“ロシア軍が司祭を拉致して拷問” ウクライナ正教会大主教

来日しているウクライナ正教会の大主教は、NHKの取材に対して、ロシア軍が占領地域で司祭を拉致したり拷問したりしていると非難したうえで、一刻も早く平和が訪れるようロシア正教会の聖職者たちも軍事侵攻に反対する姿勢を示すべきだと呼びかけました。

ウクライナで多くの国民に浸透しているウクライナ正教会のエフストラティ大主教は、宗教関係者の国際会議に出席するため来日していて、20日、東京都内でNHKの取材に答えました。

この中でエフストラティ大主教は「占領されたへルソン州では、司祭が拉致されたうえに拷問を受け、ロシアの情報機関への協力を求める文書に署名するよう強制された」と述べ、ロシアによる軍事侵攻の被害は宗教の面にも及んでいると非難しました。

また、プーチン大統領に近いとされるロシア正教会のキリル総主教などが、軍事侵攻を支持していることについて「ロシアは、何世紀も正教会を帝国主義の道具のように使ってきた。私たちは、特定の政治家や個人は支援しない」と述べ、宗教が戦争の正当化に利用されないよう、政治と宗教は一定の距離を保つべきだという認識を示しました。

そのうえでエフストラティ大主教は「一刻も早く平和が訪れるよう宗教指導者こそ声を上げるべきだ」と述べ、ロシア正教会の聖職者たちも軍事侵攻に反対する姿勢を示すべきだと呼びかけました。

ウクライナ正教会は、ロシアとの関係悪化に伴って2019年、ロシア正教会から独立した形で、これにロシア側は反発していましたが、軍事侵攻を受けて双方の正教会の対立が一層深まっています。