「WHOの言う『終わり』は終息でなくコロナとの共存か」専門家

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長が新型コロナウイルスのパンデミックの状況について「まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べたことについて、海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「WHOは次の感染の波が冬に来ると言っていて、『終わりが見える』というのは疑問に感じる面もある。WHOの言う『終わり』は流行の終息ではなく、コロナと共存できる社会が見えてきたという意味ではないか」と話しています。

今回の記者会見でもWHOはパンデミックを終わらせるためには、今後も、ワクチン接種の推進や、感染状況の監視と検査の実施、治療体制の整備と維持、政策を丁寧に説明するコミュニケーションなど、6つの点については、すべての国に求められているとしていて、濱田特任教授はこの点を重視すべきだと指摘しました。

濱田特任教授は「コロナと共存するという意味でのゴールが見えてきたので、それに近づくための対策を実施してほしいということだろう。コロナ対策が長く続き、世界中の人たちの間で『もうそろそろいいんじゃないか』という気持ちが出ている。そのような時期だからこそ、もう少し頑張ろうというメッセージを示したのではないか」と述べました。

そのうえで「コロナの流行の終息を早期に目指すことは難しいと思うが、コロナに感染しても対策できる社会は実現可能だ。ワクチン接種で免疫をつけながら、抗ウイルス薬を使って治療できる体制を整えることが大切だ」と強調しました。