G7貿易相会合 共同声明“ロシアのウクライナ侵攻 貿易に混乱”

ドイツで行われていたG7=主要7か国による貿易相会合が終了し、ロシアのウクライナ侵攻が世界の貿易に混乱を引き起こしていると非難するとともに、G7各国で貿易を拡大し、食料や物資のサプライチェーン=供給網を強化するなどとする共同声明を採択しました。

ドイツ東部で行われていたG7の貿易相会合には西村経済産業大臣が出席し、15日、共同声明を採択して終了しました。

共同声明では、ロシアのウクライナ侵攻が農業の生産や世界の貿易に混乱を引き起こし、特に発展途上国などに深刻な影響を与えていると指摘しています。

そのうえで
▽G7各国がロシアへの経済制裁を継続することや、
▽ウクライナの経済復興を後押しするため、貿易や投資を拡大させること、
さらに
▽G7各国で食料や物資のサプライチェーンを強化することなどを確認しました。

また
▽進出企業に対して技術を強制的に移転するよう求めることや、
▽国有企業を優遇するなど公平な競争をゆがめる中国の産業政策を念頭に、各国が連携して対処することなどで一致しました。

中国やロシアに対抗するためG7の結束をアピールできた形で、今後は発展途上国などを巻き込み、今回合意した内容の実効性を高めていくことが日本を含むG7各国には求められています。

議長国ドイツ「中国に対する甘い姿勢は終わった」

G7=主要7か国の議長国、ドイツのハーベック経済・気候保護相は、貿易相会合後に記者会見し、中国を念頭に貿易政策を議論したとしたうえで「中国に対する甘い姿勢は終わった。ヨーロッパとして中国に対し厳格な貿易政策をとることを意味する」と述べるとともに「ほかのパートナー国も連携したアプローチを取ることが今回の合意の一部だ」とも述べ、中国の人権問題や企業の公平な競争をゆがめる産業政策などにG7として協力して対応していく考えを示しました。

西村経済産業相「世界の平和安定のため連携の重要性を痛感」

会合のあと西村経済産業大臣は記者団に対し、「新型コロナや、ロシアによるウクライナ侵攻で先行きが不透明な状況のなか、世界の平和安定のためにパートナーと連携することの重要性を痛感した。きょうの議論を踏まえて、さらなる成果を目指し、引き続き連携していきたい」と述べました。

そのうえで「サプライチェーンを強じんで持続可能なものにするためには、新興国や途上国の関与が不可欠だ。G7だけでなくこうした国々に考え方を広めていく努力が必要だ」と述べ、今回合意した内容を途上国などに広げていくための取り組みを進める考えを示しました。