プーチン大統領 “ロシアが4州を併合” 30日に文書に調印へ
ロシア大統領府はプーチン大統領が30日にウクライナの東部と南部の4つの州をロシアが併合する文書に調印すると発表しました。
プーチン大統領が一方的な併合に踏み切ることになり、ウクライナや国際社会の非難がさらに強まるとみられます。
ロシアのプーチン政権を後ろ盾とする親ロシア派の勢力は、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、南東部ザポリージャ州、それに南部ヘルソン州の4つの州で「住民投票」だとする活動を強行した結果、今月27日、住民の大多数がロシアへの編入に賛成したと一方的に発表しました。
その後、親ロシア派の幹部は首都モスクワを訪れてプーチン政権に対して編入を要請し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日、プーチン大統領がモスクワのクレムリンで30日の午後3時、日本時間の30日午後9時から併合に関連する式典を開くと発表しました。
プーチン大統領は4つの州の親ロシア派の幹部と面会しロシアが併合する文書に調印するとしていて、式典で併合について演説する予定だということです。
さらにロシアのメディアは、式典のあとモスクワの中心部など各地で併合に関連するイベントが行われる見通しだと伝えています。
ウクライナ軍が東部や南部で反転攻勢を続ける中、プーチン大統領は危機感を強めているとみられる一方、今月発表された予備役の動員によってロシア国内で混乱が広がっています。
プーチン大統領としては一方的な併合に踏み切りロシアの領土だと主張することで、ウクライナや軍事支援を行う欧米側をけん制するとともに、国民の愛国心を高めたい思惑もあるとみられます。
8年前の2014年にもウクライナ南部クリミアで親ロシア派が住民投票を実施し、その結果を根拠にプーチン大統領はクリミアを一方的に併合しています。
ウクライナ政府は「偽の住民投票であり正当性が全くない」として強く反発しているほか、アメリカやEU=ヨーロッパ連合は追加の経済制裁を科す方針を明らかにしていて、国際社会からロシアへの非難がさらに強まるとみられます。
ウクライナ大統領府顧問「法的には何の意味もない」
プーチン大統領「住民投票」だとする活動の正当性を強調
プーチン大統領は30日に首都モスクワのクレムリンで4つの州をロシアが併合する文書に調印し一方的な併合に踏み切る構えで、それを前にウクライナ情勢で仲介役を務めるエルドアン大統領に対し「住民投票」だとする活動の正当性を強調したものとみられます。
国連 グテーレス事務総長「併合は非難に値する」
そのうえで「ロシアは安全保障理事会の常任理事国の一つとして国連憲章を尊重する特別な責任がある。併合のためのいかなる決定も法的な価値を持たず、非難に値する」と強調しました。
また、「国連の目的と原則を侮辱している。現代の世界ではありえない」と述べ、容認されてはならないと指摘しました。
グテーレス事務総長の今回の発言について国連の報道官は、ウクライナ情勢をめぐる事務総長の発言としてはこれまでで最も強い表現だと説明しています。
米 国務長官「国際平和と安全の原則に対する侮辱だ」
そのうえで「アメリカはこうした偽の住民投票やその投票結果、ロシアによる併合の試みを決して認めない」と強調しました。
さらにブリンケン長官は「アメリカと同盟国や友好国は、領土を守るために戦うウクライナへの支援を続ける。ウクライナの主権や独立、領土保全を全力で支持する」として、ウクライナへの支援は揺るぎないという姿勢を改めて打ち出しました。