私は鉛筆という武器を持っています

もともとは人を楽しませる漫画を書いていました。
しかし半年前に、状況は一変。
作風も、使う色も様変わりしました。
この半年で描いた一コマ漫画は100枚近く。彼は言います。

「私は、鉛筆という武器を持っています。今日も明日も毎日、描きます。平和が訪れる日まで」

(大阪放送局 小野田真由美)

暗がりで咲いているひまわり

ウクライナの国の花、ひまわりが枯れています。
「Z」の文字が入ったミサイルが突き刺さっています。
暗がりに咲くひまわりをよく見ると、亡くなったわが子を抱く親のように見えます。

京都市のアートスペースで開かれている「一コマ漫画」の展示会「ウクライナからの手紙展」。描いたのはウクライナ人の漫画家たち6人です。
作品一枚一枚に、戦闘への怒りや祖国への思いなど、風刺の効いた力強いメッセージが込められています。
軍人が、手にしたナイフで削っているのは、ウクライナの地図で使われている「国境」を示す記号。人の形のようにも見えます。

国境を越え、祖国を踏み荒らすロシア軍を痛烈に批判した作品です。

作風も 使う色も様変わり

出展した風刺漫画家の1人、ヴォロディミル・カザネフスキーさん。
もともとは、明るく、見た人を楽しませる漫画を描いてきました。
軍事侵攻が始まった2月24日の朝も、いつも通りキーウの自宅で漫画を描いていました。

しかし、突如、戦渦に巻き込まれます。
自宅近くに、ミサイルが落ちたこともあったと言います。
今は、隣国のスロバキアに避難しながら、漫画を描き続けています。
ロシアの軍事侵攻が始まって半年以上。
戦闘の長期化とともに、作風も使う色も様変わりしました。

怒りを絵に込めて

熊のぬいぐるみを乗せて向かってくるミサイル。
母親は子供を抱いて必死に逃げていますが、子供はうれしそうに手を伸ばしています。
弱者の犠牲もいとわない卑劣な行為への怒りを込めました。

ヴォロディミル・カザネフスキーさん
「ロシアがウクライナで起こしている犯罪を、絵を通して見せたいです。子どものおもちゃに爆弾を仕掛けて、興味を持った子どもがそのおもちゃを手にすれば爆発するようなことまでです」

それぞれの場所で“戦う”

今、ウクライナでは総動員令が出されているため、避難する人の多くが高齢者や女性、子供たちです。

祖国を守るために戦う家族を残し、国境を超えようとする姿を描いた漫画はスーツケースだけが、カラーになっていました。
赤いハートは祖国を思う不屈の心。
平和を取り戻すまで、それぞれの場所で“戦う”決意を表現したと言います。

そして、自分自身の戦う決意についても教えてくれました。

ヴォロディミル・カザネフスキーさん
「私は、違う武器・鉛筆という武器を持っています。この半年で100枚ほど描きました。今日も明日も毎日、勝つまで描きます。そして、平和が訪れたら、また人を笑わせる絵を描きますよ」

遠く離れた日本にも伝わる思い

ウクライナの漫画家たちに作品の出展を呼びかけた、漫画家の篠原ユキオさんは当事者ならではのメッセージ性を強く感じたと言います。
世界漫画家連盟日本支部 篠原ユキオ会長
「声をかけて2~3日でほとんどの作品が集まりました。描きためていた。外から見ていて「戦争反対」とか「世界に平和」とか言ってる作品とは違う、当事者ならではのエネルギーは僕らがまねして描けないなと」

展示会を訪れた人たちにとっても、ウクライナの今を描いた一コマ漫画は「平和の尊さ」と向き合う時間になっています。

来場者
「とにかく生きているということを、大事にできるようにしていきたいと思った」
「もっと真剣に「21世紀中には戦争やめようよ」という、それが呼び覚まされる感情です」
会場に印象的な漫画もありました。
ロケット砲から青と黄色のウクライナカラーの虹が伸びています。

ウクライナから世界への平和の訴えが、1人でも多くの人に届いてほしいと強く感じます。

作品の一部を紹介します

「ウクライナからの手紙展」は、京都市のアートスペース「余花庵」で9月25日まで開かれています。

作品の一部をご紹介します。皆さんは何を感じ、どんなことを考えますか?