円相場 1ドル=145円台に 24年ぶり 年初めから約30円下落

東京外国為替市場では日銀の金融政策が発表された直後、円を売ってドルを買う動きが急速に強まり、円相場は1ドル=145円台まで値下がりしました。1998年以来およそ24年ぶりの円安水準で、ことしはじめからおよそ30円下落しました。

東京外国為替市場では、日銀の金融政策決定会合で大規模な金融緩和を続けることが発表された直後に円を売ってドルを買う動きが加速し円相場は、1ドル=145円台まで値下がりしました。

1998年以来、およそ24年ぶりの円安水準で、ことしはじめからおよそ30円下落しました。その後は値上がりしたドルを売る動きも出て1ドル=143円台半ばまで値を戻すなど乱高下する場面もありました。

市場関係者は「日銀が大規模な金融緩和策を維持することを決めたことで市場では、日米の金利差が一段と拡大することが意識され、円安ドル高が一気に進んだ。日銀の黒田総裁がこのあとの記者会見でどのような発言をするかに市場の注目が集まっている」と話しています。

円相場の下落率 「プラザ合意」以降で最大の水準に

円相場は1ドル=145円まで値下がりし、1998年以来およそ24年ぶりの円安水準となりました。

1ドル=115円台前半だったことしの初めと比べるとおよそ30円値下がりしました。

円はドルに対しておよそ20%下落したことになります。

1985年に日米欧の主要5か国がドル高の是正で政策協調した「プラザ合意」以降でみると、円相場の年間の下落率がこれまでで最も大きかったのは2013年。

この年は、黒田総裁が就任直後に打ち出した大規模な金融緩和策で急速に円安が進み、このときは年間でおよそ17%の下落となりました。

ことしに入ってからの円相場の下落率はこの2013年を超える記録的な水準となっています。

市場関係者の間では、日米の金融政策の方向性の違いによる金利差の拡大という構図が変わらないことから歴史的な円安局面は当面、続くという見方も出ています。

財務省の財務官「適切な対応とる用意 ずっとスタンバイ状態」

外国為替市場で円相場が一時1ドル=145円台まで値下がりするなど、円安が進んでいることについて財務省の神田財務官が22日午後、省内で記者団の取材に応じ、「最近、相場が大きく乱高下している。為替相場の過度な変動は家計にも企業にも非常に悪影響を及ぼすものであって、過度な変動の場合にはあらゆる手段を排除することなく、適切な対応をとる用意ができているし、そのように行動することを考えている。ずっとスタンバイの状態だ」と述べ、改めて市場の動きを強くけん制しました。

また、22日実際に市場介入を行ったかどうか問われたのに対して、神田財務官は「介入の有無について必ずしもコメントしないが、正直申し上げると、まだやっていない。しかし、いずれは介入を行う用意はある」と述べました。

トヨタ 豊田社長「円安のデメリットが拡大」

加速する円安についてトヨタ自動車の豊田章男社長は22日、都内で開かれた会合のあとの記者会見で、「自動車産業は輸出産業という捉え方をされるが、円安のメリットを受ける輸出の台数は10年前と比べるとおよそ2割減少している。一方、資材や部品の輸入が増えてきていることやエネルギー価格の高騰で、どちらかというと円安のデメリットが拡大しているのが現実だ」と述べました。

そのうえで豊田社長は、「為替はできるかぎり安定的に推移してほしいが乱高下するものなので、その中でどう体質を強くしていくかが企業努力になると思う」と述べ、為替の急激な変動にも耐えられるよう企業が備えていくことが重要だという認識を示しました。