新型コロナ専門家会合 新規感染者 “一部で減少鈍化も“

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は今後も多くの地域で減少傾向が続くと見られるものの、一部の地域では鈍化していると分析しました。今後、連休などの影響に注意が必要で、インフルエンザと同時に流行することが懸念されると指摘しました。

専門家会合は現在の感染状況について、全国的に減少傾向が続き、ことし2月の第6波のピークとほぼ同じ感染レベルになっていて、大都市の短期的な予測などからは、多くの地域で減少傾向が続くと見られると分析しました。

ただ、一部の地域では感染者数の減少傾向に鈍化が見られていて、今後の連休の影響に注意する必要があるほか、インフルエンザが例年より早く流行し、コロナと同時に流行することが懸念されると指摘しました。

医療体制については、一般医療を含めて一部で負荷が続いているものの状況の改善が見られていて、重症者数は減少が続き、亡くなる人の数も減少に転じているとしています。

専門家会合は今後必要な対策として、オミクロン株対応のワクチンについて、すべての12歳以上の人に来月半ばをめどに接種を始めることを想定して準備を行うこと、療養期間の短縮を受け、短縮された期間中は感染リスクが残るため、高齢者などとの接触を控えることなどを求めました。

そして引き続き、基本的な感染対策の再点検と徹底が必要だとして不織布マスクの正しい着用や消毒、換気の徹底、のどの痛みやせきなどの症状がある時は外出を控えることなどを呼びかけました。

1週間の新規感染者 前週の0.76倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、13日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.76倍と減少傾向が続いています。

首都圏の1都3県では東京都が0.81倍、神奈川県が0.87倍、埼玉県が0.84倍、千葉県が0.80倍と減少傾向が続いています。

関西では大阪府が0.76倍、京都府と兵庫県が0.74倍、東海でも愛知県が0.75倍、岐阜県が0.78倍、三重県が0.67倍となっていて、先週に引き続き、すべての都道府県で前の週より減少しています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は鹿児島県が807.17人と全国で最も多く、次いで宮崎県が768.06人、福井県が691.78人、高知県が690.21人、岡山県が655.89人となっているほか、大阪府が572.99人、東京都は467.66人、全国では520.25人となっています。

全国的に減少傾向も 一部で減少スピード鈍化

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今の国内の感染状況について、「学校が再開されたことの影響かどうかは明らかではないが、全国的に感染者が減少傾向にある中で、一部の地域では減少のスピードが鈍化する傾向が見られている。また全国の感染者の数はことし2月のピーク時点と同じぐらい高いレベルが続いていて、今後、横ばいとなる可能性もあるといった議論があった」と述べました。

そのうえで、「今週末から連休を控えているが、それによる影響も見ていく必要がある。旅行先では感染リスクが高い行動をなるべく避けてもらうことが重要だ」と指摘しました。

また新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えたワクチン接種の進め方について、「2つのワクチンを同時に接種することは制度上可能だが、インフルエンザワクチンの接種が例年、10月から11月に行われているのに対し、新型コロナワクチンは接種間隔を5か月以上空ける必要があるため、ことし7月から8月に接種した高齢者の場合、タイミングが少しずれる可能性がある。ただコロナワクチンの接種間隔は短縮する方向で検討されているので、タイミングをどうするかが重要になる」と指摘しました。

羽生田厚生労働副大臣「引き続き感染動向の注視必要」

羽生田厚生労働副大臣は「新規感染者数はいまだに高いレベルにあるが、減少傾向にあることは間違いない。減少傾向が続くことが望まれるが、一部地域では感染者数の減少に鈍化が見られる。学校の再開と今後の連休の影響も懸念され、引き続き感染動向を注視する必要がある」と指摘しました。

そのうえで、「ウィズコロナにおける感染対策の在り方について引き続き検討し、必要に応じて政策の見直しを行っていく」と述べました。

抗ウイルス薬活用した「出口戦略」の提言も

会合では、新型コロナをインフルエンザのような一般的な感染症に近づけるため、抗ウイルス薬を活用した「出口戦略」を考えるべきだという提言を、長崎大学の古瀬祐気教授ら5人が提出しました。

提言を出したのは古瀬教授のほか、東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授や国立感染症研究所の脇田隆字所長ら5人です。

それによりますと、インフルエンザなど過去にパンデミックを引き起こしたウイルスは自然に感染したり、ワクチンが普及したりして集団免疫を獲得することで、一般的なウイルスに変化するという経過をたどったとして、新型コロナウイルスについても長期的にみれば同じ経過をたどるだろうとしています。

しかし、ことし3月の時点では世界の人口の3分の1がワクチンを接種できておらず、普及にはさらに時間がかかるとみられる一方、感染による免疫の獲得には重症化や後遺症のリスクがあることから集団レベルでの免疫を高めて、パンデミックからの出口戦略を考える上で、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が「重要な役割を担う可能性がある」と指摘しています。

そのうえで日本では、重症化を防ぐ効果がある、飲むタイプの抗ウイルス薬は「ラゲブリオ」と「パキロビッド」の2種類が承認されているものの処方されにくい状況にあるとして、迅速に診断できるようにしたり薬を入手しやすくしたりすることで流行が拡大しても重症者や死者の数を最小限にできる体制を構築し、集団レベルの免疫を獲得することが、出口戦略として有効だと提言しています。