【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

「住民投票」とする活動“住民に圧力かけながらうながしている”

ウクライナ東部や南部のロシアの支配地域で、親ロシア派の勢力が強行している「住民投票」だとする活動について、この活動が行われている東部ルハンシク州に住む45歳の女性がNHKの電話インタビューに答えました。

女性は「投票箱を持った人の後ろには軍服を着て武装した2人の兵士がついている。当局者側が、投票者の生年月日や住所、氏名などを記録している」と述べ、投票箱を持った人が住宅や職場を回り、住民に圧力をかけながら投票をうながしているとする状況を明らかにしました。

また、「住民投票」とされる活動が行われている、今月23日から27日の間は休校になっていて、学校で投票箱の設置が進められているということです。

カザフスタン外務省報道官“『住民投票』とする活動認めない”

中央アジア・カザフスタンの外務省のスマディヤロフ報道官は26日、ウクライナのロシアが支配する地域で、親ロシア派が強行している「住民投票」だとする組織的な活動を認めない考えを明らかにしました。

カザフスタンやロシアのメディアが伝えたもので、この中でスマディヤロフ報道官は、トカエフ大統領が国連総会での演説で、国家の領土保全、主権の平等、平和共存という原則を強調したことに触れ、親ロシア派による活動をめぐっても同じ原則だとしています。

カザフスタンは、旧ソビエトの構成国の中でもロシアと良好な関係を築いてきましたが、ことし6月、トカエフ大統領がロシアのプーチン大統領を前に、ウクライナ東部ドンバス地域の2州の親ロシア派による一方的な独立宣言を認めないと発言し、波紋を呼びました。

ウクライナの支配地域の一方的な併合をねらうプーチン大統領とは一線を画したかたちで、みずからの勢力圏とみなす中央アジア各国との結束を強めていきたいプーチン大統領にとって痛手となりそうです。

ゼレンスキー大統領 “前線の一部で反転攻勢進む”

ゼレンスキー大統領は25日に公開した動画で「2000キロ以上にわたる前線の多くで激しい戦闘が起きている。それは、ドネツク州、ハルキウ州、ヘルソン州、ミコライウ州やザポリージャ州で、このうち、いくつかの地点でいい結果が出ている」と述べ、一部で反転攻勢が進んでいると強調しました。

予備役の部分的動員 ロシア各地で抗議活動

ロシアのプーチン大統領が今月21日、予備役の部分的な動員に踏み切って以降、ロシア各地では、連日のように抗議活動が起きています。

25日にはロシア南部ダゲスタン共和国の中心都市マハチカラで多くの女性を含む市民が「戦争反対」「私たちの子どもを動員するな」などと叫び、一部で警察ともみ合う様子がSNSに投稿されています。

また、ロシアの新聞「コメルサント」はダゲスタン共和国の村で、道路をふさいで抗議していた人たちを解散させようと、治安当局が空に向けて威嚇発砲したと伝え、その様子を映したとみられる動画も拡散しています。

こうした状況を受けてダゲスタン共和国のトップは25日、SNSに「学生や幼子を持つ大家族の父親など、対象でない者が動員されたのであれば直ちに訂正する」などと手続きに誤りがあったことを認め、事態の収拾を図りました。

独立系のネットメディア「メドゥーザ」は、動員が始まって以降、25日までにロシア国内の少なくとも10か所の徴兵事務所で放火事件が相次いでいると伝え、プーチン大統領の決定に対する国民の不満が顕在化しています。

親ロシア派勢力が「住民投票」強行 ウクライナ政府 反発強める

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続ける中、東部や南部のロシアの支配地域では親ロシア派の勢力が今月23日から「住民投票」だとする活動を強行しています。

これに関連してロシアのラブロフ外相は24日の記者会見で、ロシアの記者がこの地域の併合を念頭に、「自国への攻撃を受けた場合、それが核兵器使用の根拠となるのか」と質問したのに対して「悲観的な予測をするつもりはないが、われわれには核の安全保障に関する基本原則があり、それはロシアの全領土に適用される」と述べ、核戦力の使用の可能性を明確には否定しませんでした。

