安倍元首相「国葬」 SNS上の投稿を分析 2か月半余の変化は

安倍元総理大臣の「国葬」に関し、NHKでは、SNS上で投稿された数やことばの推移から、この2か月半余りの変化を分析しました。

NHKでは、SNS分析ツール「ブランドウォッチ」を使い、安倍元総理大臣が銃撃されて亡くなった7月8日から今月25日までに投稿された、「国葬」または「#国葬」という言葉を含むツイート、およそ1960万件を抽出して分析しました。

この中では、リツイートも含め件数が急上昇したり多かったりした日とその翌日の2日間に、多く投稿された名詞やハッシュタグのフレーズなど上位20のことばを見ました。

▽安倍氏が亡くなった当日の7月8日からすでに「国葬」に関する投稿があり、「安倍首相」「総理」といったことば以外では、「安倍さんを国葬に」とか「ありがとう」「遺志」「引き継ぐ」といったことばが上位に入っています。

▽岸田総理大臣が国葬を実施すると表明した7月14日には、分析した2か月半余りで最も投稿数が多くなっていて、「反対」や、「国葬に反対します」というハッシュタグ、それに「税金」といったことばが増加して上位に入り、国費を投入することについて論点に上がるようになりました。

▽国葬が閣議決定された22日も投稿数が多く、「反対」や「決定」「閣議決定」に加え、表明の時に比べ「根拠」「法的」「法的根拠」といったことばが上位に加わりました。

引き続き、国葬に賛成する声もある一方、実施の根拠や決定の過程に疑問を投げかける投稿が目立つようになりました。

▽8月に入るといったん国葬に関する投稿は少なくなりますが、国葬の経費に2億5000万円を支出すると閣議決定された26日前後から再び増え始め、「警備」や「費用」などに加え、7月の閣議決定の頃には上位に見られなかった「統一教会」ということばが上位に入っていました。

▽9月には、国葬をめぐり岸田総理大臣が出席して閉会中審査が行われた8日に、この2か月半余りで2番目に多く投稿され、「反対」ということばが引き続き上位にあるほか、「岸田首相」に加え、8日に亡くなったイギリスのエリザベス女王の国葬と関連づけた投稿も見られました。

その後も、国葬の日が近づく中で、賛否の立場からさまざまなツイートが続き、投稿数の多い状態が続いています。

専門家「投稿数など多い印象 さまざまな論点も」

「国葬」に関する投稿について、SNSのデータ分析に詳しい東京大学の鳥海不二夫教授は「通常のSNS上で広がりを見せる時に比べ、投稿数もアカウント数もかなり多い印象だ。国葬をやると言ったあとにさまざまな論点が出てきて、一つ一つが賛成反対それぞれの議論の対象となっていったのではないか」と見ています。

鳥海教授は、「国葬」に関連する1700万件の投稿と86万件のアカウントのデータを収集して独自に分析もしていて、その結果から「安倍元総理大臣が亡くなった直後は、『国葬にしたほうがいいのではないか』という意見が出ていたが、岸田総理大臣が国葬を行うと表明すると反対意見を発信するアカウントが出てきて、閣議決定のあたりで逆転する現象が起きている。ただ依然として、賛成の立場のアカウントもそれなりの数があり投稿している」としています。

今回の特徴として、1度だけ投稿したアカウントが賛成・反対それぞれ10万件前後あったことを挙げ、「ツイッターではそれほど多くない人たちが繰り返し声を上げる傾向が見られるが、今回は十分多い数のアカウントが賛成・反対でそれぞれ投稿していて、日頃政治的な活動をしていない人にも大きな関心事だったと見られる。ソーシャルメディア空間の登場により、人々の意見をデータとして見られるようになったのは従来と大きく違う点で、どんな声があったのか、なかったのか分析によって分かる」と述べ、今後の検証にも活用できると話していました。