旧優生保護法めぐる裁判 法律は違憲 賠償は退ける 大阪地裁

旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして、大阪に住む聴覚障害のある70代の夫婦が国に賠償を求めた裁判で、大阪地方裁判所は、この法律を憲法違反と判断しましたが、時間の経過によって国に賠償を求める権利は失われているとして訴えを退けました。

大阪府内に住む、いずれも聴覚に障害のある70代の夫婦は、妻が48年前、長男を出産後、医師や母親から何も説明されないまま、旧優生保護法に基づいた不妊手術を受けさせられたとして、国におよそ2200万円の賠償を求めていました。

22日の判決で、大阪地方裁判所の横田典子裁判長は、旧優生保護法について、「立法目的は、非人道的で差別的であり、違憲であることは明らかである」として、憲法に違反すると判断しました。

しかし、3年前に提訴した時点で不妊手術から20年が経過していたことから、「賠償請求できる権利は消滅している」として、国の賠償責任を認めず、訴えを退けました。

これは、相手の不法行為から20年がたつと裁判で賠償を求める権利が消滅するという、改正前の民法に規定されていた「除斥期間」を適用した判断です。

判決は、差別や偏見の影響で提訴などが著しく困難な環境が長く続いたことを考慮し、同様の裁判が全国で初めて起こされた平成30年1月ごろから6か月間は「除斥期間」の適用が制限されるという判断を示しましたが、原告の夫婦が提訴したのはそれよりもあとだったため、訴えを認めませんでした。

旧優生保護法をめぐっては、ことし2月の大阪高等裁判所と3月の東京高等裁判所で国に賠償を命じる判決が相次いで言い渡されましたが、今回は、異なる判断となりました。

原告「痛み 忘れることはできません」

大阪に住む原告の聴覚障害のある70代の女性は、判決のあと会見を行い、手話の通訳を介して、「私の痛みというのは忘れることはできません。2人目も産んで育てたかった。成長する姿を見たかったです」と話しました。

また原告側の弁護団の辻川圭乃弁護士は、「今回の判決では非人道的で差別的であると認めているにもかかわらず、『除斥期間』によって時間の経過で賠償を求める権利が消滅しているとして退けられました。『除斥期間』が6か月間は制限されるとしましたが、提訴するには医師の診断書を取る必要があり、困難を極め、診断書を取得するだけで4か月かかっています。障壁が解消されておらず、『除斥期間』の制限が6か月とされることに憤りしかありません」と話していました。

厚生労働省「国の主張 認められた」

大阪地方裁判所が原告の請求を棄却する判決を言い渡したことについて、厚生労働省は「国家賠償法上の責任の有無に関する国の主張が認められたものと認識している。旧優生保護法に基づく優生手術などを受けた方に対しては、一時金の支給等に関する法律が公布・施行されており、今後とも着実な一時金の支給に取り組んでいく」とコメントしています。