【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(18日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ 南部でも反転攻勢 ロシア軍はインフラ施設攻撃か

ウクライナ軍は、東部ハルキウ州のほぼ全域をロシア軍から解放したと発表し、さらに東のドンバス地域に部隊を進めているものとみられます。

ウクライナ軍は南部ヘルソン州でも反転攻勢を強めていて、軍は17日、SNSに「占領者たちは退去ルートを準備している」と投稿し、ロシア軍が撤退に向けた動きを見せているとしています。

こうした中、戦況を分析しているイギリス国防省は18日「ロシアはこの1週間、民間のインフラ施設への攻撃を増やしている」と指摘しました。

そして、前線での後退に直面しているロシアは、ウクライナの人々と政府の士気を直接くじこうと、標的を拡大した可能性が高いと分析しています。

ウクライナでは、今月に入って発電所やダムなど民間のインフラ施設へのロシア軍による攻撃が相次いでいます。

ロシアのプーチン大統領は16日、「最近、警告射撃とも言える打撃を加えた」としたうえでウクライナ軍の反撃に対抗措置を強めることを示唆していて、インフラ施設を標的にした攻撃が繰り返される懸念も出ています。

東部で“拷問場所10か所以上発見” ゼレンスキー大統領が非難

ウクライナ軍は、東部ハルキウ州のほぼ全域をロシア軍から解放し、南部でも反転攻勢を強めています。

これについてウクライナ軍は17日に「南部ヘルソン州では占領者たちは退去ルートを準備している」とSNSに投稿し、ロシア軍が撤退に向けた動きを見せているとしています。

一方、ロシア国防省は17日、東部ドネツク州や南部ヘルソン州など、各地で攻撃を行ったと発表し、ロシアのプーチン大統領は16日、「戦っているのは軍のすべてではなく、一部でしかない」と述べ、兵力には余裕があるとアピールしました。

こうした中、ゼレンスキー大統領は17日に公開した動画で、ハルキウ州で、拷問が行われたとみられる場所が鉄道の駅など10か所以上、発見されたことを明らかにし「拷問で使う電気器具も見つかった。ロシアに占領された地域で、広く拷問が行われていたことを示している」と述べ、ロシアを非難しました。

ハルキウ州ではこれまでに重要拠点イジュームで、多くの住民が殺害され、埋められたとみられる集団墓地が確認されていて、ウクライナ当局が捜査を進めています。

ウクライナ軍 北東部で反撃続ける

ウクライナ軍は、東部ハルキウ州のほぼ全域をロシア軍から解放し、中心都市のハルキウでは商店が再開したり避難していた人が戻ってきたりしています。ウクライナ軍は北東部で反撃を続けていて、戦況を分析しているイギリスの国防省は、ロシア軍がハルキウ州と隣接するルハンシク州の境界線に沿った主要な補給路を断たれないよう、防衛ラインを築いていると指摘しています。ロシア国防省は17日、東部ドネツク州や南部ヘルソン州など各地で攻撃を行ったと発表しましたが、イギリス国防省は「前線部隊に余力や士気が残っているかは不明だ」として、ロシア軍が苦戦しているという見方を示しています。

ウクライナ東部 ハルキウ 正常化の動きも

ウクライナ東部のハルキウはロシア軍による占領は免れてきましたが、地理的にロシアに近いこともあって、ロシア領内などからの攻撃にさらされてきました。

このうち、特に激しい攻撃を受けてきた市の東部では集合住宅の建物の一部が崩壊したり内部が燃えたりしていて、激しい攻撃があった痕跡が確認できます。

ただ今月上旬、ウクライナ軍が反転攻勢を進め、ハルキウ州のほぼ全域をロシア軍から解放する中で、攻撃は以前に比べて少なくなっています。
市の中心部では依然、ほとんどの商店が閉まっていて、攻撃があった場合の爆風による被害を警戒して窓や扉に板が打ちつけられていますが、軽食店など一部で営業を再開する動きが出ています。

市内に暮らす会社員の女性は「まだ攻撃はありますが、以前よりは少なくなっていて、夜はちゃんと眠ることができるようになりました」と話していました。

こうした中で、ハルキウから逃れて避難していたものの戻ってくる人も増えていて、エンジニアの男性は「ハルキウの雰囲気は変わりました。けさ、首都キーウへの出張から戻ってきましたが列車は避難先からハルキウに戻る若者でいっぱいでした」と話していました。

ウクライナ 9割近くが領土の譲歩に反対

ウクライナの調査会社「キーウ国際社会学研究所」の15日の発表によりますと、ウクライナで「戦争が長引いてもロシアに対して領土を譲歩すべきでない」と回答する人は9割近くにのぼり、5月からの3回の調査でもっとも高くなったことが分かりました。

調査はウクライナ軍が東部ハルキウ州で反転攻勢を強めていた今月7日から13日にかけて2000人を対象に行われました。

それによりますと「戦争が長引いてもロシアに対して領土を譲歩すべきでない」と回答した人の割合は全体で87%に上り、5月の調査時点より5ポイント高くなりました。

地域別にみますと東部では領土の譲歩に反対すると回答した人の割合が85%に上り、5月の時点より17ポイント増加しました。

プーチン大統領 “戦っているのは軍人の一部のみ”

ウクライナ情勢をめぐってロシアのプーチン大統領は、16日の記者会見で「戦っているのは軍のすべてではなく一部でしかないことを強調したい」と発言しました。

プーチン大統領としては、ロシア軍の兵力には余裕があり、今の時点で国民を動員する考えはないとアピールするねらいがあったとみられます。

ただ、ロシア軍の兵力不足も指摘されるなか、プーチン大統領の側近の1人は自治体のトップに地域単位で動員をかけるよう呼びかけるなど、事実上の動員と受け止められる動きが出ています。

また、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の代表で、プーチン政権に近いとされるプリゴジン氏とされる人物が、ロシア国内の刑務所を訪れ受刑者を前に「半年間戦えば特赦を受けられる」などと言って戦闘に参加させようと勧誘しているとする映像が今月14日にSNSに投稿され、欧米のメディアが取り上げています。

こうした動きについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「プーチン政権は総動員の条件を整えるより、隠れた動員に賭けているようだ」と分析しています。