【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

英国防省 “動員の兵士 高まる政権批判抑えるため利用か”

ロシアのプーチン政権が、予備役の動員に踏み切ったことについて、イギリス国防省は25日、ロシア議会下院の幹部が、動員される兵士がロシアの「国家親衛隊」にも所属できるように求めていると指摘しました。

ロシアの国家親衛隊は、治安機関を再編して、2016年に創設された大統領に直属する準軍事組織で国内の治安対策などにあたっています。

イギリス国防省は、国家親衛隊がウクライナで戦闘任務や、占領地域の併合に向けた「住民投票」だとする活動にも関わっていると分析しています。

そのうえで、「国家親衛隊の人員を増やすため動員を利用することが現実味を帯びている」と指摘し、プーチン政権が国内で高まる政権批判を抑えるため動員した兵士を利用する可能性を指摘しています。

ウクライナ外相「核に関する無責任な発言 断じて認めない」

ロシアのラブロフ外相が24日の記者会見で、核戦力の使用の可能性を明確に否定しなかったことについて、ウクライナのクレバ外相は、SNSに「核兵器使用の可能性に関する無責任な発言は断じて認められない。ウクライナは屈しない」と投稿しました。

そのうえで、「われわれはすべての核保有国に対し、ロシアのそのような言い回しは世界を危険にさらし、容認できないと明確にするよう求める」としています。

インド外相 ロシアを支持も非難もしない立場 国連総会

インドのジャイシャンカル外相は24日、ニューヨークの国連総会で演説し「ウクライナでの紛争について、どちらの側かとよく聞かれるが、インドは平和、国連憲章を尊重し、対話と外交を求める側だ」と述べました。

ロシアと軍事面や経済面でつながりが深く伝統的な友好国であるインドは、これまでロシア軍のウクライナからの即時撤退を求める国連の決議案などの採決では繰り返し棄権しています。

インドのモディ首相は今月16日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談で「今は戦争の時代ではないと思う」と懸念を伝えています。

今回のジャイシャンカル外相の演説も、ロシアを支持も非難もしない中立的なインドの立場を強調した形です。

ラブロフ外相 “住民投票”の結果根拠に併合進める可能性示唆

ロシアのラブロフ外相は24日、国連総会で演説したあと記者会見し、ウクライナ東部や南部のロシアが支配する地域で行われている「住民投票」だとする活動について「ロシア系住民にとって耐え難い政策を始めたからだ」と述べ、ゼレンスキー政権がロシア語教育の排除などを進めた結果だと、プーチン政権の主張を繰り返しました。

そして「投票結果を尊重する」と述べて、投票結果を根拠にロシアが一方的に支配地域の併合を進める可能性を示唆しました。

またロシアの記者がこの地域の併合を念頭に「自国への攻撃を受けた場合、それが核兵器使用の根拠となるのか」と質問したのに対してラブロフ外相は「悲観的な予測をするつもりはないが、われわれには核の安全保障に関する基本原則があり、それはロシアの全領土に適用される」と述べ、核戦力の使用の可能性を明確には否定しませんでした。

ゼレンスキー大統領 ロシアの予備役動員「墓場への動員」と非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日に公開した動画で「ロシアが宣言した犯罪的な動員は、ロシアの市民たちからも言われたように『墓場への動員』だ」と述べ、ロシアのプーチン政権が予備役の動員に踏み切ったことを非難しました。

そのうえで「ロシアの当局は自分たちの市民を死に追いやっていることを十分に理解している。ほかに選択肢がないのだ」と指摘しました。

そして「動員から逃げるほうが、侵略戦争に参加したとして法廷で責任を負うよりもましだ。ウクライナの捕虜となり降伏するほうが、自衛を行うウクライナの武器に撃たれて死ぬよりもましだ」と述べ、ロシア市民に対して招集を拒んだり、動員されたとしても降伏したりするよう呼びかけています。

プーチン大統領 兵役拒否・脱走者に厳罰科す刑法改正案承認

ロシアのプーチン大統領は24日、動員や戒厳令の期間中、あるいは戦時中に、兵役を拒否したり脱走したりした者に厳罰を科すことを規定した、刑法などの改正案を承認しました。

兵役の拒否や脱走のほか命令に従わなかったり上官に抵抗したりした場合、最大で15年の禁錮刑を科すとしています。

今回の改正で法律に「戦時中」などに加えて「動員の期間中」という文言が新たに盛り込まれたほか、職業軍人だけでなく招集された予備役も重い刑事責任を負うとしています。

ウクライナでロシア軍は深刻な兵員不足に陥っているとされるほか、戦闘への参加を拒否した兵士が部隊を離れるなど士気の低下も伝えられ、プーチン政権としては罰則を厳しくすることで軍の引き締めを図るとともに、今月21日に踏み切った予備役の動員を確実に進めるねらいもあるものとみられます。

中国 王毅外相 国連総会で演説 双方に配慮示す

中国の王毅外相は国連総会で演説し、軍事侵攻から7か月となったロシアとウクライナについて「根本的な解決策はそれぞれの合理的な安全への懸念を考慮し、バランスのとれた効果的で持続可能な枠組みを構築することだ」と指摘し、双方に配慮を示しました。

イラン外務省 駐ウクライナ大使承認取り消しに「遺憾」

ロシアへの兵器の供与を理由にウクライナ外務省がイランの駐ウクライナ大使の承認を取り消すと発表したことについてイラン外務省の報道官は24日「未確認の情報にもとづく決定で遺憾だ。適切な対応をとる」とする声明を出しました。

一方、ロシアの軍事侵攻については「イランは中立的な立場で両国間の平和的な解決を信じる」とこれまでの主張を繰り返しました。

これに先立ってウクライナ軍は23日、ロシア軍が使用していたイラン製の無人機、7機を撃墜したと発表しましたが、イラン政府は無人機の供与を否定しています。

予備役動員へロシア国内で抗議相次ぐ

ウクライナで今月に入ってウクライナ軍が東部や南部で反転攻勢を続ける中、ロシアのプーチン大統領は21日、予備役を部分的に動員すると表明し、各地で市民が軍に招集されています。

ロシアの独立系のメディアは、優先的な招集の対象ではない高齢者や学生も動員され、国防省が示した30万人という規模を大幅に上回る100万人が動員される可能性があると伝えています。

また、シベリアのケメロボ州にある村では、住民の男性すべてが動員されたとも伝えています。

こうした中、24日、動員に抗議する活動が首都モスクワや第2の都市サンクトペテルブルク、それに極東シベリアの都市などロシア各地で行われました。

抗議活動の参加者は治安部隊によって次々と拘束され、ロシアの人権団体は、日本時間の25日午前3時すぎの時点で、少なくとも32の都市で740人余りが拘束されたとしています。

拘束された参加者に招集令状が渡されることもあると伝えられていて、その合法性について記者に問われたロシア大統領府のペスコフ報道官は「何の違法性もない」と行為を正当化しています。

プーチン政権は市民の抗議活動を力で押さえ込みながら、あくまでウクライナ侵攻を続ける構えですが、国民の間では不満が広がっているものとみられます。