海底パイプラインのガス漏れめぐり 米ロが激しい応酬

ロシアとドイツを結ぶ海底パイプラインのガス漏れをめぐり、プーチン大統領が欧米による破壊工作だと一方的に非難したのに対し、アメリカのバイデン大統領は、ロシアがうそを広めていると反論し、激しい応酬となっています。

バルト海を経由して、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」では、9月下旬、ガスが漏れているのが相次いで確認されました。

これについてロシアのプーチン大統領は9月30日、演説で「アングロサクソンの人々にとって、制裁だけでは十分ではなく、破壊工作に移行した」と述べ、欧米による破壊工作だと一方的に非難しました。

これに対して、アメリカのバイデン大統領は30日、ホワイトハウスで演説し、ガス漏れについて「意図的な破壊工作だ」としたうえで、「ロシアはうそを広めている。プーチンの言っていることに耳を傾けてはならない」と反論し、米ロ間で激しい応酬となっています。

ノルドストリームは、NATO=北大西洋条約機構の加盟国のドイツをはじめ、ヨーロッパの国々にとって重要なエネルギーインフラで、バイデン大統領は事態が落ち着いた段階で現場にダイバーを派遣し、原因の究明に乗り出す考えを示しました。

バイデン大統領はこれまで、「NATOの領域は1インチたりとも譲らず、守る」と繰り返してきました。

またNATOも、加盟国の重要インフラを意図的に攻撃すれば、断固とした対応を取る姿勢を示しており、ガス漏れの原因に国際的な関心が集まっています。

国連 安全保障理事会で緊急会合

ロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」のガス漏れをめぐり、国連の安全保障理事会ではロシアの要請で緊急会合が開かれ、ロシアはアメリカが関与した破壊工作の可能性があると主張したのに対し、アメリカはロシアがうその情報を広げるために安保理を利用していると非難し、激しい応酬となりました。

安保理では30日「ノルドストリーム」のガス漏れをめぐり、ロシアの要請で緊急会合が開かれました。

会合では国連の担当者が被害状況について報告したあと、ロシアのネベンジャ国連大使が発言し、ガス漏れで利益を得るのはヨーロッパに天然ガスを供給するアメリカの業者だと主張し「この破壊工作に誰が関わったかを必ず特定する。特定の国の関与が確認されたら、紛争を意図的に激化させたことになる」と述べ、アメリカをけん制しました。

これに対してアメリカのミルズ国連次席大使は「アメリカはこの問題へのいかなる関与も強く否定する」と述べたうえで「ロシアは陰謀論とうその情報を広めるために安保理の場を利用しており、許してはならない。われわれはロシアの行為を調査し、説明責任を追及しなければならない」と非難しました。

会合では各国から経済面だけでなく環境への影響を懸念する声もあがり、ロシアと欧米側との新たな火だねとなる様相を見せています。