IOC渡辺委員 “東京五輪贈収賄事件 日本の地位を崩しかねず”

東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる贈収賄事件を受けて、IOC=国際オリンピック委員会で委員を務める渡辺守成氏は「世界のスポーツ界における日本の地位を地盤から崩しかねない」と事件の影響の大きさに危機感を示しました。

渡辺氏は、NHKのリモートによる単独インタビューに滞在先のスイスのローザンヌで応じました。

この中で、渡辺氏は、東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる贈収賄事件について「IOCはオリンピック改革に向けて中長期計画を進める中で透明性や高潔性という理念を柱としていて、大会のウラで利益をむさぼる人たちがいたとすれば憤慨するのは当然のことだ」としたうえで「IOCからペナルティーとして日本選手の国際大会への参加を認めないなどの対応があってもおかしくない問題で、世界のスポーツ界における日本の地位を地盤から崩しかねない」と事件の影響の大きさに危機感を示しました。

また、札幌市が進めている2030年の冬の大会の招致活動への影響については「当然、こうした事案が二度と起こらないように対策を打ち出すことが大前提であり、IOCとしてもその部分を見定めることになるだろう。現在、名乗りを上げているソルトレークシティーやバンクーバーも対策を練ってくる中で、日本が変わっていくために札幌でオリンピックを開催するという明確な価値を打ち出し世界に認知させられる対策でなければ通用しないだろう」とする見解を述べました。

専門家からはIOC施策が影響しているとの指摘も

IOCは東京大会開幕前の2021年3月、2期目を迎えたバッハ会長のもと2025年までに達成を目指す15項目にわたる新たなオリンピックの改革案を採択しました。

この改革案は、バッハ会長が就任した翌年の2014年に採択された中長期の改革案「アジェンダ2020」をさらに推し進めるためのもので冒頭には「高潔性、透明性、良好なガバナンスを強化しなければならない」とうたっています。

具体的な提言にも、IOCだけでなくオリンピックに関係する機関に透明性の高いガバナンスを求める項目などが盛り込まれ、汚職や不正の根絶について取り組む姿勢が強調されていました。

その一方で、今回のような事件が起きた背景について、専門家からはIOCがオリンピックを財政的に持続可能な大会にするために取ってきた施策が影響していると指摘もあがっています。

オリンピックの歴史に詳しい中京大学の來田享子教授は「従来の、世界の大きな企業だけがオリンピックに関わる形では地元にメリットが少なく、オリンピックの開催地に手を上げる都市が減ってしまうという状況が見え始めていた。こうした中で、できるだけ地元の企業にも仕事をしてもらう方針を打ち出してきた。それはお金を生み出した反面、今回ような不正を生む構造を作ってしまったという側面がある」と話しています。