【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア 予備役招集逃れようとする市民で国境渋滞か

ロシアでは21日に予備役の部分的な動員が発表されたあと、招集を逃れようと市民が周辺国に陸路で出国する動きが広がっています。

人工衛星を運用するアメリカの企業「マクサー・テクノロジーズ」が25日撮影した衛星画像では、ロシアから隣国ジョージアに向かう幹線道路が、100台以上の乗用車で渋滞していました。

ロシアから出国しようと大勢の市民が押し寄せ、出国手続きの順番を待って並んでいるということで、拡大した画像では車を出て休憩するような市民の姿も見られます。

また、IT大手グーグルの地図アプリ・グーグルマップによりますと、ロシアとジョージアの国境付近では27日も、およそ10キロの長い渋滞が発生していました。

イギリスの公共放送BBCは、ロシアからジョージアに入国するために「20時間以上待つ人もいる」と伝えています。

さらに、23日撮影された別の衛星画像では、ロシアと隣国モンゴルの国境地帯でも長い渋滞が発生し、ロシア市民が出国する動きとみられます。

カザフスタン内務省「およそ9万8000人のロシア市民が入国した」

ロシアと7500キロ以上にわたって国境を接する中央アジアのカザフスタンに向けては陸路で出国する動きが続き、カザフスタン内務省の高官は「およそ9万8000人のロシア市民が入国した」と明らかにしました。

カザフスタンのトカエフ大統領は27日、ロシアから入国する市民について「彼らは絶望的な状況から国を去ることを余儀なくされていて、安全を守る必要がある」と述べ、動員の不安が広がるロシアを「絶望的な状況」としたうえで、逃げてきた人々を保護する考えを示しました。

そのうえで、トカエフ大統領は、問題の解決に向けてロシア側と会談する考えを示しましたが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「プーチン大統領が会談する予定は今のところない」としています。

カザフスタンは、旧ソビエトの構成国の中でもロシアと良好な関係を築いてきましたが、トカエフ大統領は、ウクライナに侵攻するプーチン大統領とは一線を画した姿勢を示しています。

国連人権高等弁務官事務所「拘束は自由の恣意的な剥奪」

ロシアのプーチン政権が、国内での抗議活動への参加者を相次いで拘束していることについて、国連人権高等弁務官事務所の報道官は、27日の定例記者会見で「表現の自由や集会の権利を行使しただけで、人々を拘束することは、自由の恣意的な剥奪にあたる」と述べ、ロシア政府の対応を非難しました。

そのうえで、不当に拘束したすべての人々を即時に解放することや、表現の自由や集会の自由についての権利を尊重することをロシア側に求めました。

林外相 ロシア側に厳重抗議 謝罪を要求 総領事館員退去要請で

ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁は、極東ウラジオストクにある日本総領事館の外交官がスパイ活動をしていたとして拘束したうえで、ロシア政府がこの外交官をペルソナ・ノン・グラータ=「好ましからざる人物」として国外への追放処分にしたと発表しました。

これについて林外務大臣は27日午前、外務省で記者団に対し、「きのう夕方、ロシア外務省からロシアの日本大使館に対して、ウラジオストクの総領事館員が違法な情報収集活動を行ったことを理由に退去を求める要請があった」と説明しました。

そして、ロシア側が主張するような違法な活動を行った事実がないにもかかわらず、領事館員は、目隠しをされたまま両手と頭を押さえつけられ、身動きが取れない状態で連行され、威圧的な取り調べを受けたと明らかにしました。

そのうえで、「ウィーン条約と日ソ領事条約の明白かつ重大な違反であり、極めて遺憾であり決して受け入れられない。信じがたい行為であり、強く抗議する」と述べました。

さらに、外務省の森事務次官がロシアのガルージン駐日大使を外務省に呼び、厳重に抗議するとともに、ロシア側に対して正式な謝罪と再発防止を求め、日本政府として相応の措置を講じる必要があると考えていることを伝えたと説明しました。

国連事務総長「核で脅す時代は終わりに」核廃絶目指す国際デー

国連は、9月26日を「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」と定めていて、ニューヨークの国連本部では各国の高官が集まって会合が開かれました。

この中で演説したグテーレス事務総長はロシアのプーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを再び示すなど、核の脅威が高まっていることを念頭に、「核で脅す時代は終わりにしなければならない。すべての国に対し、緊張を緩和し、核の脅威を排除するために、対話や外交交渉など、あらゆる手段を講じるよう求める」と述べ、核兵器が使用されるリスクを減らすよう、国際社会に訴えました。