これに対して、ウクライナ政府は、ロシアが一方的な併合に向けて既成事実化を進めているとして強く反発しています。

マリャル国防次官は、NHKのインタビューで、「ロシアにとって唯一の選択肢は住民投票をでっちあげることなのだが、法的には全く意味がない」と指摘したうえで「こうした地域は国際的に承認されたウクライナの国土であり、返還されなければならない」と述べ、領土の奪還を目指す姿勢を鮮明にしました。

親ロシア派の勢力は「住民投票」だとする活動を27日まで行うとしていて、ロシア国営のタス通信は、終了後、30日にも、併合の手続きが行われる可能性があると伝えていて、情勢が緊迫しています。

夜間外出禁止令 首都キーウで領土防衛部隊がパトロール

ウクライナ各地では夜間の外出禁止令が続いていて、首都キーウでは午後11時から朝5時の間、適用されています。

NHKの取材班は、この時間に行われている領土防衛部隊のパトロールへの同行が許可され、24日夜から25日未明にかけて、ふだんは見ることのない深夜の首都での活動を撮影しました。

午後11時、キーウ東部の幹線道路には銃や無線を携えた隊員およそ40人が集まり、グループに分かれて巡回を始めました。

あるグループでは、通行する車を1台ずつ停止させて乗っている人の書類を確認していましたが、突然、1台の車が制止を無視して走り去りました。

隊員たちは、車に乗って猛スピードで追いかけ停車させて話を聞くと運転手は、いわゆる白タク営業をしていた可能性があり、警察に引き渡されました。

また、住宅街で、出歩いている男性がいると聞き駆けつけると、酒に酔った男性で、自宅に帰るよう説得しました。

パトロールの最大の目的は、ロシア側の協力者の動きを防ぐことで、これまで、写真を撮る不審な人物を警察に引き渡したことがあるほか、逃げ遅れたロシア兵をつかまえたこともあるということです。

自営業をしながら参加している38歳の隊員は「私たちの街と国に害を及ぼす敵の活動を取り締まるのが目的で、ウクライナが勝利するまで活動を続けます」と話していました。

米政府高官 ロシアの核兵器使用を強くけん制

バイデン政権で安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は25日に放送されたアメリカ、ABCテレビの番組で、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事支援を行う欧米側を批判し、核戦力の使用も辞さない構えを示していることについて、「われわれの行動を抑止することにはならない」と強調しました。

そして「ロシアで非常に高い地位にある人間と直接、かつ非公式に連絡をとり、核兵器をウクライナで使えばロシアは破滅的な結果を招くことになると伝えた。アメリカは、同盟国や友好国とともに断固とした対応をとる」と述べて、強くけん制しました。

ロシアの政治学者 動員踏み切り「終わりの始まりだ」

ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻をめぐって部分的な動員に踏み切ったことについて、フィンランド在住のロシアの政治学者マルガリータ・ザワツカヤ氏は「終わりの始まりだ」と表現しました。

この中でザワツカヤ氏は「ロシアの人々に大げさに見えないように部分的な動員であるかのように装っているが、実は本格的な動員だ」と述べ、国内世論の反発をおそれて「部分的」としているものの、法律的な解釈によっては誰もが招集される可能性があると指摘しました。

そのうえで「一般のロシア人は、自分の命や健康、幸福を犠牲にする覚悟はない。動員を大規模に、面倒な手続きで行えば、人々はより失望し、特に地方で、無秩序で激しい暴動が起きるだろう」と懸念を示しました。

そしてロシア国内で反発が強まれば、プーチン政権の基盤を揺るがし、終えんにもつながりかねないとして、「終わりの始まりだ」と表現しました。

ただ、ザワツカヤ氏は「プーチン大統領は、傲慢にもウクライナが独立した政治主体であるとは考えていない。ウクライナはロシアの一部、文化圏であると信じており、その目標はさらに先に進むことだろう。残念ながら、双方でより多くの人的損失が出てもプーチン大統領は諦めないだろう」と悲観的な見通しを示しました。

その一方でプーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示し、欧米を威嚇していることについてザワツカヤ氏は、「欧米から何らかの妥協や提案、申し出を待っている可能性がある」という見方も示しました。