新幹線 数百か所でレールゆがむ可能性 耐震補強の前倒し要請へ

東北新幹線が脱線した地震から16日で半年です。
この地震では、高架橋の損傷によりレールが大きくゆがむ被害が確認されましたが、国の検証で、全国の数百か所で同様の被害が起きる可能性があることがわかりました。
国はJR東日本などに耐震補強工事の前倒しを要請する方針です。

ことし3月に福島県と宮城県で震度6強を観測した地震では、東北新幹線が脱線して乗客6人がけがをしたほか、架線や高架橋などの被害もおよそ1000か所に上り、国土交通省は専門家による委員会を立ち上げ検証を進めています。

この中では、耐震補強されていない高架橋の橋脚が激しく損傷して沈み、レールが大きくゆがむ被害につながった場所が2か所で確認されたとして、ほかの場所でも起こりうるか調べていました。
その結果、橋脚に負荷がかかりやすい道路をまたぐ高架橋などで、同様の被害が起きる可能性があり、そうした箇所は東北新幹線や上越新幹線、それに山陽新幹線の合わせて数百か所に上ることがわかったということです。

新幹線が走行中であれば大きな事故につながるおそれがあるとして、国土交通省はこれらの箇所がある、JR東日本とJR西日本に、耐震補強工事の前倒しを要請する方針です。

今後の検証委員会では、耐震補強工事を終える期限や、国が一部を負担することも視野に費用負担の在り方などを議論していくことにしています。

JR東日本 橋脚の耐震補強工事を加速

ことし3月の地震で、東北新幹線で被害が相次いだことを受け、JR東日本は橋脚の耐震補強工事を加速させています。

このうち、宮城県白石市の東北新幹線の高架橋は、今回、国が工事の前倒しが必要だとした高架橋と同じタイプのものです。

すでに先月から耐震補強工事が行われていて、15日も作業員20人ほどが高さ5メートルほどの橋脚に鋼板を巻きつけたり、専用の機械でモルタルを流し込んで固めたりする作業を行っていました。

耐震補強工事は、通常は橋脚1か所あたり、2か月ほどで作業を終えるということですが、首都圏などの都市部では、高架橋の下に飲食店が入っている場所もあり、工事を終えるまでに長期間かかるケースもあるということです。
JR東日本仙台土木技術センターの浜崎直行所長は「3月の地震で同じような橋脚で被害が大きかったことがあり、優先的に耐震補強を進めています。昼夜を問わずの作業で課題もありますが、一つ一つ乗り越えながらスピード感を持って、作業にあたっていきたいです」と話していました。

専門家「耐震補強計画を前倒し 短期間により強固に」

鉄道の安全対策に詳しい関西大学社会安全学部の安部誠治教授は「レールにゆがみが生じるというのは鉄道の安全運行にとっては見過ごせない問題だ。今までは高架橋の柱が倒壊したり折れたりすることに注目が集まり対策が進んできたが、それ以外の部分が残っていたことがわかったので本来の耐震補強の計画を前倒しして、なるべく短期間により強固な構造物にしていくことが重要だ」と話しています。
そのうえで耐震補強の費用については「新幹線の安全対策を進めるのは本来、鉄道会社の責務だが、現状ではどこもコロナ禍で厳しい経営に直面している。いつ大きな地震が起こるか分からず、コロナ禍から回復するまでは時限的に国が財政支援をすることの検討も必要ではないか」と指摘しています。