国連安保理が「住民投票」めぐり緊急会合開催へ

ロシアがウクライナ東部や南部で行っている「住民投票」だとする活動をめぐり、国連の安全保障理事会は、対応を協議する緊急会合を27日午後、日本時間の28日早朝に開催することになりました。

米国務長官 ウクライナ治安当局へ658億円余の追加支援発表

アメリカのブリンケン国務長官は26日に声明を発表し、ウクライナの治安当局に対し4億5700万ドル相当、日本円にして658億円余りの装甲車両や医薬品などの追加支援を行うと明らかにしました。

今回の支援にはロシア軍が行った残虐行為の捜査や証拠の文書化なども含まれるとしています。

声明の中でブリンケン長官は「アメリカはウクライナ市民に寄り添い、民主的で独立したウクライナへの支援に取り組んでいく」と強調しています。

ウクライナでのロシア側の「住民投票」各国非難の中27日開票へ

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、東部や南部のロシアの支配地域では親ロシア派の勢力が今月23日から「住民投票」だとする活動を強行しています。

親ロシア派勢力は26日、これまでの4日間の投票で、東部ルハンシク州では投票率は83%以上、南部ヘルソン州では63%以上に達したなどと主張しています。

一方、ルハンシク州に住む45歳の女性がNHKの電話インタビューに答え、「投票箱を持った人の後ろには軍服を着て武装した2人の兵士がついている。当局者側が、投票者の生年月日や住所、氏名などを記録している」と述べ、住民に圧力をかけながら投票をうながしているとする状況を明らかにしました。

ウクライナ政府や欧米各国からも「偽の住民投票だ」として、非難する声が強まっています。

投票は27日まで行われたあと即日開票されるとみられていて、ロシア国営のタス通信は、その後、ロシア議会での決議を経て、30日にも併合の手続きが行われる可能性があると伝えています。

「原発が炎に包まれている」IAEA事務局長 各国に協力呼びかけ

IAEA=国際原子力機関の年次総会が、オーストリアで始まりました。

総会の冒頭、グロッシ事務局長は、相次ぐ砲撃により一時的に外部電源を失うなど、安全性への懸念が広がっているウクライナ南東部のザポリージャ原発について「ヨーロッパ最大規模の原発が炎に包まれている。信じがたいことだが、現実だ。この現実を前に、われわれは行動しなければならない」と述べ、強い危機感を示しました。

そのうえで、重大な事故を防ぐために原発周辺を安全な区域に設定する、みずからの提案に関連して、ウクライナとロシア双方との協議をさらに進めるため、両国を訪れる用意があると強調し、各国に理解と協力を呼びかけました。

IAEAの年次総会では、26日に日本やウクライナ、そして、ロシアなど各国の代表による演説が続いていて、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や原発の安全確保を巡って、どのような姿勢が示されるかが焦点となっています。

IAEA総会 各国が非難もロシアは「攻撃はウクライナ側」

総会では日本をはじめ各国の代表が演説を行い、ザポリージャ原子力発電所を占拠するロシアへの非難が相次ぎました。

このうち、アメリカのグランホルムエネルギー長官は「ロシアによる原子力施設の占拠は、原子力の平和利用に対するロシアの姿勢に疑念を抱かせる」と非難し、ロシアに対して部隊を撤退するよう要求しました。

また、日本の高市科学技術担当大臣もビデオ演説で「ウクライナの原子力施設やその付近でのロシアの軍事行為は決して許されるものではない。最も強いことばで非難する」と述べるなど、各国の代表からロシアへの非難が相次ぎました。

これに対して、ロシアの代表は「ウクライナ側が原発を攻撃している」と述べ原発には部隊を配置していないとも主張しました。

ロシア出国者への対応 EU各国で割れる

ロシアのプーチン政権が予備役の部分的な動員に踏み切って以降、ロシアから周辺国に出国する人が出ています。

こうした出国者を受け入れるか、EU=ヨーロッパ連合では考え方が分かれています。

ロシアと国境を接するラトビアのリンケービッチ外相は今月22日、ツイッターに「動員を理由にロシアから逃れる人の多くはウクライナ人が殺されることには抗議の声をあげなかった。彼らを受け入れることには相当なリスクがある」と投稿しました。

また、リトアニアのランズベルギス外相も23日「リトアニアは責任から単に逃れる人たちの亡命を認めない。ロシア人は国内にとどまってプーチン大統領に抗議するべきだ」と投稿し、受け入れない考えを示しました。

一方、ドイツのブッシュマン法相は21日「プーチン大統領のやり方を嫌い自由民主主義を愛する人たちはドイツで歓迎される」と投稿したほか、EUのミシェル大統領は国連総会が行われているニューヨークで応じたメディアとのインタビューで、ロシアで政治信条が理由で危険にさらされている人たちについて「EUは原則として受け入れるべきだ」と述べたと伝えられています。

