性感染症の梅毒 感染者過去最多に なぜ? 症状は?【詳しく】

コンドームをつけない性行為だけではなく、オーラルセックスやキスで感染することもある性感染症の梅毒。
その梅毒の感染者の増加が、止まりません。

「インターネットを通じた不特定の人との性行為の増加も背景にあると考えられる」と指摘する専門家もいます。

詳しい症状は?感染したかも?と不安な時はどうすればいいのか。
最新の情報をまとめました。

梅毒の感染者数 過去最多に

国立感染症研究所によりますと、9月4日までに全国から報告された感染者数は去年の同じ時期の1.7倍となる8155人で、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降最も多くなりました。

これまでで最も多かった去年の感染者数の7983人をすでに上回っていて、このままのペースで増加した場合1万人を超える可能性も指摘されています。

都道府県別では、
▽東京都の2343人が最も多く、
▽次いで大阪府が1091人、
▽愛知県が463人、
▽福岡県が332人などとなっています。

男性は幅広い年齢層 女性は20代前半が特に多い

どの世代で、感染が広がっているのか。
国立感染症研究所がまとめた、ことし上半期の感染動向です。

▽ことし上半期までの感染者は男性が3768人、女性が1855人。男性が多い。
▽年代別に見ると、女性は20代と30代が75%を占める。特に多いのが20代前半。
▽男性は20代から50代まで幅広い年齢層で患者が増えている。

▽男性では性風俗産業の利用歴がある人が、女性では従事歴のある人が、それぞれ感染者の3割から4割ほどを占める。
▽一方で、性風俗産業の利用歴のない男性、従事歴のない女性もそれぞれ3割程度いる。

急増の背景は?ネット通じた性行為の対策も指摘

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の感染症です。

主な感染経路は性的な接触で、キスや性行為などで感染が広がります。
潜伏期間でも感染者の粘膜や傷のある皮膚に直接触れると感染することがあります。

日本性感染症学会で梅毒対策の責任者を務める専門家は「インターネットを通じた不特定の人との性行為の増加も背景にあると考えられる」と指摘しました。

神戸大学 重村克巳准教授
「避妊具を用いない性行為が感染のリスクを高めるが、インターネットを通じた不特定の人との性行為の増加も背景にあると考えられる。そうしたツールも多様化していて、学会や行政を含めて対策を考えていくことが求められていると思います」

症状は?気が付かないうちに病気が進行も

そもそも、感染した場合にはどのような症状が出るのでしょうか。

感染すると、3週間から6週間程度の潜伏期間を経て発症しますが、その後、症状が消えてしまうことや無症状のこともあり、気が付かないうちに病気が進行することもあります。

薬で治療ができますが、治療せずに放置すると脳や心臓に深刻な症状が出ることがあります。

「第1期」3ミリから3センチの腫れや潰瘍

潜伏期間をすぎたあと、感染から3週間程度たってからの時期は「第1期」と呼ばれています。

菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れや潰瘍ができます。
この症状は、数週間で消えてしまうことがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

「第2期」手足・全身に赤い発疹

「第2期」は感染から3か月程度たって、手や足、全身に赤い発疹が現れる時期で、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。

症状は何もしなくても消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

「第3期」全身で炎症

「第3期」は感染から3年程度たって全身で炎症が起こる時期です。

「第4期」脳や心臓、血管に症状 まひや動脈りゅうも

その後、感染から10年程度たつと「第4期」となり、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり動脈りゅうの症状が出たりすることがあります。

妊婦が感染すると 子どもに障害が残るおそれも

妊娠中の女性が感染した場合、胎児に感染して死産や早産になったり、生まれてから難聴になったりする「先天梅毒」と呼ばれる状態になることもあります。

どう予防?感染したかも、不安なときには

重村克巳准教授は「最も重要なことは感染を予防するためにコンドームをきちんと着用することだ」と話しています。

梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で分かります。

各地の自治体で検査を受け付けていて、このうち東京都では新宿などにある検査・相談室や保健所で、匿名で、無料で受けることができます。

神戸大学 重村克巳准教授
「誰でもかかる病気であり、きちんと治療をすれば治る病気なので、感染のリスクがある行為に心当たりがあればちゅうちょなく受診してほしい」