黒田総裁が着席し、午後3時30分、記者会見が始まりました。
会見開始時の円相場は1ドル=145円台の前半でした。

【詳細】日銀 黒田総裁会見 「当面 金利引き上げない」
日銀の黒田総裁はきょうの記者会見で、現時点では金融緩和を継続して経済を下支えし、賃金の上昇を伴う形で物価目標を安定的に実現することが必要だとしたうえで、「当面、金利を引き上げることはない」という考えを強調しました。
22日午後3時半から行われた会見の詳細です。
会見始まる “現状維持”

黒田総裁の記者会見は、東京・日本橋本石町にある日銀本店で開かれました。
金融政策を決める会合のあと、毎回開かれています。
会見では、まず黒田総裁が会合での決定事項を説明。
その後、記者からの質問に答えます。
金融政策を決める会合のあと、毎回開かれています。
会見では、まず黒田総裁が会合での決定事項を説明。
その後、記者からの質問に答えます。
景気 “持ち直している”
この中で、景気の現状について黒田総裁は「資源価格上昇の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している」と述べました。
前回・7月の会合での景気判断も「持ち直し」でしたので、判断は変わりませんでした。
また、先行きについては「ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで回復していくと見られる」と述べました。
前回・7月の会合での景気判断も「持ち直し」でしたので、判断は変わりませんでした。
また、先行きについては「ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで回復していくと見られる」と述べました。
物価は “年末にかけて上昇”
日銀は2%の物価上昇率を目標としていますが、先月・8月の消費者物価指数は、変動が大きい生鮮食品を除き去年の同じ月より2.8%上昇し、日銀の目標をすでに上回っています。
消費税率引き上げの影響を除けば、ほぼ31年ぶりの高い上昇率となりました。
黒田総裁は、消費者物価の見通しについて「年末にかけては上昇率を高める可能性が高いが年明け以降、プラス幅は縮小していくと考えている。来年度以降の消費者物価の上昇率は2%を下回る水準まで下がると予想している」と述べました。
消費税率引き上げの影響を除けば、ほぼ31年ぶりの高い上昇率となりました。
黒田総裁は、消費者物価の見通しについて「年末にかけては上昇率を高める可能性が高いが年明け以降、プラス幅は縮小していくと考えている。来年度以降の消費者物価の上昇率は2%を下回る水準まで下がると予想している」と述べました。
金融・為替市場の動向 注視

急速に進む円安について、黒田総裁は冒頭の発言で「経済をめぐる不確実性は極めて高い。金融・為替市場の動向や、わが国経済・物価への影響を十分注視する必要がある」と述べました。
必要あればちゅうちょなく追加緩和
冒頭発言の最後に、金融政策の方向性について「2%の物価安定の目標の実現を目指し、必要な時点まで金融緩和を継続する。必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と述べました。
来年度以降 物価は2%を下回る
今後の物価の見通しについて「8月の消費者物価の前年比は、プラス2.8%となっていて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、本年末にかけては上昇率を高める可能性が高いと考えている。ただ年明け以降はそれらの押し上げ要因が減衰することで物価上昇率プラス幅は縮小していくと考えいる。来年度以降の消費者物価は2%を下回る水準までに下がると予想しております」と述べました。
円安は日本経済にとってマイナス
記者会見で外国為替市場で急速に進む円安については、「逆方向の要因も含めさまざまな要因があるにもかかわらず円安が進んできたことは、一方的であり、投機的な要因もあるのではないかと考える。こうした円安の進行は、企業の事業計画の策定を困難にするなど、先行きの不確実性を高め、わが国経済にとってマイナスであると思います」と述べました。
当面 金利引き上げない

また、黒田総裁は「今は経済を支えて賃金の上昇を伴う形で物価上昇の目標を持続的に安定的に実現することが必要であって、金融緩和を継続することが必要であると考えている。必要があれば追加的な金融緩和措置を講じる。金融緩和を続けることには全く変わりないので、当面、金利を引き上げることはないと思っている」と述べました。
マイナス金利 問題ない
マイナス金利政策については、「現在のが何か大きな副作用や問題を起こしていることはないと思う。違う国と比較してあちらのマイナス金利がなくなったからといって、なくす必要があるとはならないと思う」と述べました。
日米の金利差だけで説明できない
このほか、「為替の変動についてはさまざまな要因がある。日米の金利差が市場で非常に注目されてそれが影響していると言われているが、他の国で金利をかなり引き上げて長期金利がアメリカより高くなっている国も含めて、対ドルでかなり為替が下落している。したがって、今の為替動向を日米の金利差だけで説明したり運用したりするのはいかがかというふうに思う」と述べました。
「当面 金利を引き上げない」 円相場 145円台後半に値下がり

東京外国為替市場では日銀の黒田総裁が記者会見で、「当面、金利を引き上げることはない」などと発言したことを受けて円を売ってドルを買う動きが加速し、円相場は、記者会見の最中に1ドル=145円台後半まで値下がりしました。
市場関係者は「FRBの参加者による政策金利の見通しが引き上げられ、アメリカでは大幅な利上げが続くことが見込まれている一方で、日銀の黒田総裁が金融緩和を維持する姿勢を鮮明にしたことで、日米の金利差の拡大が強く意識されている」と話しています。
市場関係者は「FRBの参加者による政策金利の見通しが引き上げられ、アメリカでは大幅な利上げが続くことが見込まれている一方で、日銀の黒田総裁が金融緩和を維持する姿勢を鮮明にしたことで、日米の金利差の拡大が強く意識されている」と話しています。
金融政策の方向性の変更 2、3年必要と考えていない
黒田総裁は金融政策の将来の方向性を示すいわゆる「フォワードガイダンス」の変更は当面、必要だと考えていないとしたうえで「当面というのは数か月という話ではなくて、2、3年の話といういうように考えてもらって大丈夫だ。そうはいっても、その中で物価情勢に合わせて微調整はあるかもしれない。ただ、基本的なフォワードガイダンスの変更はやはりあくまで経済物価情勢の転換によって金融緩和策を修正していくものだ」と述べ、いまの金融政策の方針は長期にわたって変わらないという認識を示しました。
物価安定は再来年も難しい
今の物価上昇の形について、「賃金が上がっていく中で物価が上がっていく形になれば安定的に物価上昇が2%を達成できることになると思うが、現在は、輸入物価の上昇が消費者物価の上昇に反映されている形だ。その影響は来年以降は減衰して、2%の水準を割る可能性が高い。いまは賃金があがり、物価が上がるという経済の好循環ではなく、物価の安定の目標の達成は、来年も、再来年も難しい状況だ」と述べ、賃金の上昇を伴わなければ物価目標の達成には時間がかかるという認識を示しました。
金融政策は為替レート ターゲットでない
日銀の黒田総裁は「金融政策は為替レートをターゲットにしていない。あくまでも経済、特に物価の動向との関係で為替や金融市場をよく注視していく」と述べました。
政府から日銀に協力要請ない
為替介入について、「財務大臣の所管なのでコメントすることは差し控える。為替の先行きについて言うと大体失敗しますのでなんとも申し上げられない」と述べました。
また、円安に関して政府から日銀に協力の要請があった場合の対応を問われたのに対して、「そういったことは予想もしていないし、そんなことはないと思う」と述べました。
また、円安に関して政府から日銀に協力の要請があった場合の対応を問われたのに対して、「そういったことは予想もしていないし、そんなことはないと思う」と述べました。
会見終了
黒田総裁の記者会見は、通常45分間がめどとなっていますが、22日は、午後4時35分すぎまで、1時間以上続いて、終了しました。