【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きをお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“ロシア軍が住民を不当に拘束・拷問” ハルキウ州警察幹部

東部ハルキウ州の警察幹部は、ロシア軍が撤退した地域で、多くの住民が拘束され、拷問を加えられていた疑いが明らかになったとして、被害の実態解明を急いでいます。

ハルキウ州の警察本部の幹部で、捜査を指揮するボルビノフ氏は13日、SNSに、バラクリヤでロシア軍が住民を不当に拘束し、拷問を加えていた疑いがあるとする情報を投稿しました。

警察署の地下などに、ウクライナ軍に協力したとして常時少なくとも40人を拘束し、電気ショックなどの拷問を加えていたという目撃情報を得ているとしたうえで「世界にロシア軍の非道ぶりを伝えるため、われわれはバラクリヤでの悲劇を明らかにする」と強調しています。

同じハルキウ州では、12日にも、ウクライナの検察当局が、ロシア軍が撤退した地域で拷問の痕がある4人の遺体が発見されたと明らかにしていて、ウクライナ政府は被害の実態解明を急いでいます。

バイデン大統領「まだ長い道のりが待っている」

アメリカのバイデン大統領は13日、記者団にウクライナ軍が東部で反転攻勢を強めていることが転換点になるかどうか聞かれ「まだはっきりはわからない。ウクライナ側が大きな進展を見せたことは確かだが、まだ長い道のりが待っている」と述べ、慎重に見極める姿勢を示しました。

国連総会 新たな会期が開幕 ウクライナ情勢が最大の焦点

アメリカ ニューヨークの国連本部で国連総会の新たな会期が開幕し、来週からは各国の首脳などによる演説も始まって、活発な国連外交が繰り広げられます。
緊張が続くウクライナ情勢の打開に向けて各国がどのような立場を示すのか注目されます。

今回の総会は緊張が続くウクライナ情勢が最大の焦点で、現地で激しい戦闘が続く中、事態の打開に向けて各国の首脳などが演説でどのような立場を表明するのか、注目されます。

また、22日には総会と並行して安全保障理事会の閣僚級会合も開かれ、欧米とロシア、中国の外相などがそろって出席する見通しで、激しい論戦が予想されます。

このほか、ウクライナ情勢を背景にした世界的な食料危機やエネルギー価格の高騰についての議論も行われ、発展途上国への支援などをめぐって国際社会が結束できるのかも問われることになります。

プーチン大統領と習主席 あす首脳会談へ

ロシア大統領府は、プーチン大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談が、15日、中央アジアのウズベキスタンで開かれると発表しました。ウクライナへの軍事侵攻後、両首脳が対面で会談するのは初めてでプーチン大統領は、経済や軍事面での連携を確認し、習主席から協力を得たいねらいがあるとみられます。

ロシア大統領府のウシャコフ補佐官は「中国はウクライナ危機に対してバランスのとれたアプローチをしている。ロシアが特別な軍事作戦を開始した理由を理解していて、この問題は詳細に議論されるだろう」と述べました。

ウクライナ安全保障の新たな枠組み創設を

ウクライナ大統領府のイエルマク長官とNATO=北大西洋条約機構のラスムセン前事務総長は13日、ウクライナの安全保障の新たな枠組みについて、提言をまとめました。

それによりますと、ウクライナみずからが侵略国から防衛できることが最も強固な安全保障だと指摘したうえで、ロシア軍などに対抗するための防衛力を維持できるだけの資源が必要だとしています。

そのためには、同盟国から数十年にわたる防衛産業への投資、武器移転やインテリジェンス分野での支援とともに、EU=ヨーロッパ連合やNATOのもとでの共同訓練が必要で新たな枠組みを創設すべきだと主張しています。

提言では、新たな枠組みを「キーウ安全保障盟約」と呼び、アメリカと、イギリスやドイツなどヨーロッパの国々のほか、オーストラリアやトルコなどで構成され、法的かつ政治的拘束力を持つものであるべきだとしています。

