「原発が炎に包まれている」IAEA事務局長 各国に協力呼びかけ

IAEA=国際原子力機関の年次総会が、オーストリアで始まりました。
グロッシ事務局長は、安全性への懸念が広がるウクライナのザポリージャ原子力発電所を巡り「原発が炎に包まれている」と強い危機感を示し、重大な事故を防ぐために、原発周辺を安全な区域に設定できるよう、各国に協力を呼びかけました。

IAEAの年次総会は、本部があるオーストリアのウィーンで26日から始まり、冒頭、グロッシ事務局長が演説を行いました。

このなかでグロッシ事務局長は、相次ぐ砲撃により一時的に外部電源を失うなど、安全性への懸念が広がっているウクライナ南東部のザポリージャ原発について「ヨーロッパ最大規模の原発が炎に包まれている。信じがたいことだが、現実だ。この現実を前に、われわれは行動しなければならない」と述べ、強い危機感を示しました。

そのうえで、重大な事故を防ぐために原発周辺を安全な区域に設定する、みずからの提案に関連して、ウクライナとロシア双方との協議をさらに進めるため、両国を訪れる用意があると強調し、各国に理解と協力を呼びかけました。

IAEAの年次総会では、26日に日本やウクライナ、そして、ロシアなど各国の代表による演説が続いていて、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や原発の安全確保を巡って、どのような姿勢が示されるかが焦点となっています。

総会では各国が非難もロシアは「攻撃はウクライナ側」

総会では日本をはじめ各国の代表が演説を行い、ザポリージャ原子力発電所を占拠するロシアへの非難が相次ぎました。

このうち、アメリカのグランホルムエネルギー長官は「ロシアによる原子力施設の占拠は、原子力の平和利用に対するロシアの姿勢に疑念を抱かせる」と非難し、ロシアに対して部隊を撤退するよう要求しました。

また、日本の高市科学技術担当大臣もビデオ演説で「ウクライナの原子力施設やその付近でのロシアの軍事行為は決して許されるものではない。最も強いことばで非難する」と述べるなど、各国の代表からロシアへの非難が相次ぎました。

これに対して、ロシアの代表は「ウクライナ側が原発を攻撃している」と述べ原発には部隊を配置していないとも主張しました。