鈴木財務相「食料価格高騰でアジア開発銀行は積極的な支援を」

鈴木財務大臣は、フィリピン・マニラで開かれているADB=アジア開発銀行の年次総会に出席し、世界的に食料価格が高騰する中でADBが加盟国に対して積極的に資金的な支援を行うことが重要だという認識を示しました。

ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で小麦や肥料の価格が高騰し、ADBの域内でも貧困層などへの支援を求める声が上がっています。

このためADBは今週、加盟各国に対して合わせて140億ドル、日本円でおよそ2兆円の資金を供給することを決めました。

鈴木大臣は総会で「食料価格の高騰は特に社会的にぜい弱な層に深刻な影響を与えている。ADBが途上国に対する積極的な支援を行うことを期待したい」と発言しました。

総会のあと、鈴木財務大臣は記者団に対して「日本が重視している課題として食料問題などにADBとともに積極的に取り組んでいく」と述べました。

また、鈴木大臣は経済危機に陥り対外債務の返済を停止しているスリランカのウィクラマシンハ大統領と会談したことを明らかにし、「中国やインドなどすべての債権者が一堂に会して議論し、公平な負担で債務問題に対処することが重要だ。必要な前提条件が整えば、日本としても役割を果たす用意があると伝えた」と述べました。

鈴木財務相「為替動向に十分注意 必要あれば措置を」

鈴木財務大臣は急激な円安への対応について訪問先のフィリピン・マニラで記者団に対し、「急激な、しかも一方的な変動は望ましくなく、市場の投機筋の動きによって本来あるべき姿が変えられるということに対しては是正をすることが重要だ」と述べ、先週、政府・日銀が行った市場介入の正当性を強調しました。

そのうえで「急激な為替の変動があると企業や家計も困るので、投機的な動きを背景にした急激な動きがあるときは断固とした対応を取ることが必要だ。今後とも為替の動向には十分に注意をしながら、必要があれば必要な措置を取っていく」と述べました。