ロシア 一方的併合の領土「防衛」名目で軍事侵攻継続の構え

ロシアのプーチン大統領はウクライナの東部や南部の4つの州について一方的な併合に踏み切り、これらの領土を「防衛」するという名目でも軍事侵攻を継続する構えです。これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は領土の奪還に向けた作戦を続ける方針を強調していて、ロシア軍に占拠された東部ドネツク州の要衝への攻勢を強めています。

ロシアのプーチン大統領は先月30日、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、南東部ザポリージャ州、南部ヘルソン州の4つの州を併合すると定めた「条約」だとする文書に署名し、一方的な併合に踏み切りました。

ロシア軍はこれらの領土を「防衛」するという名目でも軍事侵攻を継続する構えです。

ウクライナ側によりますと、ザポリージャ州では30日、市民の乗った車の列がロシア軍による攻撃を受け、30人が死亡し、およそ100人がけがをしたということです。

この攻撃についてイギリス国防省は1日「対空用のミサイルの弾薬が地上への攻撃に使われたとみられる。本来の用途とは異なるものだ」として、ロシア軍の兵器不足が深刻化していると指摘しています。

一方、ウクライナ軍はことし5月にロシア軍に占拠されたドネツク州の要衝リマンへの攻勢を強めていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は先月30日、ウクライナ軍が3日以内に包囲するか、または奪還に成功する可能性が高いという見方を示しました。

ゼレンスキー大統領は30日に公開したビデオメッセージの中で「ウクライナ軍は東部で重大な成果を挙げた」と述べ、領土の奪還に向けた作戦を続ける方針を強調しました。

ウクライナ軍は交通の重要拠点であるリマンを奪還することで、州内のほかの拠点や隣接するルハンシク州の拠点の奪還もねらっているとみられ、ウクライナ東部の全域を掌握しようというプーチン大統領の試みの失敗につながるという見方も出ています。