デトロイトモーターショー3年ぶり開催 最新のEVをアピール

アメリカのデトロイトで伝統のモーターショーが14日、バイデン大統領も訪れて3年ぶりに開幕し、車の電動化が進む中、最新のEV=電気自動車の展示が注目を集めています。

自動車産業で知られる中西部ミシガン州デトロイトで開幕した伝統のモーターショーは、新型コロナウイルスの影響で2019年1月以来、3年ぶりの開催となり30余りのブランドが参加しています。

アメリカの大手自動車メーカーGM=ゼネラル・モーターズやフォードは、現地で人気のあるピックアップトラックのEVやSUV=多目的スポーツ車のEVをブースの中心に展示し、最新のEVをアピールしています。

14日はバイデン大統領も訪れ「私たちは電気自動車の未来を築いているところだ。私の経済政策が、アメリカで歴史的な製造業のブームに火をつけた」などと、EVの普及を促進する政策の効果を訴えました。

JETRO=日本貿易振興機構ニューヨーク事務所によりますと、アメリカの去年の新車販売台数は1500万台余りで、このうち電気自動車などの割合は4.1%と、前の年の2.2%から上昇しています。

こうした中で世界第2位の自動車市場でのEVの拡大を見据え、アメリカの大手を中心にEVシフトが際立っています。

デトロイトモーターショーとは

自動車産業の街として知られるアメリカの中西部ミシガン州のデトロイト。

そのデトロイトで毎年開催されるモーターショー、「北米国際オートショー」はアメリカで最大規模の自動車ショーです。

1907年に初めて開催され、110年以上の歴史があります。

世界の自動車メーカーが新型モデルを華々しく発表したほか、メーカーの経営トップが今後の戦略を明らかにする場ともなってきました。

しかし、新型モデルの発表を自社で行う会社が増えてきたことに加えて、自動車とITの融合が進む中で、ラスベガスで開かれる世界最大規模のテクノロジーの見本市「CES」に参加する会社も増えたことを背景に、出展する自動車ブランドの数が減少傾向にありました。

これまで毎年1月に開催していましたが、同じ1月に開催されるCESとの競合を避けることなどを理由に、2020年は開催時期を6月に変更しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で中止となりました。

このため今回、開催はおよそ3年ぶりとなります。

アメリカの排ガス車への規制は

アメリカの自動車大手がEV=電気自動車に力を入れるのはアメリカ政府の環境政策が大きく影響しています。

バイデン大統領は去年8月、2030年に新車販売の50%をEVなど走行中に排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」にするという大統領令に署名しました。

アメリカのEVなどの販売は、去年は全体の4.1%で、これを大幅に引き上げて環境対策強化にシフトしていく方針です。

さらに、自動車の環境規制で先進的な政策を次々と導入し、連邦規制のけん引役ともなっている西部カリフォルニア州。

先月、カリフォルニア州の環境規制当局は州内でのガソリン車やハイブリッド車の新車販売を2035年以降、禁止する規制案を決定したと発表しました。

厳しい規制に今後、自動車メーカー各社が対応を迫られることになりそうです。

3年ぶりのモーターショー 展示は大きく様変わり

3年ぶりとなる今回のモーターショーは大きく様変わりしています。

前回、2019年1月のモーターショーはガソリン車が主役でした。

排気量の大きいSUV・多目的スポーツ車や大型のスポーツカーなどの発表が相次ぎました。

▽GM=ゼネラル・モーターズはSUVの新型車を披露。

▽フォードも新型SUVやスポーツカー、
さらに、
▽トヨタ自動車は、2002年に生産を中止していたスポーツカー「スープラ」の新型車を初公開しました。

当時はガソリン価格が比較的、安値で推移していたため、大排気量の車が消費者の人気を集めていたことが背景にあります。

今回、アメリカの自動車メーカー各社は一転してEV=電気自動車の展示に力を入れています。

GMは、これまでにEVを9車種発表しています。

今回のモーターショーでは、最新の3車種の展示に力を入れていました。

このうち、シボレーのピックアップトラック「シルバラード」のEVは、一回の充電でおよそ640キロ走れることが特徴です。

GMのダグ・フーラハン エグゼクティブチーフエンジニアは、アメリカでEVが普及するうえで充電スタンドなどのインフラの整備が課題となっていることを踏まえて、「電気自動車の市場は私たちがインフラを改善していくにつれて拡大していくと信じています。インフラが改善していけば電気自動車はもっと受け入れられる価格になる」と話しています。

また、フォードは前回のモーターショーが開かれた2019年の時点ではEVを販売していませんでしたが、今回のモーターショーでは、一回の充電で480キロメートル走れるピックアップトラックのEV「F150ライトニング」のほか、SUVタイプの「マスタング」のEVを展示していて、アメリカの大手のEVシフトが鮮明になっています。

一方、日本勢は今回、トヨタ自動車とSUBARUが展示しているだけでホンダと日産自動車は自社のブースを設けていません。

トヨタとSUBARU、それに日産がアメリカで販売しているEVは、それぞれ1車種ずつです。

ホンダは、アメリカで販売しているEVはありません。

日本メーカーはなぜ、アメリカで積極的なEVシフトをしていないのか。

背景の1つはアメリカの消費者の意向を見極めたいと考えているからです。

国土が広大でクルマ社会のアメリカ。

長距離を運転するドライバーの間では、充電スタンドにたどりつけずに、電池切れになることに不安の声が根強くあるといいます。

またガソリン価格が安ければ、EVに比べて価格が安い大排気量のクルマに乗りたい人が多い傾向がありました。

EVの市場が本当に拡大するのか、拡大するとしていつごろ本格的な市場となるのか、日本メーカーは慎重に見極めようとしています。

専門家「米のEV需要 新車販売の6%に及ぶか」

自動車業界の調査会社コックス・オートモーティブのミシェル・クレブス エグゼクティブアナリストは、「いつガソリン車を上回るかは分からないが、アメリカにおけるEV需要は確実に増加傾向にあり、新車販売の6%に及ぶと見ている。日本の自動車メーカーはアメリカの消費者がいつEVに乗り換えるのか、そのタイミングを注意深く見ているのではないかと思う」と話しています。