ロシア プーチン大統領「正当な理由なく動員の人は家に帰す」

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領はみずから踏み切った予備役の部分的な動員について「誤りがあったとすれば正さなければならない」などと述べ、動員の過程で誤りがあったことを認めました。
反発や混乱が広がる中、世論に配慮する姿勢を示すことで社会の不安定化を避けたいものとみられます。

プーチン大統領は29日、首都モスクワで安全保障会議を開き、今月21日から全土で進めている予備役の部分的な動員について発言しました。

この中でプーチン大統領は持病がある人や招集の対象年齢を過ぎた人なども動員されているという情報があるとしたうえで「誤りがあったとすれば正さなければならず、正当な理由なく動員された人は家に帰さなければならない」と述べ、動員の過程で誤りがあったことを認めました。

そして「騒がず冷静に、しかし迅速かつ徹底して対処しなければならない」と強調しました。

動員をめぐってロシア国内では各地で抗議活動が起きたり招集を逃れようと市民が周辺各国へ押し寄せたりして反発や混乱が広がっていて、プーチン大統領としては世論に配慮する姿勢を示すことで社会の不安定化を避けたいものとみられます。

ロシア世論調査 動員は半数近くが「不安や恐怖」と回答

ロシアで進められている予備役の動員についてロシアの独立系の世論調査機関は、調査した人の半数近くが不安や恐怖を感じていると回答したと発表しました。

民間の世論調査機関「レバダセンター」は9月22日から28日にかけて、ロシア国内の18歳以上の1600人余りを対象に予備役の動員について対面で調査した結果を29日に発表しました。

この中で「動員についてどう感じるか」複数回答で聞いたところ、
▽「不安や恐怖」が47%と最も多く、
次いで
▽「ショック」と「国への誇り」がそれぞれ23%、
▽「怒りや憤り」が13%でした。

また、今後、総動員が発令されることを恐れているかという質問に対して
▽「間違いなく恐れている」が36%、
▽「どちらかというと恐れている」が30%で、
動員の対象が国民全体に及ぶことを恐れているのは3分の2に上りました。

ことし2月のウクライナ侵攻直後に行われた調査で総動員の発令を恐れていると答えたのは合わせて28%にとどまっていて、今回、プーチン大統領が踏み切った動員によって国民の間で不安が広がっていることがうかがえます。

「レバダセンター」は政権から「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも独自の世論調査活動や分析を続けています。