ウクライナ南東部のロシアの支配地域でも“動員の動き”

ロシアのプーチン大統領が今月21日、予備役の部分的な動員に踏み切ったことについて、ウクライナ南東部のザポリージャ州のメリトポリのフェドロフ市長は26日の記者会見で「ロシア軍がわれわれの国民を動員する動きが出ている。この4日間、18歳から35歳の男性を支配地域から外に出していない。そしてきのうから完全に人を出さなくなった」と述べ、ロシアの支配地域でも動員の動きが始まっていると指摘しました。

また、東部や南部のロシアの支配地域で、「住民投票」だとする活動が強行されていることについて「武器を持った兵士の前で投票が行われている。人々は、路上で捕らえられ、自分だけでなく、家族全員分を投票するよう強制されている。これは、住民投票ではなく、偽物で茶番だ」と非難しました。

また、ルハンシク州のハイダイ知事も26日、SNSに「ロシアが掌握しているルハンシク州では、18歳以上のすべての男性が動員されるという情報が州内で広がっている。トラックの運転手などは前線に送る援軍が残っていないため訓練を受けることなくすぐに軍に派遣される」と投稿しました。

プーチン大統領 ベラルーシ大統領と南部ソチで会談

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は会談の冒頭、経済制裁によってベラルーシから肥料の輸出が制限されているとして、この問題で両国が結束し、欧米に対抗する姿勢を示しました。

一方、ルカシェンコ大統領は「ロシアでは、動員が怖いとして国外に逃げる人たちがいる。しかしロシアには2500万人もの動員の人的資源がある。3万人、5万人が逃げようとも逃げた人がわれわれの仲間になるとは思えないので逃げさせておけばいいのだ」などと応じました。

そして「かつてベラルーシから人々が去ったとき私は心配していなかった」と述べ、ベラルーシでおととし行われた大統領選挙の結果の不正を訴える抗議活動が各地で起き、反体制派の多くの人々が国外に脱出したことを持ち出し、プーチン大統領に寄り添う姿勢を示しました。

ロシア大統領府報道官 “米との核軍縮などの対話は散発的”

ロシアのプーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示すなか、ロシア大統領府のペスコフ報道官は26日、今後、ロシアがアメリカと対話する可能性について記者団から質問されたのに対し「適切なレベルで行う。対話のチャンネルは存在する。しかし、それは非常に散発的な性質のものだ」と述べ、両国ともに対話を継続する意思はあるものの核軍縮をめぐる協議など具体的な話し合いは行われていないことを示唆しました。

またプーチン政権が進めている動員をめぐり、ペスコフ報道官は「確かに大統領令に違反する事例があった。一部の地域では、州知事がこの状況を修正するために懸命に取り組んでいる」と述べ、優先的な招集の対象ではない高齢者や学生も動員されていると伝えられロシア国内で不満の声が広がる中、政権として状況の改善に取り組む姿勢を強調しました。

さらにロシア独立系のネットメディアが、プーチン政権が近く予備役の男性を出国禁止にする方針だと伝えていることについて記者団から質問されたのに対し「それについて何も知らない。いかなる決定もこれまでのところ下されていない」と述べました。さらに、ペスコフ報道官は、ロシアの一部の地域に戒厳令を宣言するなどという報道が出ていることについても「決定は下されていない」としています。

ロシア治安機関 日本総領事館員を“スパイ活動”で拘束し追放

ロシアの治安機関FSB=連邦保安庁は、極東ウラジオストクにある日本総領事館の外交官がスパイ活動をしていたとして拘束したうえで、ロシア政府がこの外交官をペルソナ・ノン・グラータ=「好ましからざる人物」として国外への追放処分にしたと発表しました。

ロシア外務省も26日に声明を発表し、モスクワにある日本大使館の幹部を呼び、この外交官が48時間以内にロシア国外に去るよう通告するとともに日本政府に強く抗議したとしています。

これに対し、モスクワの日本大使館は、ウラジオストク総領事館の館員がロシア外務省から国外退去の要請を受け取ったとしたうえで「領事官を拘束して取り調べを行うことは『領事官の身体の不可侵』などを定めるウィーン条約に明白に違反するもので極めて遺憾であり、決して受け入れられない」などとしてロシア外務省に厳しく抗議したとしています。

日本とロシアの関係を巡っては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、ことし4月に両政府がそれぞれ、駐在している相手国の外交官らの一部を追放する措置を発表するなど悪化しています。