岸田首相 10月11日から入国者数上限を撤廃方針 旅行の支援策も

岸田総理大臣は日本時間の22日夜、訪問先のニューヨークで記者会見し、新型コロナの水際対策をめぐり、10月11日から入国者数の上限を撤廃するとともに、自由な個人旅行を認め、短期滞在のビザを免除する方針を明らかにしました。また同じく10月11日から全国を対象にした旅行の支援策やイベント事業などを対象にした消費喚起策を開始する方針を明らかにしました。

この中で岸田総理大臣は、国連総会の一般討論演説で安保理改革に向けた交渉開始の必要性を訴えたことについて、「国連の理念実現のための日本の決意を表明した。今後とも各国の声に真摯に耳を傾け、国連および多国間主義への日本としての強いコミットメントを示していきたい」と述べました。

また、核実験を全面的に禁じるCTBT=包括的核実験禁止条約の発効を目指す首脳級会合に出席したことにも触れ「残りの発効要件国の署名・批准を求める共同声明を採択することで、国際社会の強いメッセージを発信することができた」と成果を強調しました。

さらに、韓国のユン・ソンニョル大統領と非公式に懇談したことについて「懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、未来志向で関係を発展させていくという考えで一致し、外交当局間の協議を加速化するよう指示することとした」と述べました。

一方、10月3日に召集される見通しの臨時国会について「世界的な物価高、エネルギー安定供給、世界の景気後退懸念、さらには急激に進展している円安といった足元で進行中のさまざまな危機から、どのように国民生活や経済活動を守っていくかが最大の論点だ」と述べました。

そのうえで「こうした観点から、来月中に策定する総合経済対策について9月30日には、具体的な指示を全閣僚に対して行いたい」と述べました。

そして新型コロナの水際対策をめぐり、10月11日から入国者数の上限を撤廃するとともに、自由な個人旅行を認め、短期滞在のビザを免除する方針を明らかにしました。

また同じく10月11日から全国を対象にした旅行の支援策やイベント事業などを対象にした消費喚起策を開始する方針を明らかにしました。

為替介入「過度な変動には必要な対応をとりたい」

岸田総理大臣は記者会見で「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見逃すことができないという考え方から為替介入を実施した。政府としては引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては、断固として必要な対応をとりたい」と述べました。

日中関係「建設的かつ安定的な関係構築が重要」

岸田総理大臣は記者会見で「中国に対して主張すべきことは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという、建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築していくことが重要だ」と述べました。

そのうえで「日中首脳会談について現時点で決まっていることはないが、こうした考え方に基づいてしっかり意思疎通を行うことが重要だ。わが国は常にオープンであるという基本的な姿勢に立ちながら、具体的な対話のあり方について日中でしっかり考え、調整していきたい」と述べました。

防衛費増額「周辺国にもしっかり丁寧に説明」

岸田総理大臣は記者会見で、「ロシアによるウクライナ侵略をまのあたりにし、私自身、ウクライナはあすの東アジアかもしれないという、強い危機感を抱いている。日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意だ」と述べました。

そのうえで、「戦後日本の平和国家としてのあり方をしっかり守り、憲法や国際法の範囲内で取り組みを進めるとともに、その取り組みを透明性をもって、周辺国にもしっかり丁寧に説明していく。こうした姿勢が大事だ」と強調しました。

旧統一教会と安倍元首相との関係「実態把握には限界」

旧統一教会と安倍元総理大臣との関係をめぐり、岸田総理大臣は記者会見で、本人が亡くなった今、実態を把握することには限界があるとして、調査を行うことに否定的な考えを示しました。

この中で、岸田総理大臣は、旧統一教会と安倍元総理大臣との関係を調べる考えはないかと記者団から問われ「基本的には本人の心の中での判断に基づくものである以上、本人が亡くなった今、その実態を把握することには限界があるのではないかと申し上げてきた。その考えは変わっていない」と述べ、調査を行うことに否定的な考えを示しました。

また、安倍元総理大臣の「国葬」への賛否が分かれていることについて「あらゆる機会を捉え、できる限り政府として説明の努力を行ってきた。しかし、今なお説明が不十分だという意見や批判があることは、真摯に受け止めなければならない」と述べました。

そのうえで「参列する人数や具体的な対応、外国からの賓客の顔ぶれなど『国葬儀』が迫り、明らかになってくる事柄もたくさんある。こういった事柄などについて、最後まで丁寧に説明を続けていきたい」と述べました。