国際

ウクライナの支配地域でロシア編入へ向け住民投票の実施発表

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナで、親ロシア派の勢力は今月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を決めたと表明しました。ウクライナ軍の反転攻勢を受けてプーチン政権が急きょ、支配地域の一方的な併合に動き出したかたちですが、ウクライナ側は「偽りの住民投票だ」と強く反発しています。
ウクライナの親ロシア派勢力は20日、東部のドネツク州とルハンシク州、南部のヘルソン州それに南東部のザポリージャ州の支配地域で、それぞれ今月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を決めたと表明しました。

ロシアのプーチン政権が支配地域の一方的な併合に向けて動き出したかたちです。

8年前にはウクライナ南部クリミアでもロシア軍が派遣される中で親ロシア派が住民投票を実施し、その結果を根拠にプーチン大統領はクリミアを一方的にロシアに併合しています。

住民投票の動きについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は19日、「ウクライナ軍の反転攻勢が続く中、親ロシア派勢力やクレムリンの意思決定者の一部がパニックに陥っていることを示唆している」と分析していました。
ウクライナ軍の反転攻勢を受け、プーチン政権は、危機感を強めているものとみられ、ロシアの前の大統領で、安全保障会議のメドベージェフ副議長は20日、SNSで「ロシアの領土を侵すことは犯罪であり、ロシアは自衛のためにあらゆる力を行使できる」と主張しました。

また政権与党の幹部で、ロシア議会下院のボロジン議長は「住民がロシアの一部になりたいという意思表示をするなら、われわれは支持する」と述べました。
一方、ウクライナのゼレンスキー政権は強く反発していて、クレバ外相は声明を出し「偽りの住民投票では何も変わらない。ロシアは侵略者であり、ウクライナの土地を違法に占領している。ウクライナは国土を解放する権利があり、ロシアがなんと言おうとも解放を続けていく」としています。

アメリカ政府も、ロシアが住民投票に踏み切れば追加の制裁を行うと警告していて、国際社会からの批判がさらに強まるとみられます。

背景に「ロシア側の危機感」か

ウクライナ東部や南部のロシア軍が掌握する地域で親ロシア派がロシアへの編入に向けた一方的な住民投票の実施を急いだ背景には、ウクライナ軍の反転攻勢を受けたロシア側の危機感があるものとみられます。
東部ドネツク州の親ロシア派の指導者プシリン氏は8月、住民投票はロシア軍が州全域を掌握したあとに実施する意向を表明していたほか、南部ヘルソン州の幹部は9月5日、治安上の理由から実施を見送る考えを示していました。

しかしプシリン氏は20日、国営ロシアテレビで方針の変更を認めたうえで、親ロシア派の支配地域以外の住民も投票に参加させる考えを示唆しました。

一方、ロシアの前の大統領で、安全保障会議のメドベージェフ副議長は20日、SNSで「住民投票は歴史的な正当性を回復するためにも非常に重要だ。ロシアの領土を侵すことは犯罪であり、ロシアは自衛のためにあらゆる力を行使できる」と主張しました。

また、政権与党の幹部で、ロシア議会下院のボロジン議長は「住民がロシアの一部になりたいと意思表示をするなら、われわれは支持する」と述べ、支配地域の一方的な併合に向けて動きだした形です。

こうした動きについてロシアの独立系ネットメディア「メドゥーザ」は「クレムリンは直ちに併合することを決定した」としたうえで、実施を急いだ背景には、ウクライナ軍が反転攻勢を強める中で、プーチン政権が支配地域をロシア領とすることを急いだという見方を示しています。

アメリカ国務長官「偽りの住民投票だ」

アメリカのブリンケン国務長官は20日、イギリスのクレバリー外相との会談に先立ち、「偽りの住民投票だ」と非難するとともに「プーチン大統領がロシアの予備役をさらに動員しようとしているという報告もある」と述べました。

そのうえで「もし住民投票が進められ、ロシアがウクライナの領土の併合をもくろんでいるのなら、アメリカは決して認めることはない。国連憲章を支持する他の国々にとっても、それを明確にすることは非常に重要だ」と述べ、住民投票などが進められた場合、国連の加盟国に対し反対の立場を示すよう呼びかけました。

アメリカ大統領補佐官「領土併合を主張するために利用」

アメリカのサリバン大統領補佐官は20日、記者会見で「この住民投票は、国際社会の基礎である主権と領土の一体性をないがしろにするものである。投票が操作されることは分かっているし、ロシアはこの偽りの住民投票を領土の併合を主張するために利用するだろう」と述べ、ロシア側を非難しました。

そのうえで「仮に実施されても、アメリカは決してロシアがウクライナの一部を併合したとする主張を認めることはないだろう。そして、ウクライナの領土であること以外、認めることはないだろう。ロシアの行動を明確に拒否し、われわれは引き続き同盟国とパートナーとともにロシアに対価を支払わせ、ウクライナへの支援を行っていく」と述べました。

ウクライナ軍 ハルキウ州のほぼ全域を奪還と発表

ウクライナ軍は、東部ハルキウ州のほぼ全域をロシア軍から奪還したと発表したほか、南部ヘルソン州でも反転攻勢を続けています。

さらに、東部ルハンシク州のハイダイ知事は19日、ウクライナ軍が、リシチャンシク郊外の集落ビロホリウカを奪還したと明らかにしました。

ルハンシク州では、ことし7月、ウクライナ側にとって最後の拠点とされたリシチャンシクをロシア軍が掌握し、ロシア国防省は州全域を掌握したと宣言していて、今後、ウクライナ軍はリシチャンシクの奪還に向けて攻勢を強めていくとみられます。

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