「住民投票」ウクライナ反発強める 大統領 一部で“反転攻勢”

ウクライナでは東部や南部のロシアの支配地域で「住民投票」だとする活動が強行されていて、ウクライナ政府は「法的には全く意味がない」と反発を強めています。一方、領土の奪還を目指すゼレンスキー大統領は「激しい戦闘が起きているが、いくつかの地点でいい結果が出ている」と一部で反転攻勢が進んでいると強調しました。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、東部や南部のロシアの支配地域では親ロシア派の勢力が今月23日から「住民投票」だとする活動を強行しています。

親ロシア派の勢力はこの活動を27日まで行うとしていて、ロシア国営のタス通信は、終了後、30日にも併合の手続きが行われる可能性があると伝えていて情勢が緊迫しています。

これに対しウクライナ政府は、ロシアが一方的な併合に向けて既成事実化を進めているとして強く反発しています。

マリャル国防次官は、NHKのインタビューで「ロシアにとって唯一の選択肢は住民投票をでっちあげることなのだが、法的には全く意味がない」と指摘したうえで、「こうした地域は国際的に承認されたウクライナの国土であり、返還されなければならない」と述べ、領土の奪還を目指す姿勢を鮮明にしました。

ゼレンスキー大統領は、25日に公開した動画で「2000キロ以上にわたる前線の多くで激しい戦闘が起きている。それは、ドネツク州、ハルキウ州、ヘルソン州、ミコライウ州やザポリージャ州で、このうちいくつかの地点でいい結果が出ている」と述べ、一部で反転攻勢が進んでいると強調しました。

一方、ロシアのプーチン大統領が今月21日、予備役の部分的な動員に踏み切って以降、ロシア各地では、連日のように抗議活動が起きています。

25日には、ロシア南部ダゲスタン共和国の中心都市マハチカラで多くの女性を含む市民が「戦争反対」「私たちの子どもを動員するな」などと叫び、一部で警察ともみ合う様子がSNSに投稿されています。

独立系のネットメディア「メドゥーザ」は、動員が始まって以降、25日までにロシア国内の少なくとも10か所の徴兵事務所で放火事件が相次いでいると伝え、プーチン大統領の決定に対する国民の不満が顕在化しています。