このまま急激な円安が続けば、エネルギーや食品、原材料といった輸入品などが値上がりし、それが企業活動や暮らしに悪影響を及ぼしかねない。
こうした危機感があったとみられます。
きょう未明にアメリカのFRBが大幅な利上げを決めた一方、日中に日銀が大規模な金融緩和を維持したことで、日米の金利差の拡大が意識され、市場では円安が急速に進んでいました。
そして日中、日銀の黒田総裁が記者会見で当面は金利を上げないと強調すると、1ドル=145円を突破しました。
この1ドル=145円という水準ですが、これに近づいた今月14日には、鈴木財務大臣が、介入について、「やるときには間髪入れずに瞬時にやる」と発言するなど、“口先介入”のレベルを高めていました。
さらに同じ14日には日銀が、市場介入を視野に入れた準備の動きとされる「レートチェック」を銀行などに対して実施しました。
きょう、この水準を一気に突破したことで、危機感が一段と強まったものとみられます。
政府・日銀 市場介入 なぜこのタイミング?その効果は?
政府・日銀は、急速な円安に歯止めをかけるためドルを売って円を買う市場介入に踏み切りました。
政府・日銀によるドル売り円買いの市場介入は、日本の金融危機のさなかに円安が進んだ1998年6月以来、24年3か月ぶりとなります。
なぜ、このタイミングでの介入となったのか?
また、介入の効果などについて日銀担当の下村キャップの解説です。
(動画は3分21秒。データ放送ではご覧になれません)
市場介入の背景、なぜこのタイミング?

今回の市場介入 日米は協調したのか?

先ほどの記者会見で、鈴木財務大臣は、単独での介入かどうか明言は避けつつ、「関係各国とは常日ごろ、連絡を取りあっている」と述べ、事前にアメリカなどとすりあわせを行ったことを示唆しました。
今回の市場介入をめぐっては、アメリカの理解が得られないために実施が難しいのではないかという声も事前にはありました。
というのも、記録的なインフレに見舞われているアメリカにとって、介入によって円高ドル安方向に動けば、さらなる物価高につながるおそれがあるからです。
このため今後、日米が介入をめぐってどういった意思疎通を図っていくかは大きなポイントになりそうです。
今回の市場介入をめぐっては、アメリカの理解が得られないために実施が難しいのではないかという声も事前にはありました。
というのも、記録的なインフレに見舞われているアメリカにとって、介入によって円高ドル安方向に動けば、さらなる物価高につながるおそれがあるからです。
このため今後、日米が介入をめぐってどういった意思疎通を図っていくかは大きなポイントになりそうです。
介入効果は続くのか 今後の焦点は?

今回の市場介入によって、投機的な取り引きには大きなけん制になるため、急速な円安にいったん歯止めがかかる可能性があります。
ただ、円安ドル高を加速させてきた背景には、日米の金融政策の違いという大きな構図があります。
金融引き締めを急ぐアメリカと金融緩和を続ける日本という状況は、当面は変わらないため、円安に歯止めをかける効果は限定的だという指摘もあります。
ただ、円安ドル高を加速させてきた背景には、日米の金融政策の違いという大きな構図があります。
金融引き締めを急ぐアメリカと金融緩和を続ける日本という状況は、当面は変わらないため、円安に歯止めをかける効果は限定的だという指摘もあります。

再び円安がさらに進んだ場合に、政府・日銀が再度、市場介入に踏み切るのか。
その規模はどこまでか。
「伝家の宝刀」ともいえる市場介入についに踏み切った政府・日銀が、円安の大きな流れを劇的に変えることは容易ではなく、今後長く市場と向き合うことになる可能性もあるため、その覚悟が問われることになります。
その規模はどこまでか。
「伝家の宝刀」ともいえる市場介入についに踏み切った政府・日銀が、円安の大きな流れを劇的に変えることは容易ではなく、今後長く市場と向き合うことになる可能性もあるため、その覚悟が問われることになります。