新型コロナ 入院給付金見直し 検査所では理解示す声も

医療保険の加入者が新型コロナに感染した場合に支払っている入院給付金について、生命保険各社は26日から支払いの対象を高齢者など重症化リスクが高い人などに限定するよう見直しました。これについてコロナに感染していないか確かめる検査を受けに都内の検査所を訪れた人たちからは、さまざまな声が上がっていました。

入院給付金についてこれまで保険各社は自宅などで療養する「みなし入院」も含めて原則、全員に支払っていましたが、政府が26日から感染者の全数把握を見直すことを踏まえて、支払いの対象を、26日以降は感染の診断を受けた65歳以上の高齢者や本来、入院が必要な患者など、重症化リスクが高い人などに限定することになりました。
東京 港区にある検査所には、26日の午後もPCR検査などを受けに来る人が相次いで訪れていて、今までと同じ対応を求める声や見直しに理解を示す声が聞かれました。

都内で単身赴任をしている50代の男性は、「感染しないよう心がけてはいますが、いまも感染の不安はあり、高齢者だけでなく若い人たちも今後も給付金があってもいいのではないかと思います」と話していました。

また、都内に住む30代の男性は「去年とことしの2回感染して、両方で保険の給付金をもらいましたが、ホテルや自宅療養は経費がかからなかったです。収入の補填(ほてん)という意味はあるかもしれませんが、保険会社もこれ以上耐えきれなくなっていて、しかたないかと思います」と話しています。

専門家は

給付の対象見直しについて、専門家に聞きました。

保険業界に詳しい福岡大学の植村信保教授は「『みなし入院』に対して給付金を支払うのはやはり通常では考えられないことで、軽症者が大半を占めるなど、コロナという病気の深刻さが当初と比べてだいぶ変わっている中で、政府の対応に合わせて取り扱いを変更するのは妥当だ」としています。

そのうえで「民間の医療保険はあくまで公的保険の補完で、何のリスクに備えて加入するのか、一人一人が民間保険の役割について考え直すきっかけになるといいのではないか」と指摘しています。
一方で、現時点での見直しについて課題を指摘する専門家もいます。

みずほ証券の佐藤耕喜シニアアナリストは、「感染症法上の位置づけではコロナは今も2類相当で、入院勧告の対象だが医療機関のひっ迫で自宅療養をしているのが『みなし入院』だ。この位置づけが変わらないのに給付の対象だけが変わるのは飛躍がある。入院勧告などがない5類への引き下げを待って給付の例外的な取り扱いもやめるのがいちばん分かりやすかったのではないか」としています。