中で人生の最終段階を自宅で過ごす人が増えていることに加えて、入院したくてもできない人がいたことなども影響しているのではないかとしています。

在宅での医療・介護などに携わる団体でつくる「日本在宅ケアアライアンス」の理事長を務める新田國夫医師は「自宅で最期を迎えることを希望する人は多いが、超高齢社会にあって、国内の在宅医療はまだまだ質・量ともに不足していて、希望する人が選べるようにするために医師だけでなく訪問看護・介護などを含めて地域ごとに体制を作り上げていくべきだ」としています。