ザポリージャ原発で再び砲撃 電力供給ケーブル損傷 IAEA

IAEA=国際原子力機関は、砲撃が相次ぎ安全性への懸念が広がっているウクライナのザポリージャ原子力発電所で再び砲撃があり、原子炉の冷却に必要な電力を供給するケーブルが損傷したと明らかにし、安全確保の必要性を改めて訴えました。

ウクライナ南東部にあるザポリージャ原発は、相次ぐ砲撃により一時的に外部電源を失うなど、安全性への懸念が広がっています。

最近は、原発への電力供給も復旧し、砲撃による被害も伝えられていませんでしたが、IAEAのグロッシ事務局長は声明を出し、21日未明にタービン建屋近くで砲撃があり、6基の原子炉のうち1基に電力を供給するケーブルが損傷したと明らかにしました。

現在は冷温停止状態にある原子炉は、冷却を維持するためなどの電力を必要としていて、ケーブルの損傷を受けて非常用発電機が40分ほど動き、その後、電力供給は復旧したということです。

また、グロッシ事務局長は、前日の20日にも施設内に砲撃があったと懸念を示したうえで、みずから提案する、原発周辺を安全な区域に設定することなど安全確保の必要性を改めて訴えました。

一方、ウクライナの原子力発電公社のコティン総裁も今月、NHKとのインタビューで「ロシア軍が原発から撤退すれば、安全に関するすべての問題に終止符が打たれることは明らかだ」と述べていて、安全の確保が引き続き課題となっています。

松野官房長官「ロシアに蛮行を即座に停止するよう求める」

松野官房長官は、午前の記者会見で「現地に駐在するIAEA=国際原子力機関の任務が妨げられることなく行われ、ザポリージャ原子力発電所の安全などが確保されることが重要だ」と述べました。

そのうえで、「ロシアによる原子力発電所の占拠を含め、一連の行為は決して許されない暴挙だ。福島第一原発の事故を経験したわが国として強く非難するとともに、ロシアに対し、蛮行を即座に停止するよう求めていく」と述べました。