日中国交正常化50年シンポ 林外相「安定的な関係構築は使命」

日本と中国の国交正常化から50年となるのを前にシンポジウムが開かれ、林外務大臣はビデオメッセージで「建設的かつ安定的な日中関係を構築していくことは先人たちから受け継いだ使命だ」と述べ、厳しさを増す日中関係の改善に意欲を示しました。

このシンポジウムは、今月29日で日中国交正常化から50年となるのを前に経団連と東京の中国大使館の主催で開かれました。

林外務大臣は、開会式にビデオメッセージを寄せ「50年間で日中関係は大きな進歩を遂げた。両国間の貿易総額は当時から約120倍に増加し、人的往来にいたっては新型コロナの感染拡大前には1200万人を超えた」と指摘しました。

そのうえで「日中関係の進歩は両国国民のたゆまぬ努力がもたらしたものだ。建設的かつ安定的な日中関係を構築していくことは先人たちから受け継いだ使命であり、子孫に対する責務だ」と述べ、沖縄県の尖閣諸島の問題や台湾情勢をめぐり厳しさを増す日中関係の改善に意欲を示しました。

このあと、福田元総理大臣が基調講演を行い「信頼関係が揺らぎ、不信の溝はむしろ昨今深まっているようにも見受けられる。こういう時こそ対話による意思疎通を深めることが極めて重要だ」と述べました。

中国 王毅外相「平和 発展に尽力」も日本側をけん制

シンポジウムでは、中国の王毅外相がビデオメッセージを寄せました。

この中で王外相は「50年前、両国の指導者は政治的な胆力と見識をもってさまざまな障害をはねのけ、正常化という決断を下し、新たな1ページを開いた」と振り返りました。

そのうえで「これからの中日関係がどこに向かうのかは、私たちの手にかかっている。前途を切り開き、両国に幸せをもたらし、平和、発展に尽力していきましょう」と述べました。

一方で王外相は「歴史や台湾など、中日関係に関わる根本的な問題は少しもあいまいにしたり、揺らいだりしてはならない」と述べ、日本側をけん制しました。

また会場では中国の孔鉉佑駐日大使も講演し、この50年を振り返り両国の国民に多くの利益をもたらしたと強調した一方、「台湾問題を善処することは中日関係の原点であり、政治的な基礎に関わる問題だ。台湾問題をめぐっては慎重な言動をとり、台湾独立勢力に誤ったシグナルを送らないよう希望する」と述べ、重ねてけん制しました。

松野官房長官「建設的かつ安定的な日中関係構築を」

松野官房長官は、午後の記者会見で「弾道ミサイル発射を含む、今般の中国による一連の軍事活動は、わが国の安全保障と国民の安全にかかわる重大な問題であり、地域と国際社会の平和と安定に重大な影響を与えるもので、深刻に懸念している」と述べました。

そのうえで「主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築していく必要があるというのが、わが国の一貫した立場だ」と述べました。

経団連 十倉会長「ハイレベルな対話と意思疎通が大事」

12日のシンポジウムでは、経団連の十倉会長もあいさつし、これまでの日中関係について「日本と中国は1972年の国交正常化以降、貿易や投資など、さまざまな交流を加速させ、緊密で互恵的な関係を構築してきた。製造業をはじめとする多くの日本企業が積極的に中国へ投資し、技術移転や人材育成などを通じて、中国各地の経済発展に寄与してきた」と振り返りました。

そのうえで「こうした長年にわたる事業活動の蓄積は両国関係を支える重要な基盤になっている」と述べました。

一方、現在の両国をとりまく国際情勢については「不安定かつ複雑になっている」としたうえで、「日中両国の首脳を含むハイレベルな対話と意思疎通が何よりも大事であり、建設的かつ安定的な関係構築にとって不可欠だと確信している。国交正常化50周年という歴史的な節目を迎えて、対話と意思疎通の重要性を改めて確認し、強調したい」と述べました。