会計検査院は今回、TPPに関連する農家の保護政策についても検査を行い、輸入米対策などで検証や見直しが必要だと指摘しました。
国は、TPP発効に伴う国産米の価格下落を防ぐため、オーストラリアが関税無しで日本に輸出できる上限量に相当する国産米を備蓄米として毎年買い入れています。
この状況を会計検査院が検査したところ、
▽2019年度に、前年度分と合わせた8000トン相当の備蓄米を22億円余りで、
▽2020年度に、6000トン相当を17億円余りで、
それぞれ購入していたのに対し、オーストラリアからの輸入量は、
▽2018年度と2019年度で、合わせて4612トン、
▽2020年度は596トンで、
この3年間で見ると、備蓄米の半分以下だったことが分かりました。
会計検査院は「オーストラリアでの干ばつによる不作などが影響したものの、備蓄米は、対策に見合っていない規模になっていた」として、施策が効率的に行われるように、検証や見直しを進めることを求めています。

TPP 農林水産業の体質強化策 13の目標を達成できず
TPP=環太平洋パートナーシップ協定などに関連して、農林水産業の体質強化策として行われてきた1兆5000億円余りの事業で、少なくとも13の目標を達成できていなかったことが会計検査院の検査で分かりました。検査院は農林水産省などに対し、指導を徹底するよう求めました。
会計検査院は国会の要請に基づき、TPPや日米貿易協定などの合意に関連して、2020年度までの6年間、1兆5500億円余りの予算を使って行われた農林水産業の体質強化策について検査し、このうち6つの施策に関する事業の50の目標について調べました。
各事業には「漁業所得の10%向上」などの数値目標が設定されていますが、検査院の調査では、畜産・酪農の収益力強化や、輸出需要の開拓など、4つの施策の13の目標を達成できていませんでした。
なかでも「中央畜産会」が実施した畜産・酪農の事業では、補助金で機械のリースなどを受けていた生産者などでつくる団体が、目標の達成状況を報告していなかった例が340件余り確認されました。
会計検査院は、農林水産省などに対し、目標達成に向けて関係機関への指導を徹底するとともに、予算の執行状況について国民に情報を提供するように求めています。
農林水産省は「検査結果を踏まえ、引き続き、適切に取り組んでいく所存です」とコメントしています。
農家の保護政策では輸入米対策など検証や見直し必要