さらに、軍事的な支援以外にも制裁というかたちで支援を行うパートナーとして日本や韓国なども含まれるとしています。

提言を受けてゼレンスキー大統領は「初めての、かつ極めて重要なステップで、将来の安全保障の基本となるべきだ」と述べ実現に向けて検討を始める考えを示しました。

一方、現地メディアによるとイエルマク長官は「この提言はNATO加盟の代替案ではない」と述べ、NATO加盟については引き続き求めていく考えを強調しました。

ロシアとドイツが電話会談 原発の安全確保で意見交わす

ロシアのプーチン大統領とドイツのショルツ首相は、13日、電話会談を行い、ウクライナにあるザポリージャ原子力発電所の安全確保の必要性について意見を交わしましたが、原発を危険にさらしているのはウクライナ側だとロシア側が主張し、平行線をたどりました。

ドイツ政府によりますと、電話会談は1時間半にわたって行われ、ショルツ首相は、ザポリージャ原発を巡り、砲撃の停止などを求めるIAEA=国際原子力機関の勧告を直ちに実行し安全を確保することが必要だと強調したということです。

これに対して、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、IAEAと連携して行っている安全に関する措置について説明し、砲撃はあくまでウクライナ側からだと主張したということです。

また、ロシアからドイツ向けの天然ガスのパイプライン、ノルドストリームで供給の停止が続いていることについてプーチン大統領は「制裁によってパイプラインが整備されていないことが原因だ」と強調し、責任は、ロシアへ制裁を科す欧米にあると主張しました。

東部ルハンシク州知事 一部の地域でロシア軍撤退との見方示す

ハルキウ州に隣接する東部ルハンシク州のハイダイ知事は13日、独立系メディアのインタビューで、ことし7月にロシア軍が全域の掌握を主張したルハンシク州でも、一部の地域でロシア軍が撤退したという見方を示しました。

ウクライナ軍は南部でも反撃を続けていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は12日の分析で、衛星画像をもとに、ヘルソン市近くのロシア軍の前線基地では、ほぼすべての軍の車両が離脱したなどと指摘しています。

そして「ヘルソン州で大きな戦果をあげていて、この地域のロシア軍の士気と戦闘能力を着実に低下させている」という見方を示しています。

ロシア議会 国民動員のための改正法案提出

ロシアの議会では、兵力を確保するため国民を動員すべきだという声が出始めています。

このうち、現在は予備役の登録を認められていない、3人以上の未成年の子どもを持つ親に対しても、希望すれば可能とするなどとした改正法案が12日、与党の議員グループから議会下院に提出されました。

ただ、プーチン政権としては、総動員令の発動は国民から反発を招きかねないとして、避けたい考えとみられ、ロシア大統領府のペスコフ報道官は13日、国民の動員について「今のところそうした話はいっさいない」と述べて、否定しました。

ウクライナ国防次官 東部ハルキウ州全域の解放に向け意欲

ウクライナ軍が反転攻勢を強めている東部ハルキウ州について、ウクライナのマリャル国防次官は13日、ロイター通信のインタビューで「ハルキウ州では現在も戦闘が続いている」としたうえで、ウクライナ軍の部隊が入った地域では、ロシア側による妨害工作に対抗する措置を講じていると明らかにしました。

そのうえで「この地域がわれわれの完全な管理下に置かれたと言うにはまだ時期尚早だが、達成に向けて進行中だ」と述べ、ハルキウ州の全域の解放に向け意欲を示しました。

西村経産相 ウクライナ経済復興の支援表明へ

G7=主要7か国の貿易相会合が日本時間の15日、ドイツで開かれます。会合に出席する西村経済産業大臣は、ロシアから軍事侵攻を受けるウクライナの経済復興を後押しするため、インフラの復旧などに向けた支援策を表明することになりました。

会合の中で西村経済産業大臣は、橋や電力関連施設といったインフラの復旧に向けて、日本企業にも参画を呼びかけ、現地のニーズを聞き取る調査を日本政府として行う方針を表明することにしています。

▽低い金利で資金を貸し出す円借款や▽JICA=国際協力機構の無償資金協力などの活用を視野に、復興プロジェクトとして取りまとめ、事業を進めることにしています。

また、ウクライナからの輸出拡大につなげようと、JETRO=日本貿易振興機構に専門のチームを設け、輸出に取り組むウクライナ企業に日本の取引先を紹介するほか、JETROが国内外で主催する見本市にも出展できるようにすることにしています。

西村大臣は現地で、ウクライナの担当大臣と会談し、こうした方針を伝えることにしています。