ロシア 予備役30万人動員へ 戦闘で効果発揮可能性低い指摘も

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン政権は、30万人の予備役を動員し、戦局を打開したい思惑です。一方、イギリス国防省は今後、数か月の間、動員された部隊が戦闘で効果を発揮する可能性は低いと指摘しています。

ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナへの軍事侵攻を続ける考えを改めて示したうえで、戦地に派遣する兵士について、職業軍人だけでなく有事に招集される、いわゆる予備役を部分的に動員すると表明しました。

ロシア国防省は、招集するのは軍務経験などがある予備役に限定され、動員の規模は30万人だとしています。

これについてイギリス国防省は22日「ロシアは30万人を動員するための管理や補給面で苦労する可能性が高い。今後、数か月の間、動員された兵士による新たな部隊が戦闘で効果を発揮する可能性は低いだろう」と分析しました。

そして「今回の動きは、ウクライナで戦うロシアの志願兵がもういなくなったことを事実上、示すものだ」と辛辣(しんらつ)に指摘しています。

さらに「この限られた動員でさえ、一部のロシア国民には強い不満の声が上がっている。プーチン大統領は、戦力を必要とするため、かなりの政治的なリスクを受け入れている」として、プーチン政権が戦局を挽回するため、大きな賭けに踏み切ったと指摘しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も21日の分析で「ロシアの部分的な動員は、今後、数か月の間、戦いの方向性に実質的な影響を与えないだろう」と指摘しています。

こうした中、プーチン政権はウクライナの東部や南部で支配する地域の一方的な併合をねらい、親ロシア派勢力が、23日から27日にかけて「住民投票」だとする組織的な活動を始める予定です。

ロシアのラブロフ外相は、21日に掲載されたアメリカの有力メディア「ニューズウィーク」とのインタビューで、「住民は自分たちの運命を独自に決定する権利を持つ。ロシアと一緒にいたいという願望をわれわれは理解しており、住民の選択を尊重する」と述べ、「住民投票」だとする活動を名目に併合を推し進める考えを強調しました。

一方、ウクライナ政府や国際社会からは「偽りの住民投票」だとして非難の声が強まっています。

これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、親ロシア派側は、支配地域で住民の監視を強め、ロシアを支持する住民だけを強制的に選別する作業を進めていると警告しています。