米FRB 3回連続0.75%の利上げ決定 インフレ抑制の姿勢鮮明に

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は21日まで開いた会合で、0.75%の大幅な利上げを決めました。3回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切り、記録的なインフレを抑え込む姿勢を一段と鮮明にしました。

FRBは21日までの2日間、金融政策を決める会合を開きました。

新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻などの影響で高いインフレが続いているうえに消費者がインフレが続くと信じ込んでしまうことを避ける必要があるとして政策金利を0.75%引き上げることを決めました。

1回の利上げとしては通常の3倍の上げ幅で、FRBはことし6月と7月に0.75%の利上げを決定しており、今回で3回連続となります。

政策金利は3%から3.25%の幅となり、2008年1月以来、およそ14年半ぶりに政策金利が3%を超えます。

ただ、急速な利上げなど金融の引き締めが住宅市場や個人消費などに影響を与え始めているうえ今後、失業率の上昇も懸念されています。

これについてFRBのパウエル議長は会合のあとの記者会見で記録的なインフレを抑えられなければさらに大きな痛みを伴うことになるとして金融引き締めについて「任務が完了したと確信できるまでやり続けなければならない」と述べインフレ抑制の姿勢を改めて強調しました。

政策金利の見通しは

今回の会合でFRBは参加者による政策金利の見通しを示しました。

参加者がそれぞれ適切だと考える金利が点=ドットで示されることからドット・チャートと呼ばれ市場ではその中央値がFRBが目指す金利水準だと受け止められています。

それによりますと2022年末時点の金利水準の中央値は4.4%でした。

前回・6月の見通しは3.4%で、大幅に引き上げられました。

年内に金融政策を決める会合は11月12月にあと2回あり、合わせて1.25%の利上げが必要になる計算で、大幅な利上げが続くことが推測されます。

さらに2023年の政策金利の見通しもことしより高い4.6%とさらに利上げする可能性を示しています。

一方、アメリカのことしのGDP=国内総生産の伸び率の予測は、利上げによる景気減速を見込んで6月の見通しの1.7%から0.2%へと大幅に下方修正しました。

パウエル議長「任務完了したと確信できるまでやり続けなければ」

FRBのパウエル議長は会合のあとの記者会見で記録的なインフレを抑え込むための金融引き締めについて「任務が完了したと確信できるまでやり続けなければならない」と述べました。

また「現在のような高いインフレ率が続けば続くほど人々の間で今後もインフレが続くと考えてしまう可能性が高まる。歴史は早まった金融緩和を強く戒めている」として物価上昇を抑えるための利上げなど金融引き締めをしばらくの間続ける必要があるという認識を示しました。

利上げによる景気への影響については経済成長を大きく低下させ失業率の上昇を引き起こす可能性があるとしたうえで「大切なのはインフレに苦しんでいる人たちの声を聞くことで利上げの継続が何より重要だ」と述べました。

一方、パウエル議長は「金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれて、これまで積み重ねてきた政策効果を見極めながら利上げのペースを緩めることが適切になる可能性がある」と述べ、今後、利上げペースを緩める可能性にも改めて言及しました。

専門家「市場では景気後退のリスクが強く意識」

今回の会合の注目点について、FRBの金融政策に詳しい元三菱UFJ銀行のエコノミスト、鈴木敏之氏は、GDP=国内総生産の伸び率の見通しだったと指摘します。

会合の参加者が予測することしのGDPの伸び率の中央値は、前回6月の見通しの1.7%から今回は0.2%に大きく下方修正されました。

また来年の見通しについては、前回の1.7%から1.2%に引き下げられました。

いずれも鈴木さんの予想を下回る水準で、このうち来年のGDPの伸び率については、会合の参加者が示した見通しの幅が、マイナス0.3%からプラス1.9%となりました。

鈴木さんは「市場ではGDPの伸び率がマイナスになると予測する参加者がいること自体がサプライズと受け止められ、景気後退のリスクが強く意識された」と指摘しています。

また、同時に公表された政策金利の見通しについては、来年末の金利水準の中央値が4.6%とことしより高く、長期間、金融の引き締めを続ける姿勢が示されたとしています。

市場では、来年には景気の減速が鮮明になり利下げに転じるという見方も出る中で、鈴木さんはFRBがインフレは抑制されたと判断する際の基準が今後は焦点になるという見方を示しています。

松野官房長官「影響を引き続き注視」

松野官房長官は午前の記者会見で「アメリカにおけるインフレの動向や金融政策の変更により、日本経済や世界経済にどのような影響が生じるか、引き続き注視していきたい」と述べました。